さて、ここのところ
ウィーク・エンド・リトリートにもほぼ見通しがたったところで、とある重大な用事を思い出して私はリトリートの合間を縫って街へと買出しに出たのですが、街を歩いていると、ふとどこからか残酷な天使の神話を讃えた、聞き覚えのある天界の楽団が奏でる声が幽かに聞こえてくるではありませんか。
その妙なる歌声に惹かれて私は、暗く欲望に満ちた街路を進んでいったのであります。厳冬は過ぎたものの、まだコートを脱ぐには早すぎる冷たい風が私の髪を吹き抜け、コリタスの甘い香りが周囲の空気を包み私の鼻を刺激してきました。その時、ふと頭をあげて遠くを見ると、そこにチラチラと瞬くともし火が目に入り、私はすでにもう日も落ち辺りが暗くなっている事に気がつくとともに、私には癒しが必要だということに気がついたのであります。
するとその時、ふと立ち止まった私の目の前に 《 マツ・キヨ 》 なる悪の組織の秘密支部が入居する謎の建造物が忽然と姿を顕し、その
彼女は甘い吐息とともに、私にこう囁きかけてきました。
「 サンテ製薬がネルフという秘密組織と独自にコラボ して開発した秘薬 ( キャラクター仕様のパッケージと零号機、2号機のカラーリングのオリジナルボトル ) を今なら特別に販売してさしあげます。今この秘薬 を購入していただいた方には、特典としてなんでも挟むことのできる魔法のクリア・ファイルと魔法のペンも差し上げます。サービス、サービス! 」
……、と。
私は強い力への意志を振り絞った上で 「 金で雇われた販促のキャンペーン・ガールみたいな輩の色香に騙されてそんなものを買ったりするものか! 」 と思ったのですが、その刹那、私の脳髄に 「 逃げちゃダメだ、逃げちゃ駄目だ…… 」 というメッセージが直接響いてきたのでありました。
私は 「
すると彼は慇懃無礼な物腰で次のように語りかけてきたのです。
「 お客様、当店はドラッグ・ストアでございますので、スピリッツ はお取り扱いしておりません 」
その時、 1969 年以降
何がなんだか分からないままに、 キャラクター仕様のパッケージに包まれた 《 サンテFXネオ®ヱヴァンゲリヲンモデル 》 2 号機オリジナル・カラーリング・ルボトルの代金をレジで払い終えると私は、何者かに操られるようにして店頭のキャンペーン・ガールのところへと向かい、彼女に
すると、彼女はまたニッコリと微笑んで甘い吐息とともに礼らしき言葉を述べながら、謎のクリア・ファイルを私に渡してくれたのであります。
それがこちら……。
ああ、そうか。
彼女はキャラクター仕様のパッケージに包まれた 《 サンテFXネオ®ヱヴァンゲリヲンモデル 》 2 号機オリジナ・カラーリング・ルボトルの販促キャンペーンをする店頭のキャンペーン・ガールの姿に権化した天女だったんだ、と私は確信しました。
そうでなければ、あんなに素晴らしい波動を放っているはずがないではないですか。
春が近いとは言えまだ寒い三月の日暮れ時に、黒いコートにその身を包んで道行く見知らぬ男に声をかけ、その身をまかせはしないまでも、笑顔を振りまき、自分とは縁もゆかりもない目薬を、わずかの時給でなんのキャッシャ・バックも歩合もなしに宣伝して販売促進に協力するなぞという行為は、愛がなければできるはずがありません。
その時、私は心に堅く誓ったのであります、 「 今後も目薬は 《 サンテ FX ネオ 》 を買おう 」 と。
- 《 サンテ FX ネオ 》 第2類医薬品
- 組織代謝を促進 疲れ目に効く
- ピント調節機能を改善 疲れ目をほぐす
- 充血・かゆみを抑制
- 炎症を抑える
製造発売元 参天製薬株式会社
組織代謝を促進させるとともにピント調節機能を改善し、さらには充血・かゆみを抑制して炎症を抑えるという如何なる製薬会社も開発不可能とされていた効能を併せ持った奇跡の目薬を、参天製薬はネルフという秘密機関の協力のもと極秘裏に開発して、それに 《 サンテFXネオ®ヱヴァンゲリヲンモデル 》 というコード・ネームを与えて市場に供給をはじめたのでありますが、それを僥倖によって購入することができた私は、神の恩寵と天の祝福とに感謝する思いで満たされているのであります。
今年は例年にも増して多くの花粉が飛び交うのみならず、中共政府の対日謀略の一環として意図的に散布されたに決まっている PM 2.5 だのなんだのという対日破壊工作物質の影響で、私の眼もショボショボとしていて難儀していたところなのですが、そんな目にこの奇跡の目薬 《 サンテFXネオ®ヱヴァンゲリヲンモデル 》 を一滴垂らしただけで、それまでの目の疲れや充血やかゆみなどがまるでウソのように霧消してしまいました ( これは個人の感想ですので、薬の効能には個人差があります…… ) 。
いずれにしろ、劣悪な労働環境のなか、健気に販売促進に努めていたキャンペーン・ガールのネェチャンに感銘を受けてその商品イメージも、少なくとも私の中では向上した、というお話でした。
それに比べて、マツ・キヨの店員には愛というものがまったくありませんね。もしも、販売商品に対する愛が少しでもあれば、こんなシールの貼り方などできようはずがないですから。
これでは、せっかくのアスカの顔が台無しで、まるで悪意があるとしか思えません。
シールを貼るなら貼るで、箱の裏面に貼ればいいだけの話です。
おそらくは、店頭販売のキャンペーン・ガールなんかも、店のバック・ヤードでは店員のニィチャンにはセクハラされて、店のネェチャンにはパワ・ハラでいじめられてるんでしょうね。
だいたいスーパーなんかでも、試食販売のおばちゃんなんかは店員に比べてより劣悪な環境の中での労働を余儀なくされているようで、それなども含めて全般には確かに天界にも比すべきこの日本ではあるものの、なんとも複雑な思いを感じたりもするものであります。
かつてヨーロッパを徘徊していたという伝説の
少なくとも、なんらかの形でのガラガラポンがないと、日本という国そのものが出口のない隘路へと迷い込んでしまう瀬戸際にいるように思えます。
何日か前にニュースで報道されたメタンハイドレートの掘削に関するニュースに関しても、青山繁晴さんという方の話などを聞く限りは、かなり絶望的な状況の中でのかすかな前進であったという事を知る事ができるのですが、状況は本当に百人の志士を必要としているのではないかと思われるようなものであります。
もっとも、青山さんのように、既得権益という旧体制に果敢に声を上げるドンキ・ホーテのような方がいる間は、まだ日本にも、蓮の池の畔からお釈迦様が地獄に垂らした一本の糸のような可能性が切れずに残されているのかも知れない、などという事などにも思いをいたす今日この頃なのでもありました。