明日 2010 年 3 月 20 日は日の干支でいうと 《 己巳 》 の日で、この 《 己巳 》 の日という日は弁財天さまの大切な縁日という事になっています。


 一般によく知られた習俗に 60 日に一度 〔 庚申の日 〕 にみんなで集まって夜通しでドンチャン騒ぎを するという 〔 庚申講 〕 などと呼ばれるものがあって、このような講 ( 信仰上の集まり ) を、特定の 〔 日 〕 を待つところから 〔 日待ち講 〕 などと言う場合もあるようですが、この 〔 日待ち講 〕 というのは 〔 庚申講 〕 に限るわ けではなく、弁財天に関係したもので言うと 〔 巳待ち講 〕 というものが知られているようです ( 私は体験した事ありませんが・・・ ) 。


 〔 巳待ち講 〕というのは、 〔 庚申講 〕 のように 〔 庚申の日 〕 ではなく 〔 己巳 〕 の日、あるいはその前日などに信者宅に集まって弁財天を供養し、五穀豊穣や家内安全などの開運を祈願する人たちの集まり、つまりは弁財天を本尊 ( 対象 ) とした開運法を実践する人たちの集団や、あるいはそのような信仰行動の事を言うわけですね。


 弁財天あるいはもう少し特定して言うと宇賀弁財天と呼ばれるところの弁財天と宇賀神との習合した尊格は、もとの宇賀神の性格を引きずっているために 《 》 の日を基本的な縁日としていて、字面上その 《 》 とそっくりな 《 》 が重なった 〔 己巳 〕 の日を特に大きな縁日と考えるよ うになっていったようで、 60 日に一度めぐってくるこの日を待って 《 講 》 を持つという習慣が一部の秘教家たち ( 叫び ) の間では行われていると言うわけです。


 ただ、この縁日の日の取り方にも種々のものがあって、 〔 巳待ち講 〕 のように 〔 己巳 〕 の日を弁財天の特別な縁日として 〔 講 〕 を持つというのはどちらかというと表層的な習俗で、弁財天に関して中世紀以降に発展した秘教的伝統の中においては、ある特殊な条件を満たした 〔 〕 と 〔 〕 の日を縁日としたりする例もみられたり します。


 中世紀の日本仏教界において、弁財天を本尊として偽撰された経典に、〔 弁財天三部経 〕と呼ばれたり〔 弁財天五部経 〕と呼ばれたりしているセットがある事はマニアの方たちの間ではよく知られている事と思いますが、その中からいくつかの経典をピックアップして一本に纏めたものに 『 大辨財天勤行集 』 というものがあります。

Bentenkyou2_2大辨財天勤行集
主要な収録経典
  • 『 般若心経 』
  • 『 佛説大宇賀神功徳辨財天經 』
  • 『 大辨財天女秘密陀羅尼經 』
  • 『 佛説即身貧転福徳円満宇賀神将菩薩白蛇示現三日成就経 』

 上の勤行集は特に 〔 弁財天五部経 〕の中から上に掲げた三本、即ち、 『 佛説即身貧転福徳円満宇賀神将菩薩白蛇示現三日成就経 』 を中心とした上でそれを 『 佛説大宇賀神功徳辨財天経 』 と 『 大辨財天女秘密陀羅尼経 』 の二本で補強して一つの次第に纏めたもので、この次第に従ってたったの三日間だけ祈願する事によって、頭上に老翁をいただいた 〔 八臂弁財天 〕 が 〔 白蛇形 〕 を示現して一瞬にしてワープア・ニートをセレブにしてくださる、というとってもありがたいものなのですね。


 ここに紹介した版は誤植が多いなどとして一部のマニアには不評をかっているようです ( 実際にいくつかの誤植がある事はあります ) が、まぁ、何もないよりはまだましです。


 あなたもセレブを目指して貧転してみませんか?