早いもので、 『 ほん怖 』 が 『 HONKOWA 』 としてお洒落にリニューアルしてからもう二年も経ってしまったようで、ただいま 『 HONKOWA 』 リニューアル二周年記念号が絶賛発売中であります。
『 ほん怖 』 時代も充分充実した連載陣を抱えてはいましたが、 『 HONKOWA 』 としてリニューアルしてからもさらにパワー・アップした強力連載陣が、旧来の実話系
特大ではないものの、そんな二周年記念号の 2013 年 3 月号のおもなラインナップは以下の通り。
- 霊能者・寺尾玲子の真・闇の検証
「 毛利元就の謎 」 - 山本まゆり
<魔百合 の恐怖報告 > 「術者 の謀略 < 前編 > 」 - 伊藤
三巳華
ぶらパワ☆エッセイ 「 伊藤三巳華のスピ☆散歩 」 流水 りんこ
「 オカルト万華鏡 」- ひとみ
翔 霊感 お嬢 ☆天宮 視子 シリーズ「迷走 する執着 」
当ブログのHONKOWA 押しコミ一覧
( 一部レポート含む )
今月は 『 HONKOWA 』 の二枚看板ともいうべき山本まゆりさんの玲子さんシリーズとひとみ翔さんの視っちゃんシリーズが同時掲載な上、玲子さんシリーズは前後編ものということで山本まゆりさんの力の入れようも知れるというものでありましょうか。
まずはコミック編の巻頭を飾るのは 『 HONKOWA 』 の金看板ともいうべきマユリーナの 「
相談者の手紙から相談者を喰い物にしている霊能者の波動を読み取った玲子さんが瞬時に下した判断は “
このケースは時期的にちょうど 「 狼の護る町 」 事件 ( 2012 年 3 月号所収 ) を手がけていた頃の案件らしく、
それにしても、それほどに強力な存在を “ 不本意 ” とまで言わしめる状態のままに自分に都合の良いように使役してしまう霊能神官とは、なんとも凄い奴がいたものであります。
いずれにしろ、そんな凄腕の霊能神官に金づる状態にされてしまっているらしい相談者の自宅は、付き合いの長い霊能神官が張り巡らせた霊的仕掛けと、そこに食い込んでその “ 仕掛けを利用して自分のものにしようとした ” 小教団の霊能者先生が新たに仕掛けた霊的仕掛け、がまるで “ 「 パズル 」 ” のように複雑怪奇に絡み合った異空間を現出せしめていて、その異様な霊的構築物と化した相談者の自宅で玲子さんは、まずは雑魚に過ぎない “ 教団の先生の仕掛けを壊してしまいましょう ” と語ってから、次回には視っちゃんを伴なって再度その地を訪れ凄腕の霊能神官と “ 対峙します― ” と宣言するのですが、ここでちょうど 《 To be continued. 》 とあいなるという、なんともドラマチックな構成となっていました。
どこだかの無名の霊能者の事件簿を原作にした巨匠のムリクリなドラマチック・ストーリーとはまったく雲泥の差の劇的構成は見事の一語に尽きると言うべきかと思われ、まことにもって、次号が待ち遠しい限りであります。
一方、玲子さんと視っちゃんという正統派な二枚看板に対して、ややコミカルなフレーバーと独自の切り口で “ 不思議と神秘のパワーコミック ” ( By 朝日新聞出版社 )としての 『 HONKOWA 』 の新境地を開拓しているのが 《 オカ万 》 こと 「 オカルト万華鏡 」 に 《 スピ散 》 こと 「 伊藤三巳華のスピ☆散歩 」 の二本でありましょうか。
まずは、
スピッと☆散歩したその内容は You Tube とも連動して楽しめるという事で、そちらを楽しみつつ、今号も絶好調の内に耳成山でガッツ・ポーズを決める人妻にして美人の霊能漫画家という三重に偉大なタイトルをほしいままにする三巳華嬢の 「 スピ散 」 に続くのは “ アナタもワタシも知らない世界 ” をライトな画風の漫画で解体して抽象度を下げて広く世間に紹介してくれている流水りんこさんの 「 オカルト万華鏡 」 。
今回のテーマは 《 タロット 》 という事で、なんとオカルト界の巨匠・鏡リュウジさんがゲスト出演するという豪華版となっております。
特別ゲストなためか、もともと線が細く軟弱な印象の鏡リュウジさんがたくましく男性的なイケメン風に描かれているのはご愛嬌で、鏡さんに同行したタロット研究者だか占い師さんだかが流水さんをタロットで実際に占うに際して、 2012 年の人類滅亡の危機を無事に乗り切ったこの現代という新たな時代に 《 ケルト十字スプレッド ( 古代ケルト十字法 ) 》 をわざわざ選択したというのは、辛島さんに対する密かなリスペクトの表明なのでありましょうか ?
そんな粋な計らいの中で “ 私 実は二億円欲しいんです ” と自らの秘めたる野望を吐露する流水さんを暖かく見守る二人のイケメン・タロティストたちのタロット・リーディングを読みながら私は、太古の昔にハードボイルドな生き方に憧れてタロティストのもとを訪れたという太平洋の伝説のマンボーのお話などをふと思い出したりもしていたのでありました。
バックパッカーや深夜特急族などとはお友達になる事はおろか知り合う機会さえもなかった私には、流水さんの野望の意義はお釈迦様の掌をはるか彼方に返り見るほどに理解の果ての果ての話ではありますが、いずれにしろ、ここまで読んだだけでもすでに他紙では絶対に味わえない充実した内容を堪能した読者はここで、かつてホラー・コミック界の巨匠とも謳われた永久保貴一さんの手になるオカルト坊主物語で一息ついてから、そのまま一気呵成に視っちゃんシリーズでクライマックスへと誘われることになります。
これで全体の約半分ほどを読んだことになり、ここまでの内容だけでも充分に定価を上回るほどの価値に見合う内容が提供されるという、これまた他紙では絶対に味わうことのできない老舗ならではの充実感は格別と言っても過言ではありません。
今月号で箸休め的なポジションにつけている永久保貴一さんのオカルト坊主物語では、仏舎利を “ 点眼液のビニール袋 ” に入れて弟子に下賜する高僧の姿が描かれていましたが、百均商品に囲まれた現代ではあり得ないようなそんなエピソードも、今では遠い過去となってしまった昭和の時代にはごく普通にあり得たことであり、リアルな臨場感を感じさせてくれたりもします。
ちなみに、ネット上の噂では、どうもこのシリーズの中で触れられた 《 金長大明神 》 に関するエピソードの描き方が雑に過ぎたということでその障礙を受けたということらしく、ネット上では巨匠叩きが最近の流行となっているようでありまして、その説を目にしてから 2012 年 9 月号掲載分を読み返してみると、確かに雑というか、数あるエピソードの中の小ネタの一つという扱いで 《 金長大明神 》 のことが描かれていて、この辺りが礼を失っしたものか、なんとも悩ましいかぎりではあります。
あるいは、当時も感じた事ではあるのですが、 “ ここにあれで…、あそこにこんなのが… ” などと言いながら 《 金長大明神 》 の術式分析を酒の肴にする飲んだくれ坊主が描かれているシーンが、H師匠シリーズだったらもっと詳しく描かれていただろうになぁなどと思ったりもしたところではあり、そのあたりにも永久保さんの描き方の粗雑さが表れていたのかもしれません。
まぁ、基本的に私は薬中やアル中は評価しない主義なので、飲んだくれ坊主は論外だし、空にした一升瓶を床の間に並べるなどという永久保さん一家の家風 ( ソースはにちゃんですが…… ) もなんだかなぁ、というのが正直なところではあって、個人的には宇賀神さんにご恩もある身の私としては宇賀神さんを顕彰するという意味では宇賀神行者の高僧が登場したりもする今の永久保漫画をギリギリ批判はしないまでも、それでも、現在のオカルト坊主物語は早々に切り上げて、早くH師匠にカムバックしていただきたいというのがホンネのころではあります。
いずれにしろ、そんなこんなで、見所読みどころ満載な 『 HONKOWA 』 2013 年 3 月号はただいま全国書店・コンビニ店頭にて大絶賛発売中なのでありました。
で、次号は 「 術者の謀略 」 の後編に、にちゃんで人気の TONO さん、あるいは子どもの頃に霊能力が強すぎて高野山に預けられていたという怪しさマンテンなボーイッシュ・ガールのカヤちゃんシリーズが掲載され、さらに三巳華さんの 「 スピ☆散歩 」 にはオーラマスター・氷室奈美さんまでがご登場されるという、これまた豪華絢爛なことこの上ないプログラムが予定されているとのことで、約二ヶ月の忍辱修行に励む決意を新たにもする今日この頃なのでありました。