さて、昨年は、年の瀬も完全に押し詰まった最後の十日間に、の聖なるダライ・ラマ 14 世法王猊下による 《 道次第 18 論書 》 の伝授会 Season 4第 四 会 がネットにて公開された上、さらには大晦日を含めたその最後の二日間には、カダム派から伝承された十一面千手千眼観音様を中尊とした 《 カダム十六滴 》 という秘法の灌頂も公開され、まことに吉祥なこと何よりでありました。


 そんな吉祥な大晦日も明けて、申年というこれまた意味深な年を迎えた今日この頃ではありますが、ところで、皆さまは次のような歌をご存じでありましょうか。


長き(とお)ねむりの 皆目醒めざ
波乗り船の 音の良きかな

( なかきよの とおのねふりの みなめさめ
なみのりふねの おとのよきかな )


 これは、俗に出だしの一節から < 長き夜の > とか < なかきよの > 、あるいは < なかきよ > などと略して呼ばれている和歌になります。


 この歌は頭の上から読んでも下から読んでも同じ発音になる < 回文歌 > というもので、いくつかの言葉を縁起物にかけて読み込んであり、正月二日の夜にこの歌が書き込まれた七福神が乗り込んだ 《 寶舟 》 の絵を枕の下に入れて、この 《 なかきよ 》 の歌を 3 度唱えて眠りに就く事によって吉祥な夢を見る事ができる、と伝えられているものであります。


《 使われている掛け詞の例 》
みのりふね = みのり ( 実り )
とおの ( 遠の ) = とおの ( 十の )
長き夜 = 長き世 ( 長寿 )
船 ( 宝船 ) = 不音 ( 静か )

 
 また、《 なかきよ 》 の歌に関しては、この歌を歌いながら千代紙や折り紙などにこの歌を書き写し、その千代紙なり折り紙なりで帆掛け船を折ってそれを枕の下に置く・・・、という方法も別伝として伝えられていると言われてもいますし、さらには、それでも万が一に縁起の悪い夢を見てしまった場合には、その悪夢による邪気を払う為に、折り紙で折った船を川に流したりする事によって不吉祥な夢を修正したりするという伝承もあったりする、という事であります。


 ところで、最近ではなかなか七福神の乗り込んだ寶船というものも日常生活ではお目にかかる機会もないのではないかとも思いますが、なかなか豪儀なもののようであります。


ドワンのブログ@アメーバ-寶舟
七福神の乗り込んだ寶船


 上の画像は今はなき伝説のオカルト雑誌 『 トワイライトゾーン 』 のある年の正月号に付録として付いてきた七福神の乗り込んだ寶船の絵であります。


 残念な事に、 《 なかきよ 》 の歌は書き込まれてはいないのですが、これは好きなスペースに自らの手で 《 なかきよ 》 の歌を書き込むことによって呪術を完成させよ、というオカルト雑誌編集部ならではの親心と言うものなのでありましょうか・・・。


 《 なかきよ 》 の歌そのものは必ずしもポピュラーなものとは言えないものの、近年においては頭脳が硬化しきった学者風情の理解の及び得る範囲を遠く超越した日本文学の至高の達成とも言えるラノベと呼ばれるジャンルに属す一作とも言われる 『 マリア様がみてる 』 などの中にもこの歌を唱えて縁起の良い初夢を見るというエピソードが描かれている ( らしい ) ので、最近の若い方の中には逆にこの風習を知っているような方もいるのではないかと思います ( 私的には 『 マリア様~ 』 の世界にはちょっとついていけなさそうなので、それは未見なのですけど…… ) 。


 脳髄の硬化した団塊世代にはこんな事は知りもしない連中ばかりなのでしょうし、 「 そんなものは迷信だ 」 の一言で片付けてしまうような輩ばかりなのでしょうけど、ね。


 そんなどうでもいい連中は放っておいて、皆さんも、今晩正月二日の夜には寶舟に 《 なかきよ 》 の歌を書き込んで、せめて夢の中だけでも吉祥な体験をしてみては如何でありましょうか はてなマーク


ウイッキ参照

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%8D%E3%82%88