さて、成人式も過ぎ、全国的に新しい年にもようようなじんできた今日この頃、皆様は如何お過ごしでありましょうか。


 ネットの世界では、文科省に籍を置く亡国の役人どもの人体実験の犠牲となって、文字の意味するところを読み解くだけの最低限の能力さえも養う機会を奪われてしまった哀れなゆとり世代が、相も変わらずに跋扈して虚に吠えているようではあります。


 そんな彼らの悲しい悲鳴にも似た罵詈雑言も、大いなる慈悲の心に満たされた私の altruistic mind には莞爾とした笑み以外をもたらす事はなく、因果の理法の冷徹なる貫徹をはるかに見通すところなのではありますが、それについては捨て置く事に致しましょう。


 それはさておき、前回は基本に立ち返って実話系ホラー・コミックについてエントリーするなぞと前ふりをしておきながらも、ついつい、抹香くさい話に終始してしまったようで心苦しいばかりではあります。


 …、という事で、今回は本当に実話系ホラー・コミックに関連した話題についてエントリーしてみます。


 現在では実話系ホラー・コミック雑誌というと 『 MITANA 』 だの 『 黒い恐怖 』 なぞというわずか 1 ~ 2 号程度そこらで姿を消してしまったらしい泡沫的な媒体を別にして、一般には 『 HONKOWAに 『 あな怖、 『 実怖という計三誌による一強二弱体制が確立されて久しく、それ以外の実話系ホラー・コミック雑誌が話題になる事はあまりないようであります。


 が、しかし、この現在の一強二弱体制が確立するに至るにはそれなりの歴史的な経緯というものがあって、そこに至るには 『 MITANA 』 や 『 黒い恐怖 』 なぞ以外にも今では消えてしまって幻となってしまった様々な雑誌が活躍していた時代があったわけであります。


 そもそも、現在の実話系ホラー・コミック雑誌業界のリーディング・マガジンともいうべき 『 HONKOWA 』 が、実は 『 ハロウィン 』 という非実話系の少女恐怖漫画雑誌の増刊として刊行されたものであるという事は、古くからの実話系ホラー・コミック・ファンの方々にはよく知られている事ではあり、それがやがて本体誌の 『 ハロウィン 』 が廃刊きゅうかん!という事態を迎える中、増刊として発行されていた 『 ほんとにあった怖い話 』 が隔月刊の独立した雑誌としての地位を確立するに至ったわけなのではありますが、この現在の 『 HONKOWA 』 の本体誌ともいうべき 『 ハロウィン 』 には当時、 『 サスペリア 』 というライバル誌があったという事も、 ( ゆとり教育世代より上の世代の方々にとっては ) これまた広く知られた事実でありましょう。


 そして、また、 『 ハロウィン 』 に 『 ほんとにあった怖い話 ( 現 HONKOWA ) 』 があったように、 『 サスペリア 』 にも 『 恐怖体験実話コミック ( 通称・恐実キョウジツ ) 』 という実話系ホラー・コミック雑誌が増刊されていた事も、古くからのホラー・コミック・ファンの中にはご記憶されている方もおられるのではないかと思います。


 そこで今回は、温故知新の言葉にならって今では幻とも言える伝説の実話系ホラー・コミック雑誌とも言える 『 恐怖体験実話コミック 』 に掲載されていた半実話漫画を一つご紹介せていただきたいと思います。


 それが、こちら…。


ダウザー堤-2
有坂須美 「 ゴーストハンティング
( サスペリア5月20日増刊
『 サスペリア版漫画家&読者の恐怖体験実話コミック 』 所収 )

 上記作品が掲載された増刊号では、増刊のテーマとなってもいる漫画家や読者が実際に体験した怖い話を作品化した ≪ まんが家&読者の恐怖体験 ≫ と漫画家が霊能力者をはじめとしたさまざまな実在の異能力者たちを訪ねて取材したものを作品化した ≪ マンガ家サイキック体験ツアー ≫ という2つのジャンルから全体が構成されていて、その中でもこの有坂さんの 「 ゴーストハンティング 」 という作品は、 時に 20 世紀の日本を代表する ≪ 三大エスパー ≫ の一人に数えられることもあるダウザー・堤祐司さんを訪ねて取材した上で、堤さんの説く霊解釈に基づいたダウジングを利用した霊障への対処法を実用書的に解説したものとなっています。


 ある夜更け、突然の金縛りにあい、絹を裂くかのごとき悲鳴をあげ恐怖するいたいけな少女…。


 そんな少女の真夜中のプライベートな寝室に ( 叫び ) 、どこからともなく現れたのが、日本ダウザー協会 会長にしてゴーストハンターズのリーダーを名乗るダウザー堤祐司さんでありました。



ダウザー堤-1
有坂須美 「 ゴーストハンティング 」 より



 真夜中の少女の寝室に突然に姿を現した見知らぬ男…、ホラー・コミック・ファンならぬふつうの少女であったならば金縛りなぞよりもよっぽどそっちのほうが怖いのではないかと思わなくもないのではありますが、そんな無粋なツッコミはさておいて、そんな突然に姿を現した男にも臆することなく、少女は堤さんの言葉に耳を傾けるわけであります。


 そんな少女に対して、われらがゴーストハンター堤さんは、霊の正体とそれに対するダウジングによる対処法を教示して、 " 幽霊は怖いものじゃないし 退治できるものなんだよ " という言葉を残しつつ、何かあったらいつでも呼んでくれといいって颯爽と少女の寝室を後に後にするのでありました。


 …、目出度し、めでたし…。


 この雑誌が発行されたのが平成 8 年の 5 月という事ですので、今から考えるとかれこれもう 18 年も昔の事という事になるようであります。


 今となっては増刊号の 『 恐怖体験実話コミック 』 はおろか本体誌の 『 サスペリア 』 もすでになく、さらには発行主体の秋田書店さえもが、例の一件でその名を地に堕としてしまったようではありまして、なんとも無常を感じざるを得ない今日この頃なわけでもあります。


 もっとも、これは当時この 『 恐怖体験実話コミック 』 で霊障診断をしていたという霊能者にして異能の占い師としても活動されていたヒミコさんという女性によってはるか遠く見透かされてもいたようで、上に紹介した 「 ゴーストハンティング 」 が掲載されていた号に掲載されていた別な漫画家さんの作品の中において彼女は次のように予言されていました。


" これからはホラーを求める人の方向性が少し変わってくると思います "
p.271.

 おそらく、秋田書店の編集部は、 『 サスペリア 』 や 『 恐怖体験実話コミック 』 の編集方針において、この新しい方向性というものをつかみ損ねてしまったのでしょう。


 しかし、それでも大丈夫 グッド!


 われらがダウザー堤祐司さんは、世紀末を跨いだ今現在もご健在で、彼が会長を務める 《 日本ダウザー協会 》 は今でも日々活発な活動を展開されているようであります。


 ここアメーバでもブログがありますので皆様もぜひ一度お尋ねになってみてください。