かつて日本がもっと輝いていた高度成長時代 ( には、その光り輝く希望の影に様々な矛盾が覆い隠されていたわけではありますが、その話はここではひとまず置くこととして…、そんな時代 ) に、時代の要請でもあった民族大移動という意図の下に多摩丘陵を切り開いて開発された人工都市の代表ともいうべきものの一つに 《 多摩ニュータウン 》 と呼ばれる地域があったという事は、ご存知の方も多いかと思います。
この多摩ニュータウンなる人工都市とそこへと連なる沿線地域には縄文時代の遺跡も多く見られ、開発と同時に遺跡の発掘調査などもされていて、一部ではこの辺りは 《 実話ホラー漫画 》 業界でいうところの 《 住んではいけない土地 》 の一つなのではないか、などと噂されることもしばしばなのではありますが、そのお話も今日はひとまずお預けという事にしておきます。
いずれにしろ、そのように様々な意味で曰くのある多摩ニュータウンなのですが、その中心の一つとなっているのが小田急多摩線、京王相模原線、多摩都市モノレール線という三線が乗り入れている 《 多摩センター 》 駅ということになり、そして、そこから徒歩数分のところに 《 パルテノン多摩 》 なる謎の構築物が立地しているというのは、闇世界の裏では知る人ぞ知るところとなっているというのも皆様ご存知のところでありましょう。
これは 《 公益財団法人 多摩市文化振興財団 》 という組織を隠れ蓑としながら人類の叡智を傾けて建設された謎の巨大建造物で、その建造物の地下には古代ギリシャのパルテノン神殿へ通じているという秘密の地下回廊がある…、とも一部では噂されているらしく、さらにその下部施設として 《 歴史ミュージアム 》 というこれまた謎の秘密組織が博物館という隠れ蓑の下に運営されている、という事も、暗部世界の一部の事情ツウの間ではよく知られている事実だといわれています。
《 パルテノン多摩全景 》
その《 パルテノン多摩 》 傘下の 《 歴史ミュージアム 》 で今 《 歴史ミュージアム2011年度特別展 》 として (← 3 月スタートの為にお役所的には 2011 年度、になります ) 、なにやら 「 めぐることは、つながること―。 」 なぞというテーマのもとに 《 聖地をめぐる行者と庶民 》 展なるものが開催されているとの極秘情報をつい先日とあるつてから入手して、身の危険も顧みず単身突入して闇の底に隠された秘密組織の信仰の実体を探ってきました。
同展覧会では、 《 多摩 》 という 《 地域 》 に焦点を絞った上で、
- 《 多摩の六十六部 》
多摩地域に伝わる資料に基づいての六十六部と呼ばれる聖地巡礼についての考察 - 《 富士信仰と行者 》
多摩地域における富士信仰と富士信仰系教団に所属する行者についての考察 - 《 西国の聖地を目指す人々 》
庶民の参詣を中心として西国の聖地と多摩の人々の関わりについての考察 - 《 今なお続く代参講 》
多摩地域における代参講からみた現代における人々と聖地との「つながり」についての考察
という主に四つのフェーズから展示が展開されています。
まず第一の六十六部というのは、 『 法華経 』 を六十六部写経した上でそれを全国津々浦々の六十六か国の聖地に一部ずつ埋経して廻る巡礼行為の事で、略して 《 六部 》 と呼ばれる事もあり、実際上はその巡礼行為よりも 《 六部殺し 》 の伝説として耳にされる事の方が多いかもしれません。
六十六部の縁起について、 『「六十六部」とは何か (徳島県立博物館ニュース49[2002年]の「レファレンスQ&A」欄を改題・改稿)』 では、
縁起としてよく知られているのは、『太平記』巻第五「時政参籠榎嶋事」です。北条時政の前世は法華経66部を66カ国の霊地に奉納した箱根法師で、その善根により再び生を受けたと説くのです。また、中世後期から近世にかけて、源頼朝、北条時政、梶原景時など、鎌倉幕府成立期の有力者の前世を六十六部廻国聖とする伝承が定着していました。これらは、六十六部廻国巡礼の起源が関東にある可能性を示唆しています。
史料的には、13世紀前半にすでに六十六部廻国が行われていたことが確認できますが、いつまで遡るのかは不明です。さかんに行われたのは室町時代以降、とくに近世でした。
と通説を紹介しながらも、一般に 《 六十六部 》 として知られているこの廻国巡礼の風習が一体いつ、どこで、どのようにして始まったのかという起源については必ずしもはっきりとはしていないものとされています。
そのような 《 六十六部 》 として知られている信仰に基づいた 《 六部殺し 》 の伝説は
第二の 《 富士信仰 》 というのは、角行という行者が永禄 3 年 ( 1560 年 ) に富士西麓の 《 人穴 》 と呼ばれる洞穴に籠もって感得した特殊な富士信仰の事で、この富士信仰に基づいて富士山に参詣したり各地に富士山を模した 《 富士塚 》 が作られたりといった事が庶民の間で盛行し、特に江戸時代には 《 富士八百八講 》 と呼ばれるほどにこの富士信仰に基づいた 《 講 》 が各地で結成されて、その勢いに恐れをなした幕府が禁令を発布したほどなのだそうであります。
上の写真は私の同僚がかつて極秘の任務を帯びて富士の人穴の探検に赴いた際に撮影に成功して私に託していった現在の人穴の様子を写した写真で、かつてこの穴の奥に籠もって秘密のリトリートを完遂することによって得たダク・ナンに基づいて角行が起した独特な富士信仰の流れは、平成の現在においても一部の秘密結社に伝えられて粛々と信仰され、その信仰の秘密を暴かんとしてこの人穴の探検に赴いたままその消息を絶ってしまった者の噂も数知れずあるという噂も一部にはある…、という噂を私も耳にした記憶があったりなかったりしたりしなかったりするようであります
上の写真を撮影してそれを私に託していった件の同僚も、その後精神のバランスを崩してしまい、かろうじて生きながらえられてはいるものの今では廃人同様の生活を送っている、という噂であります
つづく第三のコーナーでは 《 お伊勢参り 》 や《 四国巡礼 》 、あるいは 《 高野山信仰 》 などについて紹介されていて、下の写真は身の危険をも顧みず極秘裏に撮影した ( 、というのは冗談で、きちんと事前に闇の秘密機関に手を回して極秘の撮影許可のもとに撮影した ) 内部の展示コーナーの一部で、このコーナーでは多摩道中記という裏の機密文書における伊勢参詣ルートの考察を通じて多摩地域における伊勢信仰の秘密を公衆の面前にリークする、という危険な試みをしていました。
そして、最後の第四のコーナーでは代参講について紹介されていたのですが、そもそも代参講とはいかなるものなのかというと、往古においては信仰を同じくする地域共同体の構成員がお金を持ち寄って代表者にそのお金を託して代理で聖地に参詣してもらうという慣習があって、そのような行為やあるいは、そのような行為を行なう信仰集団の事を 《 代参講 》 など呼んでいるわけであります。
そのような 《 代参講 》 というものがかつてはこの多摩地域においても、富士講や群馬県榛名市の榛名神社 ( 参考ブログ1 ・2 )へ代参する講などをはじめとして様々なものが盛んに結成されていたものの、それらもやがては時代の波に洗われて消滅してしまい、現在でもかろうじて残っている代参講が唯一、あの東京都青梅市に鎮座する武蔵御嶽神社に代参する 《 御嶽講 》 だという事であります。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
これも玲子さんのお導きなのでしょうか、何やらおイヌ様の香りがそこはかとなく漂ってきました。
多摩地域ではかつて武州御嶽神社に代参する講が盛んに結成されていたという歴史的な経緯に鑑みて、本展示においてもその伝統が紹介されているわけで、会場では最後のコーナーにおいてその代参の様子を撮影したビデオが上映されたりしてもいるのですが、それにしても、法華経に纏わる六十六部を筆頭にして富士信仰からおイヌ様信仰までなんともまとまりのないというか多様な信仰形態が 《 多摩 》 という 《 場 》 を媒介として一挙に紹介されるという、マニアならば垂涎必死ともいうべきなかなかに壮観な展示会ではあります。
華やかなカラーの曼荼羅や国宝などという素人受けするような派手な展示品はないものの、墨色の図版や事務的な記録から再構成されて紹介されるかつての信仰の姿は、なかなかに参考になるのではないかと思います。
さらには同展示の関連講座として 「 行者と庶民の信仰史 」 というテーマの下に以下の四回の講座も開催される予定だという事ですので ( 一部開催済み ) 、お時間の許される方はぜひ一度お訊ねになってみては如何でしょうか…、と言いたいところなのではありますが、これらの講座では秘密結社 における信仰の秘密を白日の下に晒す危険な内容に触れられる予定のためか 3 月 31 までの事前予約が必要だという事で、今から講演を受講する事は不可能かとは思います、が。
- 特別展関連講座 「 行者と庶民の信仰史 」
- 第 1 回 4月14日(土)
「 地域資料から見た多摩の六十六部 」
乾賢太郎 ( 公益財団法人多摩市文化振興財団学芸員 ) - 第 2 回 4月21日(土)
「 富士信仰の変遷 」
梅澤ふみ子 ( 恵泉女学園大学教授 ) - 第 3 回 5月 5日(土)
「 高野山と伊勢の参詣習俗 」
村上弘子 ( 真言宗智山派智山年表編纂委員 ) - 第 4 回 5月13日(日)
「 武州御嶽信仰と代参 」
長沢利明 ( 法政大学非常勤講師 )
※ 講師名敬称略
講演は聴けないまでも、展示そのものは 5 月の末頃まで開催されていますので、今年のゴールデン・ウィークはぜひ多摩にお越しの上、往古の庶民信仰の種々層に思いを馳せてみては如何でありましょうか。
~ 2012年05月27日 (日) |
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開館時間 | 10:00~18:00 |
パルテノン多摩 歴史ミュージアム 特別展示室 |
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入場無料 | |
公益財団法人多摩市文化振興財団 |
実話系ホラー漫画ファンにはお犬様の武蔵御嶽神社、生粋のオカルト・ファンには角行の富士信仰、マニアックな京極ファンには六部殺しの伝説の母体となった六十六部信仰、その他一般の方にはお伊勢詣りに高野山、四国八十八箇所めぐりとなんでもありな上に、濃い~信仰の世界を満喫した後には、多摩丘陵を切り開いた秘密の楽園でリラックス・タイムを楽しむ事も可能であります。