昨日、 2010 年 02 月 14 日のバレンタインデーは、日本の旧暦の一月一日であるとともに、チベット暦の新年一月一日でもありました。
チベットでは新年元日のことを 《 ロサル ( ; 新しい年 ) 》 と呼んでいて、かの国においてもやはり新年を祝う行事が様々にあるようではあるのですが、去年あたりからは政治的な状況に鑑みて新年の祝賀を自粛するような空気が漂っているようではあります。
ところで、今年のロサルがたまたま西暦の 2 月 14 日に当たっていたために、その翌日が 2 月 15 日になっているわけなのですが、この 2 月 15 日という日は日本の仏教徒にとっては大変に大切な日であります。
それは、この 2 月 15 日という日は日本の仏教の伝統においては仏教の開祖であるお釈迦様が涅槃された日、即ちお釈迦様の命日であるとされているからです。
その為この日には日本の仏教の伝統においては 《 涅槃会 》 と呼ばれる法要が行われる習慣があって、かの高野山においてはその前日の深夜から若手の阿闍梨さんたちが集まって 《 常楽会 》 と呼ばれる 《 涅槃会法要 》 が執行される伝統があるそうです。
高野山でおこなわれる 《 常楽会 》 は前日の夜から徹夜で行われるようなのですが、そのように前日深夜から夜を徹してというまでの気合はいれないまでも、お釈迦様の事跡を顕彰する意味で、お釈迦様がお亡くなりになった際の様子を写した 《 釈迦涅槃図 》 という画を掲げてその前で、お釈迦様の遺言とも言える 『 仏遺教経 』 というお経を読誦するという伝統が一般的にもあります。
お寺さんなどではきちんとしたものを用意するのでしょうが、素人の個人ではなかなかそうもいきませんので、うちでは 《 釈迦涅槃図カード 》 をミニ・デスクに飾ってその前で 『 仏遺教経 』 等々を唱えたりすることによって 《 プチ涅槃会 》 を執行しつつその法楽を味わったりなどしております。
その際のお写真がこちら・・・。

せめてお釈迦様の縁日とも言えるこの日にはお釈迦様の儀軌やご真言なども唱えて、それに続けて 『 仏遺教経 』 などもお唱えしたりしてみました。
読誦に使う 『 仏遺教経 』 は読み下しになっているので、一部の専門的な部分を除けば何が述べられているのかがそのまま入ってくるのでなかなか味わいのあるものだと思います。
日本では上にのべたように 2 月 15 日に行われている 《 仏涅槃会 》 ですが、チベットなどでは日本とは異なった伝統に従っているせいか、お釈迦様がお亡くなりになったのは別な日と伝えているようです。
ただ、今年はたまたまこの日本において釈迦涅槃の日とされる 2 月 15 日がチベット暦の新年 ( 正確には一日遅れですが ) に廻ってきたために、その日がチベット仏教の伝統で 《 神変の記念日 ( ) 》 と呼ばれる期間に重なるというおめでたいことになっています ( かさねがさねチベット人的には政治的にあまり浮いた顔もできぬ状況のようではありますが ) 。