今日は土用の丑の日。
前回の記事では五行説に基づいた土用について触れたところで話が脱線してしまって、その土用の先の丑の日と鰻についてまで話が進みませんでした ( ・・・、というかほんとはその脱線話の枕にする為に少し早めに土用の丑の日の話を持っていったわけなのではあります ) が、今回は普通に土用の丑の日の鰻の話の続きです。
さて、土用については前回のエントリーで触れた通りなのですが、この土用の中でも特に夏前の土用に相当する約 18 日間の内のさらに丑の日に、 < 土用の丑の日 > として鰻を食したりする習慣の理論的根拠が五行思想に基づいているという事は現在ではかなり多くの方に知られているものかと思います。
これは夏の季節に配当された五行が < 火 > という事で、その < 火 > の働きを抑えるために < 火 > を剋する ( 牽制し抑える ) 作用を持った < 水 > の五行を用いようという事からきたもので、具体的には水の象意を持つ北方に配当されている子・丑からさらに陰の日である丑を選んでその日に丑と同じ < う > 音で始まる < うなぎ > を食する事によってその陰の気を体内に補い、もって夏の < 火 > の気に対抗しようと・・・、という術式の構成になっているということになります。
・・・。
えっ
「 それなら鰻じゃなくて梅干でもうどん良いんじゃないの 」 ですって
・・・。
確かに、魔術サイドに通じていない方の場合にはそう思ってしまう方がいたとしても仕方のないことではありますが、ことはそれほど単純ではありません。
皆さんもよく聞かれている事かとは思いますが、そもそもこの < 土用丑の日に鰻を > という術式は江戸時代最高峰のインテリさんであった平賀源内という方によって、夏に売り上げの悪い鰻の蒲焼の売り上げをアップさせるための秘策キャンペーンとして鰻屋さんの為に考案されたものであったため、そもそもこの < 土用の丑の日の鰻 > という術式は鰻でなければ術が発動しないようにその術式が構築されてしまっているわけなんですね。
即ち、そもそもこの術式の本来の目的は夏バテ防止などではなくて夏場に売り上げの伸びない鰻の蒲焼きの売り上げアップを図ることにあった ( と伝えられている ) わけなので、その為にこそ五行思想の秘法を駆使して組み上げられたこの術式に、梅干だのうどんだのといったものを組み入れる事によって術が発動してしまうようでは、みんなが梅干だのうどんだの好き勝手な < う系食品 > を食してしまって鰻の売り上げをアップさせるという所期の目的を果たすことが出来なくなってしまい本末転倒の逆噴射という事になってしまうわけで、ここは何がなんでも鰻でなければならないわけなのです。
だからこそ夏場の土用丑の日はいくら < う > 音で始まるものとは言え梅干でもうどんでもなく、鰻でなくてはならないわけなのです。
この術式はそもそもがそのように構築されているので、 『 う音がつきゃなんでもいいんだ! 』 などと言って梅干なんか食べても術式は発動されないのでみなさんも下手に臍を曲げたりしないようにご注意のほどを・・・。
夏の土用の丑の日にはぜひ鰻の蒲焼を・・・。