早いもので今年、 2010 年の 7 月もあとわずか。


 週が明けて来週の月曜日 ( 2010 年 07 月 26 日 ) には夏 ( 前 はてなマーク ) の土用の丑の日もやってきてしまいます。


 夏の土用の丑の日には夏バテ解消をという事で鰻を食したりもするわけですが、中華伝来の < 五行 > 思想に基づいた夏前の土用の丑の日に夏バテ解消を・・・という事で鰻を食すという習慣そのものには確たる根拠はないようです ( もちろん通説としての由来話は当然、世間に知られたものがありはしますが・・・ ) 。


 土用というのは、木・火・土・金・水という五つの要素範疇との照応によって世界のあらゆる事象を分類・整理しようとする考え方から派生したもので、五行の内の木・火・金・水を四季の春・夏・秋・冬それぞれに配当した上で、それら四季の間に四季の各期間よりも短め ( 具体的には約四分の一に相当する 18 日間 ) の移行期間を設定した上でそれらの四つの移行期間に五行の内の土を配当したところから、この期間には土の気が盛んになるとして < 土旺用事 ( 土の気がさかんになって働き支配する ) > と呼ばれたところから来たものになります。


 昔の暦のイメージは一年を 60 干支が六回巡る 360 日として、それを四季と土用という五行に配当することによって一季が 72 日 ( 360÷5=72 )となっていた為、土用は一年四回あるというところから 72÷4=18 という計算式によって一回の土用の期間は理論上は 18 日ということになります。


 実際の日程は平気法による ( 立夏・立秋・立冬・立春の前 18 日間を土用とする ) か定気法による ( < 土用の入りの日 > を天文観測による太陽黄経が 27°、117°、207°、297°に達した日とした上でそれぞれ立夏、立秋、立冬、立春の前日までを土用とする ) かで微妙に違ったりもするみたいで、定気法による場合には天文学的なものなので土用期間の日数が必ずしも 18 日とは限らずに 19 日になる場合もあったりするみたいです。


 この様に土用は夏前だけに限らず四季それぞれにあるものではありながらも、 『 夏前の土用に鰻を食べる 』 という歳時的行事のせいで、一般には夏前の土用のみが話題になる場合が大半かとは思うのですが、最近では商業振興の観点から夏前以外の土用についても積極的にアピールしていこうとする動きもあるようではあるみたいです。


 ところで、土用の根拠となったこのような五行思想は漢土において発達したものなのですが、これと類似した発想にインドの五大という発想法があることも一般によく知られているのではないかと思います。


 ただ、インドの五大という考え方については、スピっぽい方々が検討違いな勘違いをしていたりするのをたまに見かけたりする事があったりするのが玉に瑕疵キズという気がしなくもなかったりはするみたいでありまして、五大というのは、地・水・火・風・空という五つの要素の事なのですが、この五大の内の五つ目の要素である < くう > というものを仏教思想において < 縁起 > を意味する < 無自性くう > の < くう > と勘違いしてなんか検討違いな発言がされたりしている例が、たまにではありますが、見受けられたりもするようです。


 五大における地・水・火・風・空の < くう > というのは < 虚空 ( ) > という意味で < 空性くうしょう ) > とはまったくなんの関係もない別物になるわけなのですが、一般に五大のことを地・水・火・風・虚空とは言わずに ( 虚空以外の要素が漢字一文字なのでそれにあわせるという観点から ) 単純に地・水・火・風・くうとしか言い習わしていない為にそれを何か勝手に勘違いして、公刊雑誌のタイトルを五大の虚空のつもりで気取ってチベット語で ( まったく違った意味にしかならない ) 『 トンパ( ) 』 などとして発行された精神世界系の雑誌などが過去にはあったりもしましたし、個人のブログなどでは今でも相変わらずの勘違いから地・水・火・風・空の < くう > を空性の智慧を意味する般若の空と取り違えて何やら熱くなったりしている方などもいたりするみたいです。


 ・・・。


 まぁ、話が土用の丑の日から脱線してしまいましたが、要は事実関係や知識というものは正しく理解するようにしていく努力が常に必要なのであって、そのような基礎的な事実や知識をおろそかにするような輩の言説は、たとえどんな美辞麗句、巧言令色が並べられていようとも何ら信を置くには値しないものでしかない、という事を知る必要があるのではないかな、という事ですね。


 ちょっとネットを流していたら久しぶりに地・水・火・風・空の < くう > を般若の空と取り違えて何やら熱く語ったりされている勘違いなスピリチュアルさんのブログなどをたまたま見つけたりしたもので、まだこんな人がいるんだな~という感慨とともに少し脱線してみた今日この頃なのでありました。



※ 文中のチベット文字表示はフリーのシステム提供元の
サーバーの具合が不安定なものか、
日によって表示されないこと
もあるみたいです。