だいぶ以前に職場の先輩というか上司筋なおっさんに戦前世代に近い方がいらっしゃって、その時にそのおっさんから、何やら昔の日本海軍には 《 五省 》 なるものが伝えられていて、海軍の軍人さんたちは毎日一日の終わりにはその 《 五省 》 なるものを唱えながら一日を振り返っていた・・・、などというお話を聞いた事がありました。


 戦後世代の私個人としては現公安の出自とも言える旧内務省や拷問大好き特高変態野郎などを擁するとともに、新兵いじめしか生きがいのない哀しい軍人風情に我が物顔で世間を闊歩させていた自由の大弾圧者たる大日本帝国は嫌いなのではありますが、まぁ、それはそれとして、一年の終わりを振り返ってみるに際してここで 《 五省 》 なるものをご紹介してみようかと思います。


《 五省 》
  • 一、至誠にもとかりしか
  • 一、言行に恥づるかりしか
  • 一、気力にくるかりしか
  • 一、努力にうらかりしか
  • 一、不精にわたかりしか

 日帝の是非は別にして、まぁ、一日の終わりにこんな信条を唱戒の如くに唱えながらその日一日の自身の言動を振り返って心を新たにする・・・、という事そのものは悪い習慣ではないと思います。


 ちなみに、今回の記事をエントリーするに際してネットで少し検索してみたところ、実はこの 《 五省 》 というものは、海軍さんの士官養成機関であった広島県江田島の海軍兵学校校長であった松下はじめ少将によって考案されたもので、その関係からこの 《 五省 》 と呼ばれる五つの信条・文言は、この江田島の海軍兵学校の生徒さんたちが、その日一日の自身の言動の反省をする鏡とするために唱えていたものだったようで、正確には海軍の軍人さん達全員が唱えていた、というわけではなかったようではあります。


 ちなみに、若い世代の方の為に上の文言について若干補足しておくと、 《 至誠に悖る 》 というのは “ 至誠にそむく ” とか “ 至誠に反する ” という程度の意味で、 《 努力に憾み勿かりしか 》 というのは “ 努力に物足りない点や不満に思うところ、心残りなどがなかったか ” という程度の意味になります ( 他はいくらなんでも問題ないですよね ) 。


 もっとも、本当に心の底からこの 《 五省 》 なるものが身についていたならば、戦前の日本があんな事になるはずもなかったわけなのではあって、これも反面教師なものというか、こういった事に反する現実があったからこそこのような反省の言葉がかえって求められ考えられた・・・・、という皮肉な現実というものなのではありましょうが、それでも、まぁ、言葉そのものには罪はありませんからね。


 そこで、毎日とは言いませんので、せめて一年の終わりの今日くらいは皆さんも、こんな言葉を唱えながら過ぎ行くこの一年における己が言動を振り返ってみては如何でしょうか はてなマーク