さて、今月は日本中のオカルト・マニアとホラー・コミック・ファンのみんなが首を長くして待ち望む奇数月、すなわち 『 HONKOWA 』 の発売月で、今月も滞ることなく 『 HONKOWA 』 2013 年 7 月号が発売されました。
残念な事に今号は寺尾さんや視っちゃんの登場はなく、そのかわりと言っては失礼になるかもしれませんが、 “ 語り・
この新しいシリーズは加門さんの著作である 『 怪談徒然草 』 ( 角川ホラー文庫 ) を原作としての漫画化という事で、そのスタート第一話は、アンチ派からの突っ込み待ちな部分は相変わらずながらも全体としては軽めにまとめつつ、今後の展開に含みを持たせる加門さんのコメントで〆られていました。
今回の新シリーズ最大の特色は、なんと言っても、加門さんの美貌が一段と進化しているという点でありましょうか。
すでに高尾山レポートにおいて普通のおばはんな正体を誌上公開しているにもかかわらず、ますます萌えとなる事間違いなしな予感を感じさせてくれています。
また、中堅どころな感じながらも比較的安定した印象で毎回わたくしたちを楽しませてくれている 「 影御前 」 の今回のエピソード は、作者のネタ元でもある霊感アシスタント桐生さんのちょっとホロリとさせる生い立ち話でこれもお勧めなのではありますが、なんと言っても今号掲載コミックの中でも一押しなのは流水さんの 「 オカ万 」 こと 「 オカルト万華鏡 」 でありましょう。
毎回々々様々なテーマを設定して流水さんの持つ薀蓄を語るこのシリーズなのではありますが、今回のテーマはなんと 《 死後の世界 》 。
このありがちな設定テーマの 《 死後の世界 》 を探求するに際して、まずはダンテの 『 神曲 』 における世界観から語り起こす事によって、流水さんが実はけっこうインテリだったりする事をさりげなく披露したりしながら、イスラム教における酒池肉林な天国観から 『 十王経 』 に基づいて構築された仏教における地獄観までを一通り説明したところで、とっても素敵なサプライズが披露されます。
そう、何をかくそう、今回のエピソードは朝日新聞出版社内の 『 HONKOWA 』 編集部を舞台として流水さんと流水さんの担当編集者との掛け合いという形で話が展開しているのですが、そんな掛け合いの合間に、 『 HONKOWA 』 編集部を何らかの用事で訪ねてこられていた寺尾玲子さんがいきなり流水さんと流水さんの担当編集者との 《 死後の世界論議 》 をインターセプトするかの如くに登場してくるのであります。
やはり、なんと言っても 『 HONKOWA 』 のカンバン霊能者とも言うべき寺尾さんが誌面に顔を出すのと出さないのとでは雑誌としての華やぎが違うというものなのでありましょうか、たったの2頁ではあるものの、寺尾さんが漫画のコマに姿を現しただけでそのオーラで誌面全体が輝いて見え、やはり華があります。
そんな流れで話がひと段落したところで、お約束な感じで〆はRさんの見解をお伺いする、という流れになるわけなのですが、今回はその前にもう一ひねりがありました。
実は玲子さんがコマから退場した後で、流水さんはやや唐突な感じで、日本語に訳して 『 チベット死者の書 』 などと呼ばれている呼び名をエバンス・ベンツだかなんだかゆー白人によって与えられたチベット仏教ニンマ派に属する典籍 『
いずれにしろ、 『 死者の書 』 に対して、それは “ ニンマ派の呼び方 ゲルク派では 「 クスムナムシャ 」 ” などと註釈を入れたりするあたり、 「 あんたどんだけマニアなんだよ 」 と思わずな突っ込みを誘うとともに、ここでもやはりさりげないインテリ・アピールな感じの流水さんなのでありました。
そもそも、チベット・マニアかバックパッカーな深夜特急族ででもない限り、大多数の 『 HONKOWA 』 読者にニンマ派がどうでゲルク派がどうだのという話が通じるとも思われず、もちろん、だからこそ、その部分はメインの吹き出しには入れずに吹き出しの外に注記する形で言及されているわけなのかとも思うのですが、やっぱり、 「 あんたどんだけマニアなんだ 」 と突っ込むべきところではありましょう。
もちろん、それに対してはさらに ( それは呼び方が違うとかいう問題ではなくて、そもそもがそれぞれ別な本なわけだしとか、そもそもニンマ派の本もチベット語じゃ死者の書なんて言ってないし…などという点を ) 指摘して突っ込みをいれたいところではあるものの 、ホラー漫画相手にそんな無粋な突っ込みをいれても仕方がない事は理解していますので、ここは自重しておきましょう ( ……、って、 自重になってないか、な? ) 。
あぁ、ちなみに、アンチ・ドワン派のために補足しておくと、ここでいま私が用いた論法は 《 ノリ・ツッコミ 》 と呼ばれる非常に高度な話法の応用になりますので、もし文句を言う場合にはその辺りもきちんとお勉強してから批判するよ うに注意しましょう。
ちなみに、 『
上の画像のテキストは
“ ここでまずヨーガの実践者は 『死 の諸 徴候 を観察することによるおのずから の解脱 』 の記述に従って、死におもむく際のもろもろの徴候 を順を追って観察すべきである ”川崎信定 訳 『 原典訳 チベットの死者の書 』 ( p.013. / 1993 年 / ちくま文庫 )
この 『
そして、チベット密教のヨーガを実践する者はこの書すなわち、 『
それは何故かというと、たとえば、教祖をはじめとして多くの幹部が確定した死刑判決を受け、さらには公安調査庁によって監察処分だかなんだかの指定をされたりしている事で有名なオウム真理教において、自分にとって都合の悪い人間を暗殺する事の隠語として使用さ れた 《 ポア 》 という言葉のネタ元となった、インド後期密教に端を発する 《 ポワ ( འཕོ༌བ༌ ) 》 の秘法というものがチベット密教には伝承されているわけなのですが、この秘法はもともと人の死の瞬間に実践するものなわけであって、そうであるからには、つまり、それが自身であろうと他者であろうと、 「 もう寿命が尽きて死ぬ 」 と認識した瞬間に行うべき事を、まだまだ寿命が残っている内に行ってしまうようでは、それが自身であろうと他者であろうと殺生をする事になってしまうのであり、それは仏教的には大罪となるわけでもあって、そのような不本意な事態の出来を避けるという意味から も、人の死の兆候 ( 徴候 ) というものについてヨーガ行者は、熟知しておかなければならないと言う事になるわけであります。
あるいは、上に引用した部分に即して言うならば、 『 中有聴聞解脱 』 の必要な部分を死者に対して読み聞かせるに際しても、それぞれの死の進行過程というものにふさわしい形で 『 中有聴聞解脱 』 の読み聞かせを行ない、その事によってより効果的に影響力を発揮することを期待するという意味において、やはり死の過程について詳しく知る必要があるという事にもなるわけでありましょう。
いずれにしろ、この原典を読み解く事によって私たちは死に際して必要な準備を諸々怠りなく整える事も可能となるのですが、この部分には未だ和訳はなく、現状では私たちがその恩恵に浴する事はないようでもあります。
それはさておき、 「 オカ万 」 中においてこの 『 チベットの死者の書 (
Anyway 、話は変わって、それにしても、 『 HONKOWA 』 の今号でひとつ問題なのは、伊藤三巳華さんの件に関して編集部からまったくなんのコメントもない事であります。
前号において “ 急病 ” のために予定原稿を落とし、今号では前号の段階からすでに掲載が予定されておらず、来号においても今号の予告を見るかぎりにおいては掲載予定はないもののようであり、 『 HONKOWA 』 読者としては大変に気がかりな事この上ないところと言わざるを得ないでありましょう。
氷室奈美さんも同行したスリランカ旅行でいったいどんな事態が
今号の 「 オカ万 」 に描かれていたように、流水さんのメールでの質問に対する回答のついでに言及されていた “ 別件 ” とはいったいなんだったのか、そして、流水さんが担当編集者と打ち合わせしていた 『 HONKOWA 』 編集部に唐突に顔を出した日本最強の実在の霊能力者・寺尾玲子さんは、いったい編集部にどんな用事があったのか?
もしかしたら、伊藤三巳華さんの急病による不在を核として、その周辺で日本最強の霊能力者・寺尾玲子さんやオーラ・マスター氷室奈美さんたちが何やら蠢いていて、流水さんの 「 オカ万 」 に玲子さんや氷室さんを登場させる事によってその蠢きを暗示している…… 、などという読者の妄想を煽る事にもなりかねないのが、今の 『 HONKOWA 』 編集部の対応という事ができるかもしれません。
でも、もしも、マジで寺尾さんや氷室さんが伊藤さんがらみで蠢いていたとしたら、またアンチ三巳華派が生霊を飛ばしながら ( w ) 騒ぎ出すのでしょうね。
……、あぁ、やだヤダ。
と、言ったところで、ここで一つ期待される事態が、オーラ・マスター氷室奈美さんの漫画家復帰という事でありましょうか。
伊藤さんが、スリランカで遭遇したとんでもない出来事によってか、あるいは単なる急病によってか、はたまた急な妊娠 ( w ) によってかは不明ながらも、いずれにしろ作品を発表できる状態にないのであるならば、伊藤さんに同行するという形でスリランカに行き、おそらくは伊藤さんと同じ現象を別な視点で体験していたはずの氷室奈美さんに、氷室さん目線でのスリランカ旅行記をぜひとも作品化して頂きたい、というのが 『 HONKOWA 』 読者としての切なる希望であります。
かつて氷室さんがまだバリバリの漫画家さんであった頃に、氷室さんご自身の分身がタロット・カードを駆使して世界の終末の危機を鮮やかに救うという奇跡をリアル・タイムで読ませていただいた世代としては ( そう、この氷室さんの陰ながらの活躍があったからこそ、 21 世紀の私たちは今、 1999 年の人類滅亡の危機を乗り越えた現代を生きることができているわけなのでもあります ) 、スピに日和ってしまった氷室さんが今、再び漫画家として作品を発表するというのは大変に魅力的な出来事であると言えます。
『 HONKOWA 』 的にも氷室さんが、たとえ一時的であったとしても、漫画家復帰という事で作品を発表していただければ大変にアピールする事にもなるでしょうし、さらには、その後で伊藤さんの病状が回復してから今度は伊藤さんに、氷室さんの作品を三巳華さんの目線で再度作品化してもらえれば、これはもう一度のスリランカ取材旅行がまさに一粒で二度おいしい状態という事になるというのは必定なわけなのであります。
という事で、 『 HONKOWA 』 編集部にはぜひとも氷室奈美さんに、伊藤三巳華さんと同行したスリランカ旅行記の漫画化をオファー して頂かねばなりません。