このブログを御覧になっている方の中でどのくらいの方がご存知かはわかりませんが、一般に < 実話系ホラー漫画 > と呼ばれているマンガ雑誌のジャンルがありまして、そのジャンルの雑誌としては老舗の部類にはいるものとして 『 隔月刊 ほんとにあった怖い話 』 、通 称で 『 ほん怖 ( ほんこわ ) 』 と呼ばれているものがあります。
この雑誌は途中で発行する出版社が変わって現在はあの朝日新聞社から発行されているのですが、その中身はいわゆるバリバリの < 実話系ホラー漫画 > です。
各号はいくつかのメイン・コミックとサブメイン・コミック、タレントものコミックと読者投稿ものコミックなどによって構成されているのですが、その内で雑誌のメインを張っている名物マンガの一つとも言えるものに山本まゆりさんという漫画家さんの作品で 『 魔百合の恐怖報告 ( ショック・レポート ) 』 というシリ ーズがこの雑誌には掲載 ( 不定期連載 ) されています ( 当初はホラー系月刊少女漫画雑誌の 『 ハロウィン 』 に掲載されていたのですが、 『 ハロウィン 』 が休刊になってしまってから、この漫画は読者人気が高かったので 『 ほん怖 』 に移籍する形になって現在にいたっています ) 。
そして、そのシリーズでは主人公として < 寺尾玲子 > さんという謎の < 実在する霊能者 > さんが登場して、その謎の < 実在する霊能者 > さんが読者から寄せられた様々な 霊的問題を快刀乱麻を断つが如くに解決しているようなのであります。
その < 実在する霊能者 > である寺尾玲子さんの初期の活躍を描いた作品の数々を収めた作品集がこちら・・・。
これは 『 恐怖報告 』 シリーズの < 第三集 > になるのです ( 正式呼称ではありません ) が、この < 第三集 > には 『 ハロウィン 』 時代に 『 ハロウィン 』 本誌に掲載された 「 恐怖報告 ( ショックレポート ) 」 の 〔 その 7 〕 から 〔 その 10 〕 までと 『 ハロウィン 』 増刊号に掲載された 「 イタリア編 」 が収録されています。
中でも注目なのが 「 - 魔百合の恐怖報告 その 8 - 霊道にある家 」 と題された作品で、この作品は現在の < 実話系ホラー漫画 > の世界ではごく普通に使われるようになった 《 霊道 》 という言葉が使われている極めて初期のものではないかと思います。
もちろん、『 魔百合の恐怖報告 』 に限定してもこの 「 霊道にある家 」 という作品以前に 「 過去への手紙 」 という作品ですでに 《 霊道 》 という言葉が使用されているので、その意味でも別にこの作品が初出というわけではありませんし、寺尾玲子さんが 《 霊道 》 という言葉の創案者というわけでもないのでしょうが、少なくとも心霊ものなどはあまり頻繁にチェックしているわけではない ( 有名なギボさんとかも全然興味なかったですし ) 私にとっては、 『 魔百合の恐怖報告 』 が 《 霊道 》 なるものとの初めての出会いだったよ うな気もします。
いまでは < 実話系ホラー漫画 > の雑誌を開けば 《 霊道もの 》 が出てこない号はない ( ちなみにこれはレトリックですからね w ) のではないかという位に頻出していて、 「 あそこに霊道が・・・ 」 、 「 ここにも霊道が・・・ 」 といった具合で、 《 霊道 》 なしでは業界が成り立たないほどにポピュラーな概念として普及してしまっているようではあります。
ただ、昔はそんなに 「 霊道が・・・、 」 などというセリフは聞かなかったようにも思うんですけどね。
まぁ、それはそれとして、いずれにしてもこの処理するのに厄介な 《 霊道 》 というものに対してこの作品で寺尾さんは一体どのような対処をして相談者さんの霊障問題を解決したのかというと、実はこれが 《 四天王 》 さんたちのお力を借りて相談者の居住する家を貫通していた 《 霊道 》 を持ち上げてずらしてしまう、という大技を繰り出したわけですね。
《 四天王 》 は六欲天の第一、四大王衆天の主宰者にして忉利天に住む帝釈天に仕え、持国天が東勝身洲 ( とう・しょうしん・し ゅう ) を、増長天が南瞻部洲 ( なん・せんぶ・しゅう ) を、広目天が西牛貨洲 ( さい・ごけ・しゅう ) を、多聞天が北倶廬洲 ( ほっ・くる・しゅう ) を守護するとされ、世俗世間においては主に国家護持を得意としている天部尊とされています。
日本では、かなり早くから信仰されていて、古代日本において仏教を導入するに際して起こった土着の神祇との抗争の投影である蘇我馬子と物部守屋との戦いにおいてかの聖徳太子がこの 《 四天王 》 に祈願して勝利を得たことや、その供養として摂津国 ( 大阪市天王寺区 ) に四天王寺を建立したことなどがつとに知られています。
チベットでも 《 薬師経マンダラ 》 という有名なマンダラにおいてその構成員として採用されているほどですし、四天王のメンバーの一人である 《 多聞天 》 が 《 毘沙門天 》 としての華麗なソロ・ワークを展開している事などは以前の記事 ( → こちら ) などでも触れたとおりです 。
現在の玲子さんならおそらくは印を組んで軽く瞑目して念じただけで霊道などは簡単にずらしてしまえるのではないかとも思うのです ( 仮にそういうものがあったと仮定しての上です ) が、この頃というか初期の頃は意外と儀式めいたこともしていたみたいで上の作品のケースでは、まずは家の中心を正確に割り出した上でその中心に十字を書いた ( 和 ) 紙を置き、その十字を正確に東西南北の四方に合わせて十字の先端部に塩を盛る・・・、などという準備をすることによって東西南北のれぞれの方位を司っている四天王さんの力を借りて邪魔な 《 霊道 》 をずらす、というような事をしていたみたいでした。
当時は 「 そっか~、四天王さんにはそんな特技があったのか~、知らなかったぜ 」 などと思ったりもしたものです。
ところで、四天王さんの力をお借りして邪魔な 《 霊道 》 をずらしてみたいと思ったそこのそんなあなたに、四天王さんのパワーをいただく為の秘詞、・・・、ではなくて偈を一つご紹介する事にしましょう。
この偈は、私が若かりし頃に早稲田の某古書店の親父に騙されて ( ) 購入した怪しい秘伝書 (
) に掲載されていた秘密儀軌 (
) から引用したものです ( ちなみにここではこのブログを閲覧される方の為に和訳をつけてありますが、原本には和訳なんかついてませんからね。てゆーか、出版年さえもクレジットされていませんでしたし ) 。
持国天に増長天
広目天に多聞天
各々 ( おのおの ) 眷属を教化し四門を守護する
四天王に対 して礼拝せん
さぁ、この偈を唱えてあなたも邪魔な 《 霊道 》 を四天王のお力でずらしてもらって・・・、と思ったら、もともと 《 霊道 》 な んか通っていなければそれをずらす必要もありませんね。
ウチももともと 《 霊道 》 なんて通ってなかったんで、はじめから霊道をずらしてもらう為の儀式なんかする必要もありませんでし たよ。
素人が下手に 《 霊道 》 をずらす儀式などしたら、もともと自宅をそれて通っていた霊道がかえって自宅にかぶってしまった、などという 「 笑える怖い話 」 にもなりかねません ( まぁ、冗談ですが ) 。
もっとも、別に 《 霊道 》 の処理だけが四天王さんの功徳というわけではなく、四天王さんは 《 国家護持 》 というのも重要な役割としてもたれている天部尊ですので、なんだか日本の命運・国運も尽きかけているのか ? と思わざるを得ないような今日この頃、日本再生のためにも一人でも多くの方にこの 《 四天王礼拝偈 》 を唱えていただければと切に願っております。
ところで、この山本まゆりさんの 『 魔百合の恐怖報告 ( ショック・レポート ) 』 シリ ーズなんですけど、現在はどうなっているのか知りませんが、当時は単行本化するに際してその正式名称には < 通し番号 > がまったくなかったん ですよね。
『 魔百合の恐怖報告 』 + 『 ○○○ 』 という感じでそれぞれの巻が独立した扱いになっ ていて、購入する際に苦労したのを覚えています。
というか、私が 『 魔百合の恐怖報告 』 シリーズを購入しなくなった理由は < 通し番号 > が振られてなくて蔵書確認が面倒くさ くなったから、というのが唯一最大のものでした。
単行本本体の表紙や奥付は言うに及ばず、雑誌本体における広告においてさえも < 第○巻 > だとか < 第○集 > だとかの表示は一切な し ( もっとも雑誌掲載の広告には途中から < 第○集 > と入るようになったようにもうっすらとは記憶していますが、・・・、時すでに遅しでした ) 。
一体あれはどういうつもりだったんでしょうね?