このCMを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。
覚えている方はほぼいないでしょうね。覚えているとすれば余程のクルマ好きだと思います。
今から45年前、1980年のスカイラインのCM。5代目210型スカイライン、通称「JAPAN」マイナーチェンジ後、満を持して登場した「スカGターボ」のテレビCMです。
先日お話しさせていただいた、スカイラインの会社のOB飲み会の時に、F先輩が話してくれたCM撮影秘話のひとつがこのCMです。
このCMの最後の方で、スカイラインが一度グッと沈み込み、地面を蹴って take offしてます。
平らな道を走って来て、ジャンプ台なしでクルマを飛ばすわけですから、CGのなかった当時はなかなか大変だったと思います。
F先輩が話してくれた、このシーンを撮った時の撮影秘話…。
どうやって飛ばすか?
制作スタッフ達が考えたのは、
2台のクルマをぶった斬って
前部分同士を繋げて
そのクルマをジャンプ台で飛ばし、
それをジャンプ台の下から撮影する、
というものでした。
そして、そのフィルムを逆回しするわけです。
涙ぐましい、と言いますか、呆れた発想ですね。執念すら感じます。
この撮影の前に、F先輩は制作スタッフと一緒に櫻井眞一郎さんに説明に行ったら、
「クルマが空を飛んでどうするんだ!バカもの!」と一喝されたそうです。
それでも粘ったら熱意が伝わったらしく、
「どこの部分を切ればちゃんと走るのか」のアドバイスをくれたそうです。
1970年代の半ば、排ガス規制で日本の自動車メーカーはどこも四苦八苦していました。
規制のクリアのために走行性能を犠牲にせざるを得なかったのです。
走りの良さを売りにしていたスカイラインGTも御多分に洩れず、回らないエンジン(L20型SOHC)を搭載されて、さながら牙を抜かれたオオカミでした。
1979年9月、トヨタ・セリカはDOHC(ツインカム)エンジンを搭載し、
「名ばかりのGT達は、道をあける」
という挑戦的な名作コピーを引っ提げて登場しました。
明らかにスカイラインを狙い撃ちしたものです。
そのセリカのことは以前記事にも書かせていただいたことがあります。
まあ、若き日のchipsは結構悔しい思いをしましたが、確かにDOHCはよく回りますので仕方ありませんでした。
その約半年後の4月、スカイラインにターボが出るわけですが、その時の宣伝スタッフたちの逆襲にかける熱気はすごかったですね。
そんなわけで、CM制作部隊の執念も並大抵ではなかったのです。
そして、
「今、スカイラインを追うものは誰か」
というフレーズでセリカに答えたわけです。
以後、スカイラインとセリカはお互いをリスペクトしながらクルマの走る楽しさを牽引し続けたのでした。
苦しくも楽しい時代でした。
※今回の記事の写真は全てWebから拝借しました。







