さて、三巳華さんのヘッポコ霊感が捉えた驚愕の真相とは別に、現場の空気の禍々しさに恐れおののき足早にその場を後にした私は、次のスポットである 《 五條天神社 》 へと移動しました。

ドワンのブログ@アメーバ-五條天神社
《 五條天神社 》

 いまだ心は穏やかならずの心境ではあったものの、とりあえずは三巳華さんの言葉に耳を傾けると、三巳華さんはここで今度は “ 糊のきいていない白い着物をだらりと着た人 ” の pure vision を得たという事で、その “ 白い着物をだらりと着た ” 姿で顕現した pure vision から得たメッセージは、 < 歴史云々ウンヌンハ後デモイイ “ ゼイヲ見ナサイ > と言うものでありました。


 この < “ 邪 ” を捨て “ 贅 ” を見よ > という一連のメッセージは、仏教的的にもある意味で理に叶ったものでありまして、チベット仏教などの業界では実際的な修行に入る際に、一般に前行という体系に従って 《 懺悔んげ・積徳 》 という事が行なわれたりしてもいるわけなのでありますが、この場合に < “ 邪 ” を捨てよ > という事がネガティブな影響力の浄化を意図する 《 懺悔んげ 》 の行に照応し、 < “ 贅 ” を見よ > という部分が 《 積徳 》 に照応しているわけで、さすが私の玲子さんが見込んだ三巳華さんの得た pure vision だけの事はある、と言うべきでありましょう。


 が、しかし、それにしても三巳華さん描くところの、商人風のちょん髷男に徳利で酌を受けて接待されながら宴に興じている高僧の姿に対して、まったくなんのノリツッコミもなされずにスルーされてしまっているあたりに、三巳華さんの感性、というよりも現代日本におけるコスプレ坊主の浸透ぶりが垣間見えるというか窺えて別な意味で大変に興味深くもあったりするのかとも思いますが、そのお話はまた別の機会に譲ることに致しましょう。


 いずれにしろ、三巳華さんたちの一行は、 “ 白い着物をだらりと着た ” 姿で顕現した pure vision とともに視えた五條天神社から眺望する不忍池の vision の検証も兼ねて、次のスポットである不忍池・弁天島へと移動したのであります。


ドワンのブログ@アメーバ-不忍池・弁天堂
《 不忍池・辯天堂 》



 不忍池の弁天島にある辯天堂は具には 《 東叡山寛永寺辯天堂 》 と呼称されるものとされ、毎年 9 月の第二の巳の日に行なわれている 《 巳成金みなるかね大祭 》 などで広く一般にも知られるとともに、この日には金運関係にご利益があるとされる 《 巳成金の小判 》 や 《 福財布 》 などが頒布されることなどでも知られています。


 三巳華さんのヘッポコ霊感はここでは不発に終わり、作品上ではここはさらっと流されてしまっていましたし、今年の巳成金大祭もすでに終わってしまっていましたので、今回は私もここは軽く流してご挨拶をする程度におさめた上で参道を引き返したのでありますが、その際にとんでもない事件が勃発してしまいました。


 実は、不忍池にポツンと浮かぶ弁天島の辯天堂へと続く参道の入り口のところに 《 桜木亭 》 というお休み処というか飲食店があるのですが、辯天堂への参拝帰りにここで、格差社会の最底辺に生きる私も意を決して 300 円という大金を払ってソフト・クリームをオーダ ーしたのであります ( マクドの 100 円ソフトのなんと三倍の値段であります ) 。


 店員の女の子は、ルックスは悪くはないのにも関わらずいかんせん愛想が悪く、今にして思えば、この時からすでに事件は始まっていたのでありますが、その時の私は 300 円のソフトクリームに意識をとられその微妙な違和感に気が付く事ができませんでした。


 いずれにしろ、そを食するに 100 円硬貨を三枚も要するという高貴なるソフトクリームをオーダーした私は 300 円を払って商品を受け取り、それを嘗めつつ桜木亭の裏に移動したのであります。


 すると、そこには甘美な味で人類を魅了する天界のアムリタが所狭しと、 自動販売機という下界の姿に権化して下賜されているではありませんか。


 即ち、桜木亭の裏にはジュースの自販機が五台も並べられていて、そこから様々なアムリタをよりどりみどりで選べるわけであり、さすがは恩賜公園と感動しながらも歩を進め、私は一番奥の自販機でオロナミンCを購入しようとしたのでありますが、その時、私の手が一 瞬止まりました。


 下界の自販機でオロナミンCを購入する場合には通常 110 円あれば十分なのですが、なんとその自販機にはオロナミンC一本の値段 が 《 130 円 》 と表示されていました。


 山の上というわけでもなく、都会の都心のど真ん中にふつうに設置されている自販機のジュースの値段がなんと通常価格に対して 《 20 円増し 》 の 《 観光地値段 》 に設定されていたわけであります。


 さすがは天下の天台宗が管轄した旧寛永寺跡に設定された恩賜公園だけのことはあると言うべきところなのでありましょうが、公園の水道の水をシャワー代わりにしている上野公園の住民の方々がこの値段に否やがないというのであれば致し方ありません。


 私もその値段設定に従うほかはなく、断腸の思いで 130 円をジュースの自販機のスロットに投入して一本 130 円のオロナミンCを購入し、五台並んだ自販機の前を移動しながら、濃厚なソフトクリームで甘々の状態となった口の中にさわやかなオロナミンCの炭酸を流 しこんだのであります。


 が、その時にふとっ、私がオロナミンCを購入した自販機とは反対側の一番端 ( 私がオロナミンCを購入したのは 一番奥側でしたので、入口側の自販機ということになりますが、そ ) の自販機でもオロナミンCが販売されているのに目が留まりました。


 そして、その次の瞬間、私の目は点となってそこにくぎ付けとなり、驚愕の事実を発見したのであります。


 なんと、その自販機のオロナミンCは 《 120 円 》 で販売されていたのであります。


 ……。


 もちろん、 120 円とて下界の自販機の 110 円という値段設定からすれば十分に観光地値段なわけではありますが、いずれにしろ、私はその場でさえも本来ならば 120 円で買えたはずのオロナミンCドリンクをさらに 10 円増しの 130 円で購入してしまっていたというわけです。


 その時、私は地の底のコリダーの下から囁きかける彼らの声を聴いたのであります ( 桜木亭にはコリダーなんかありませんでした、が ) 。


 そう、これは明らかにあの 《 穴稲荷 》 の祟りと言えるのではないでしょうか。


 不用意に穴稲荷の地を訪れた私をかの穴稲荷は許すことなく執拗にその後を追尾して、私を陥れる機会を虎視眈々と狙っていたのであります。


 ただでさえ格差社会の最底辺でつつましく暮らしているというのに、ここに穴稲荷の呪詛パワーが加わりでもしようものなら、須臾に してその最底辺は打ち破られてしまい、奈落[ナラカ]の底へと叩き落されてしまうは 必定と言うべきでありましょう。


 あな恐ろしや穴稲荷……。


 毎回々々、本来なら 110 円で購入できるはずのオロナミンCを 20 円増しの観光地値段などで購入しなければならなくなってしまったならば、格差社会の最底辺でようよう隙を突くが如くにして生き延びているに過ぎない私如きの財政生活はすぐに破綻してしまわざるを得ないわけで、格差社会のさらにその下層へと没落してゆき、私にも公園の水道をシャワー代わりにする生活への道がその口を開けて待ち受けているという事態が予想されるわけであります。


 逃げちゃダメだ、逃げちゃ駄目だ、……、ではなくて、ここは逃げなくちゃダメなシチュエーションであります。


 そこで私は、今回のスピ☆散歩検証の巡拝はここで急遽切り上げる事にして、恩賜公園から上野アメ横方面へと踵を返して一路、徳大寺を目指したのでありました。


 そう、上野アメ横には経典に “ 常行日前。日不見彼。彼能見日 ” としてその尊徳を称えられているあの摩利支天を祀る寺として知られている上野・徳大寺があるのであります。


 そこまで行けば、……、摩利支天を祀る徳大寺まで行けばなんとかなる、そんな一縷の望みを抱いて必至の形相を押し隠しつつも私は上野・ 徳大寺へと急いだのであります。


 幸いなことに、無事に徳大寺にまでたどり着く事ができた私はご本堂で手には隠形印を結んで口には摩利支天のご真言を誦し ( 徳大寺さんは日蓮宗のお寺さんなので真言を唱えたりはしないでしょうが、細かい事は no problem という事で… ) 、心においては摩利支天の内証三昧に入って摩利支天の加護を願ったのであります。


 ひとしきり摩利支天のご尊徳に預かってから周囲の様子を窺いつつ徳大寺の境内を出て、私は家路へとついたのでありますが、本当に危ないところでありました。


 気が付くのがあと一歩遅かったならば、私はあの穴稲荷の呪詛パワーに取り殺されていたかもしれません。


 そんな反省をしつつ地元の某駅までようようたどり着いた私は、朝からろくな食事を摂っていなかった事を思い出し ( 300 円のセレブなソフト・クリームていどしか摂っていませんでした ) 、目についた某パスタ屋へと入りパスタとコークを注文したのであります。


 ところが、その時に私のオーダーを聞いていた店員が不思議な言葉を発しました。


 「 単品になりますが、よろしいですか? 」 と。


 もちろん、私は単品でパスタとコークとを頼んだわけなのですから、その問いに対して否やのあろうはずもないのですが、店員が立ち去ってからふっと気になってメニューを見てみると、なんとメニューにはパスタのセットというものがあるではありませんか。


 パスタが来る前にコークを運んできた店員に尋ねてみたところ、パスタとコークを頼んだ際に、もう一品サラダを追加オーダーしていたならば、それはパスタ・セットになったという事で、パスタのセットになると、商品はサラダが一品増えているにも関わらず、その値段が単品でパスタとコークを頼んだ場合よりも安くなる、という事なのであります。


 そして、その追加の一品であるサラダを頼まなかったせいで私のオーダーはセットの扱いにはならない、という事なのでありました。


 つまり、パスタ+ドリンクの値段が単品で 1,200 円、それにサラダを追加オーダーしていたならば、セット扱いになってパスタ・セットで 980 円だった、という事なのであります。


 ああ、なんという事でありましょうか、ここでも私は不必要に 220 円も余分な支出を余儀なくされてしまっていたのであります ドクロ


 私に取り付いていた穴稲荷の呪詛はいまだ祓われてはおらず、今も私に取り憑いたままその暴悪なる怨霊力によって私を呪詛り殺そうとしているのでありましょう。


 今、こうしてブログに投稿するためにパソコンのキーボードを叩いている私の部屋の隅には、穴稲荷の呪詛パワーを凝縮した怨霊が息を潜めて私を呪詛り殺す機会を虎視眈々と狙っているのでありましょうか…… 叫び


 恐ろしや、於ソロ氏や、あな恐ろしや穴稲荷…… ドクロ


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