さて、今回は少し目先を変えて、僕らのノビーこと落合信彦さんの新刊をご紹介させて頂きたいと思います。

 僕らのノビーこと落合信彦さんの著作を手にするのは、それこそ 10 数年ぶり以上と言ってもいいほどなのではないかと思うのですが、 『 そして、アメリカは消える 』 という本が、ただいま発売中であります。

そして、アメリカは消える
『 そして、アメリカは消える 』 ( 2016 年 / 小学館 / 1,500+税 )

 最近では、ノホホンとした風情の頭でっかちの輩が、国際社会ではインテリジェンスがどうのなどと、知ったふうなセリフを電波に乗せてのさばっていますが、平和ボケした日本人に、国際社会において 《 インテリジェンス 》 という言葉が、いったいどんな意味を持っているかを初めて教えてくれたのは、僕らのノビーこと落合信彦さん、その人です。


 だけど、そんな彼の姿を、テレビ番組で見かける事は、ほぼありません。ワイドショーやニュース番組で政治漫談を製作するテレビ局側からすれば、僕らのノビーの言葉は辛口すぎるし、僕らのノビーにとっても、そんな番組に出演する事などはエージェントとしての……、ではなくて、ジャーナリストとしての沽券にもかかわる問題なのかもしれません。


 それでも、僕らのノビーは、今日も吼えまくります。


 著作の中で彼は、国際社会と呼ばれる世界で起きている様々な出来事を、あたかも目の前で目撃してきたかの如くにリアルな言葉で私たちに解説してくれます。


 まずは最新と言える現在の国際情勢から語り起こし、そんな国際情勢の中で繰り広げられているアメリカの大統領選挙における二人の候補者を取り上げて、アメリカというかつての大国の劣化を語ってから、その劣化へと必然的にたどり着く過程を、 11 人の歴代アメリカ合衆国大統領をレビューする事で私たちに理解を促します。


 一方、そんなアメリカと冷戦を戦ったソ連については、すでに希望を失っていたゴルバチョフ後の世界から語り起こして、救いのない絶望を描き、その筆はやがて、第三の張り子の大国、中華人民共和国の絶望へと移ってゆきます。


 新聞の紙面にその名前を踊らせていたキーパーソンへのリアルなインタビュー取材をちりばめながら、僕らのノビーは自信に満ちた筆致で、国際社会と国際情勢に対する鋭く的確な絵解きを展開して見せてくれます。


 だけど、彼の語る言葉には、解がありません。彼、僕らのノビーは、僕たちに、答えは自分で見つけ出せと、ただ叱咤の言葉を投げかけるだけです。


 しかし、 『 ソビエト帝国の崩壊 』 を予言したあのナオキでさえが、低迷を続ける日本経済と、民度を含めた日本社会全体の疲弊、そして、それに拍車をかける国際社会の混乱とならず者たちの跋扈といった状況を前にして、失われた二十年を送る日本に対する処方箋を書く事ついにあたわず、ほんのわずかな指針さえも示す事ができないまま、失意の晩年を送らざるを得なかった事を思えば、僕らにいったいどんな解答を用意する事ができるというのでしょうか。


 『 アメリカが日本を捨てる日 』 が来る前に、 『 そして、アメリカは消える 』 日が来るなんて、かつての僕たちには想像する事さえできませんでした。でも、アメリカに捨てられようと、日本を捨てようとしていたアメリカ自身が日本を捨てる前に消えてしまおうと、どちらにしても日本を庇護する盾と鎧がなくなってしまうという事には変わりがないようであります。


 それでも、僕らのノビーは、歴史上の人物と言っても良いほどの女傑、鉄の女と呼ばれたサッチャーと、シークレット・シューズをキメた ( ← 推定です ) 姿で威風堂々といった風情のツーショットを見せつけながら、答えは自分で見つけろ、と迫ります。


 そう、答えはすぐ、僕たちの目の前にあったんですね。


 僕らのノビーのその姿そのものが、僕らが見つけ出すべき答えだったのです。気付くのがちょっと遅かったかもしれません。


 ・・・。


 ノビーの本は、みんな処分してしまって、どういうわけだか処分し忘れた 『 アメリカの狂気と悲劇 』 という一冊を除いて、今はもう、私の手元にはありません。 『 2039 年の真実 』 も再び開くことは出来なくなってしまいました。


 でも、ノビーは今でも、第一線で夢を語り続けています。


 十年後くらいに、また、彼の語る夢を聞いてみたいと思います。


 僕らのノビーよ、永遠に。


 そして、そんな僕らのノビーに、栄光あれ。


 次の休みには、ブックオフに寄ってから、スタバへ行き、キャラメル・フラッペチーノでも食してこようと思います。