さて、それに対して、『 HONKOWA 』 2012年5月号が絶賛発売中であります。

 今月号の『 HONKOWA 』はマユリーナの玲子さんシリーズと永久保さんの霊能坊主物語という二枚看板を筆頭に、単行本の売れ行きも順調のようでますます興に乗ってきた『オカルト万華鏡』、さらには漫画の中では変わらずにキュートな加門さんの久々のご登場とほぼオールスターキャスト状態であります。


 そんな強豪たちのひしめく今月号の 『 HONKOWA 』 の中でも一押しなのが 《 影御前 》 の通り名で知られた自然霊を守護霊として持つ漫画家さんの日常を描いた小林薫 作『 影御前Ⅸ 失われた川 』 であります。

 普段はこの 《 影御前シリーズ 》 は興味深おもしろくはあっても、華のあるなしでいうと基本二番手な印象だったのですが、永久保さんの作品が今回扱っている霊能坊主物語が今一なせいもあって俄然一番手に躍り出た印象があり、マニアの方々の評価も今回はかなり高いようであります。


 たまに気配を感じるだけのタイイプでしかなかったのについに見てしまったという知り合いの某誌編集者から彼がついに見てしまうという体験をしたその土地の霊的鑑定を依頼された小林さんが、《 自然霊にのみチャンネルを開放した霊感者(素人) 》 だという友人の桐生仁美さんを伴って 《 暗渠の街 渋谷 》 をアース・ダイヴしてみました・・・、というのが今回のお話なわけなのですが、良かったです。


 永久保人脈の中でも 《 太陽さん 》 の導きを受けている稲葉さんや霊能派の霊能者井口氏などから 「 なんでも気で分析すればいいってものじゃない 」 などと批判され、ネット上でも必ずしも評判が芳しいとばかりは言いかねるH師匠 ( =実在剣持さん=ほしのさん ) の物質主義的とも言えるほどの冷徹な分析を本来支持する立場にある私ではありますが、渋谷の暗渠はH師匠に分析してもらうよりも桐生さんに読み解いてもらった今回の物語の方が幸せな感が否めないような気がしますし、思わず 「 そうだ! 花をもって渋谷へ行こう 」 などと思ってしまったりもしたのでありました。


 文明礼讃派でゴリゴリの近代主義者の私にヒッキーのにちゃんねらーバリに 「 そうだ! 花をもって渋谷へ行こう 」 なんて思わせるなぞ並大抵の業ではありません。


 これは桐生さんの霊視 ( ? ) もさることながら、漫画の作者である小林さんの漫画家としての腕あればこそなのでもありましょうか。


 小林さんの正体 ( ? ) が可憐なメガネッ娘ではなく中年のオバさんだという事はすでに氷室奈美さんの作画でネタバレしてしまってはいるわけですが、それでも漫画家は漫画を描いてナンボのものですから、これで小林さんも殿堂入り確定でしょうか ( ← なんの? ) 。


 ちなみに、作中で触れられていた 《 国立オリンピック記念青少年総合センター 》 ですが、ここはいろいろと興味深いことのあるところでもあるようであります。


 知人から漏れ聞いたところによると、現在インドに再建されたナムギェル僧院で僧院長を務められている某トゥルクのチベット人ラマ様がまだ無役の若かりし頃に初めて来日された折りに、チベット仏教についての講義をされる会場として選ばれたのがこの 《 国立オリンピック記念青少年総合センター 》 だった・・・、という事でありますし、私自身の目撃談としてはラエリアンのオバさま…、ではなくてお姉様がたがなにやら怪しげな集会の為に集っていたのを目撃したのもこの 《 国立オリンピック記念青少年総合センター 》 でした。


 あるいは、台湾で盛んに普及されているらしい 《 長生学 》 などという気功なんだかレイキなんだかよくわからんものの伝授というか講習会のようなものが開催されたりしていたのもこの 《 国立オリンピック記念青少年総合センター 》 というところで、このようにして考えてみると、 《 国立オリンピック記念青少年総合センター 》 というのは結構怪しげな人たちを惹きつけるというか受け入れてくれる器のようなところであって、ある種のパワースポットと言うことも出来るのかも知れません。


 それでは、最後に唐突ですが、 BLANKEY JET CITY の名曲を You Tube からご紹介しておきます。



 いくつかの異なった側面から聴くことのできる曲ではあるわけなのですが、今回は政治的な事はさておいた上で、自然との共生というテーマの下に噛みしめてみたいと思います。


 ・・・。


 が、それでもやっぱり私は、最後はなお人類の叡智の発露としての文明を礼讃したいとは思うのですけど、ね。