※土屋敬之東京都議のHPより引用。
■TPP 平成の開国は、亡国への一歩 今日のつっちー 土屋敬之
2011.11.12
野田総理が一日会見を延長し、TPP交渉参加の会見をした。
会見は地上波での中継はなし。NHKでは、フィギアスケートの中継を行っていた。それを狙っての会見だろう。なんて姑息な人間なのか。
そもそも、「明日」APECに出発するのに、前日の夜、自らの決意を披歴すること自体問題だ。野田氏は、県議会議員の時からTPP推進派だ。菅総理が昨年、突然TPPを言い出したのとはわけが違う。
総理は「確信」を持って、TPPを推進してきたのだから、それなら、自分の信念をきちんと国民に告げるべきではないか。野田氏の話は、いつもの通り、『祖父は農家だった』と一杯のかけそば的な挿話が入っている。話術に長けたと言えばそうだが、それなら、農家の実態を知っているだろう。『土の匂いを思い出す』とか言っていたが、農家の苦労は思い出さなかったのか。
会見では、日本の農家を断固守り抜くとも言っている。これもまた具体性に欠ける。関税が撤廃されてどうして農家を守れるのか。仮に具体的な構想があるのなら、この時点で国民に示さなければならない。
規模の大きい北海道でさえ、一戸当たりの平均耕作地面積はオーストラリアの160分の1!
これでどう、農家を守ろうと言うのか?
政府は「例外」を求める姿勢だが、鹿野農水大臣は、予算委員会で『例外は難しい』と言っている。玄葉外務大臣も『条件が合わないから抜けるとは簡単には言えない』と言っている。
4か国で始まった、当初のTPPでも、宗教的問題以外での例外はなかった。
つまり、「例外はない」のだ。
それを「平成の開国」とか言っている。徳川後期、開国に応じて結んだ不平等条約は、日清、日露の勝利で、陸奥外務大臣によって解消した。「開国」とか言っている人たちは、歴史の事実を知らないのか。
それを「ただちに参加する」のではなく「交渉参加に向けて関係国と協議する」となっているので『一歩前進』(山田元農水大臣)と解釈するようでは、今までの反対派の行動はアリバイ的な行動だ。山田氏は、重大な決意とも言っていたが、こんなことばの「あや」で何で、重大な決意が吹き飛んでしまうのか?
大体、医療などにも重大な影響があることを何故、新聞は報道しない。
株式会社が参入すれば、「混合診療」(保険と自費の混在した診療)を要求するだろう。その狙いは、自費診療(自分で全額支払う)の枠の拡大にある。アメリカ的医療の開始だ。株式会社だから、営利を追求する。保険のきかない医療の拡大で患者の自己負担が増え、所得によって、著しい医療の質格差が生まれる。国民皆保険には確かに問題があるが、アメリカは民間保険会社の参入を要求してくるだろう。
残留農薬についても規制の緩和、遺伝子組み換えについても同じ。
政府の予想だと、940品目について、関税の撤廃を要求される。
こんな重要な問題を、国民に十分な説明もなく、国会で十分な議論もなく決めることが「リーダーシップ」だと誤解していたら失礼ながら、大変におそまつな総理と言える。
野田氏は『伝統と文化を守り、中間層が支える日本』と言う表現を使っていたが、これも野田氏一流の「ねこだまし」で、どこに伝統・文化を守る政策があるのか。日教組の輿石氏が幹事長だ。民主党のある教職員組合系都議会議員は『伝統・文化なんてろくなものがない』と以前、私に言っていた。日本を支える「中間層」なんて終身雇用制の消滅でとっくに崩壊しているではないか。連合に聞いて見たらいい。
年収300万が多数を占め、250万円も登場し、生活保護世帯が民主党になってから激増、3兆円にもなっている。親子二世代、生活保護もある。
これが、野田氏の言う、「保守政党」である民主党の政策の結果だ。
このTPPが導入されれば、一時期儲かるのは、自動車・電気。連合内に自動車総連などがあるので言わないのだろうが、儲かるのも一瞬。技術を盗まれて、わが国は三等国に落ちる。
繰り返して言うが、外国企業、外国人が「大量」に流入すれば、日本は崩壊する。
今でも、中企業や大企業の課長に、中国人がなっている例があると言う。確かに語学が出来るし、彼らは勤勉だ。大量流入になれば、そうした人間に日本人はあごで使われる。
では肉体労働はどうかと言えば、安価な労働力はいくらでも余っているから、様々な国から労働者が日本に入ってくる。彼らは日本語は出来ない。「安価な労働力」だから、雇う方も不満があれば首にする。代替えはいくらでもいる。首にされた方は日本語も出来なから徒党を組む。治安が乱れる。夜は歩けない。車は盗まれる。強盗が多発する。
日本人も就職先はわずかにあるとしか言えない。失業者の群れが出来る。かつての勤勉な国民性は維持出来ない。
「平成の開国」とはそんな日本を言う。
何故、その前に、農業基盤、産業基盤を整えない!勤労環境を整えない!
不可思議な話だ。手間暇のかかることはやらないで、脆弱化した日本に外国の資本を入れる。まるで売国奴のやることだ。
竹島で韓国が音楽会をやったそうだが、わが国は、駐韓大使が「電話で抗議」しただけ。
そんな程度の外交力で、交渉が出来るか?普天間も解決出来ない。
領海侵犯も解決出来ないのに。
■東京都議会議員(当選4回)・創新党
■拓殖大学日本文化研究所客員教授
■(社)富士社会教育センター客員研究員