さて、ホラー漫画業界の帝王と呼ばれて久しい永久保貴一さんの実話心霊レポート漫画に登場して一躍人気者となり、 《 太陽さん 》 の指導のもと霊能者として活躍しながらも、その後は永久保さんのもとをはなれて別な漫画家さんの漫画でその活躍が世に知られている実在の若手美人霊能者さんに 《 稲葉朋子 》 さんとおっしゃられる方がいる事は皆さんすでによくご存知のことかとは思いますが、その稲葉さんの活躍の一端を描き、稲葉さんご自身も監修者としてその名をつらねる実話系ホラー ( ? ) 漫画の単行本が発行されています。
永久保さんのもとを離れて新しく関よしみさんという漫画家さんの筆によって世間に公表されている稲葉さんの言動には、永久保漫画時代からの古参のファンやウォッチャーからは多く批判や疑問が呈されてもいて、あるアマゾン のレビュアーさんからは “ 『怪異談』シリーズのファンの方は絶対に買わないほうがいい ” とまで酷評されている始末の稲葉さんなのではありますが、そうまで言われてはもともと “ 『怪異談』シリーズのファン ” である私としては、ここは何を置いても同書を購入して真偽のほどを確かめてみずばなるまいと考えて、あえて一部の方にとっては “ 買うんじゃなかったと後悔 ” してしまうほどの大金を払って購入してみたものであります。
が、案に相違して、世上言われているほどには稲葉さんご自身に変節のようなものは感じられず、私からすれば稲葉さんて前からこんな感じじゃなかったかなというのが正直なところではあります。
そもそも稲葉さんは永久保漫画の 『 怪異談シリーズ 』 時代から、気の専門家であるH師匠の唯物的とさえいえるオカルト理論を正面から批判していたわけで、もともと霊魂論者だったわけですから、この漫画におけるその言動にはいまさら驚くほどのものがあるとも思えません。
もっとも、 “ ずっと昔太古の出雲に調査員として仲間と一緒にやってきたの ” だの “ 宇宙じゃなくて異次元からきたのよ ” などという稲葉さんが前世で異次元人だったというカミング・アウト発言にはさすがにビックリはしましたが、それさえも、宇宙人や未来人に超能力者というパーティーに普段から慣れ親しんでいる私からすれば、これで手役がそろったわい、とでもいったところでありましょうか。
それよりも稲葉さんの印象を必要以上に悪くしているのは漫画の作者である関さんなのではないかと私には思われ、漫画の中において関さんがご自身で描かれている関さんのチャラ子ぶりにはイライラするというか、正直 「 ウザッ 」 と思ってしまいました。
そもそも、永久保さんの 『 怪異談シリーズ 』 における最大の魅力はH師匠の影響下に展開される独特の 《 永久保霊学 》 とでもいったものにあるのであって、その体系下においては、もともと稲葉さんは傍流だったんですよね。
そのような意味においては、何も稲葉さんが変節してしまったわけでもなく、私個人の結論としては、この本を買って損したとは全然思いませんでした。
だって、そもそもたったの 630 円ですし……。
まぁ、 『 ムー 』 というよりは 『 スターピープル 』 あたりの読者が読者層としてはもっとも適合するのかななどとも思うのですが、オカルトというよりは軽めのニューカマー・スピリチュアルなコミックとしてなら充分に楽しめるのではないかと思います。
もっとも、H師匠の唯物的とさえいえるオカルト理論の信奉者とも言える私からすれば、少し斜に構えて 「 けっ 」 というところではありますけどね。 ← 2015年6月に稲葉さん関係のグルッポに登録させていただきましたので、この部分について、訂正のうえ謹んでお詫びさせていただきます。