以前に永久保貴一さんの 『 カルラ舞う! 』 シリーズの記念すべき 50 冊目にあたる 『 カルラ舞う! 』 の新シリーズ < 聖徳太子の呪術 > 編の第一巻を購入したお話をしましたが ( 記事はこちら から ) 、この第一巻には収録されていない ( 第一巻は第 1 話から第 4 話までを収録 ) シリーズ第 7 話 ( 『 ミステリーボニータ 』 2011 年 6 月号掲載 ) の冒頭に、剣持さんの強い勧めによって近江君が奈良県は吉野の金峯山寺蔵王堂に祀られる日本最大の秘仏・蔵王権現立像りゅうぞうを参拝に訪れるというシーンがありま した。


 それに対して、その蔵王権現とこの現実リアルの世界でご縁を結ぶ結縁灌頂が 《 千人結縁灌頂会 》 と称 して金峯山寺の蔵王堂にて四年に一度開催されているのだそうでありまして、ちょうど今年がその四年に一度のオリンピック・イヤーにあたっているようであります。


  金峯山寺にお祀りされる本尊は、正確には金剛蔵王大権現と称しているようで、この尊は約 1300 年ほど前に、金峯山の山上ヶ岳に おいて役行者が一千日のリトリートを実施した際に感得したと伝えられている三体の権現仏 ( 蔵王権現 ) の総称のようであります。


 三尊の内の中尊が釈迦如来 ( 過去世 ) でその右手 ( 向かって左手 ) 側が千手観音 ( 現在世 ) 、そして左手 ( 向かって右手 ) 側が弥勒菩薩 ( 未来世 ) の権化という事になっているようで、さらには、 “ 金剛蔵王 ” という名称は “ 金剛界と胎蔵界を統べるという意味も表してい ” るという事であるそうであります。


 永久保さんの 『 変幻退魔夜行 カルラ舞う! 』 の < 聖徳太子の呪術 編 > の 「 第 7 話 」 冒頭の記述によるならば、この金剛蔵王権現像はそのお像の姿を礼拝して、その像をイメージするだけで小周天・大周天が発動してしまうという優れものらしく ( もっとも、単行本化 される際には “ すべてフィクションです ” という但し書きが第一巻と同様にきちんと表示されるものとは思いますが・・・ ) 、これはぜひ一度は参拝して結縁しておくべき尊なのかもしれません・・・。


 ただ、近江君のようなプロなら一度拝んだだけでも小周天・大周天が発動してしまうというような事もあるのかもしれませんが、私たちのような素人ではなかなかそうもいかないでしょうから、ここはぜひ四年に一度という結縁灌頂を受法する事によって、ご本尊とのご縁を繋げて小周天・大周天の発動を目指そうではありませんか ( 叫び ) 。


 一度拝んで手を合わせ、その姿をイメージするのみにて、馬歩や武息などという地味な鍛錬などせずとも、あるいは長い時間をかけて座り続けるなどという面倒な事をせずとも小周天・大周天が発動してしまうなどという僥倖がまたとあろうはずがありませんから、ね。


 まさに高藤聡一郎仙人もびっくりな裏技ではあるのかもしれません。


 しかし、せっかく結縁灌頂を受けるからには、小周天だの大周天だのといったオカルト目当てばかりでは勿体ないもので、ここは一つしっかりと信心したいところでもあるかと思います。


 金剛蔵王権現は役行者の感得仏、即ち言ってみればテルマの尊格ですので日本固有の尊という事になり、インドにもチベットにも伝承のない唯一無二の尊という事にもなるのですが、これは一千日のリトリートの最中に役行者に釈迦・千手・弥勒と諸仏諸尊が次々とシェルトンかおみせしたにも関わらず、役行者がそれらに満足しなかったためについには釈迦如来、千手観音菩薩、弥勒菩薩がみなブチ切れて、最終的に釈迦如来、千手観音菩薩、弥勒菩薩という三尊即一の尊として蔵王権現がその姿を示顕された、という事になっているようであります。


 そんな蔵王権現様のご真言は一般には 《 オン・バキリユ・ソワカ 》 といい、これは釈迦如来の種字であるバク、千手観音菩薩の種字であるキリク、弥勒菩薩の種字であるユウという三つの文字を一つにまとめて真言としたもので、蔵王権現における釈迦・千手・弥勒の三身即一の深秘を顕わしたもののようであります ( 石鎚山あたりの石鎚金剛蔵王大権現となると、阿彌陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩といういわゆる彌陀三尊が示現した、という事になってもいるみたいではありますが・・・ ) 。


 但し、どういうわけか金峯山寺の本尊である金剛蔵王権現の場合には特別に 《 オン・バサラ・クシャ・アランジャ・ウン・ソワカ 》 をその真言としているとの事のようでもあり、また、彌陀三尊即一の石鎚金剛蔵王大権現のご真言も同じく 《 オン・バサラ・クシャ・ アランジャ・ウン・ソワカ 》 と唱えるものとされているようであります ( 石鎚山ではオンチキリエンと唱えているというお話もあるようではありますが・・・ ) 。


 御真言についてはそのように一般に二種類のものが知られているのではありますが、いずれにしろ、その尊容は左足一本で直立して右足と右手を高く掲げ、その高く掲げた右手には三毒を象徴する三鈷金剛杵を持ち、左手は刀印にして腰に当てるというのを通例としています。


 そんなとってもキュートな金剛蔵王権現様をお祀りしている金峯山寺なのですが、東京からでも日帰りツアーが可能なようでもありまして、某巨大匿名掲示板のある書き込みを参考にしてその参考例を示すと以下のようなコース設定が可能となるようであるみたいであります。


東京 → 吉野・金峯山寺
日帰りツアー
スケジュール
( 出典 → にちゃん-1 及び にちゃん-2
東京 京都  2 時間 20 分
京都 吉野  2 時間位
( 近鉄特急の接続で違う )
吉野 ロープウェイ乗り場  5 分
ロープウェイ  5 分
吉野山側ロープウェイ駅 金峰山寺 徒歩 10 分
  • 朝9時に東京を出て、
    夜8時に京都を出る新幹線で往復するとして、
    3-4時間はお参り可能
  • 金峰山寺、吉野山上のお寺は4時すぎるとほぼ閉鎖されてしまう
  • 但し、蔵王堂は 4 時 30 分まで開放

 ところで、吉野金峰山寺の蔵王権現堂を総本社として蔵王権現を祀った神社を一般に御嶽神社みたけ じんじゃと呼んで ( 金峰神社・金峯神社とも呼んで ) いるという事なのですが、本場の吉野は金峯山寺をお参りする前にまずはとりあえずという感じで関東近辺でどこか手頃なところはないものかと思案した末にネットを検索してみると、次のようなものが見つかりました。


 武蔵御嶽みたけ神社 ・・・ ( ウイッキ ) 。


 不覚なことに私はこの武蔵御嶽みたけ神社なる神社をあまり詳しくは知らなかったのではあります ( お犬様の神社としてその名前のみは耳にしてはいました ) が、まずは私にとっての近場である関東圏で蔵王権現様をお祀りしていると噂の武蔵御嶽みたけ神社を近々に参拝してみようかと思案している今日この頃ではあります。


 ちなみに、本記事本文とは直接関係ありませんが参考サイトとして次のサイトをリンクしておきます。


 役行者ファン倶楽部