50年近く前、私がまだ20代の半ばの頃、スカイラインの開発ストーリーのビデオやパンフレットを制作したことがありました。
もちろん、全体の企画やシナリオやカメラマンや照明などはその道のプロがやります。
駆け出しの宣伝課員である私は撮影助手みたいなもので、何をしていたのかよく思い出せません。多分撮影車の掃除とか撮影小物の手配とかをやってたんだと思います。
ビデオやパンフレットにはスカイライン開発主管の櫻井眞一郎さんのシーンがありました。
撮影後に、彼を世田谷のご自宅までクルマ(社有車のスカイライン)でお送りしたことがありました。撮影スタジオがあった神奈川の綾瀬から千歳烏山まで。
クルマの中で、彼は若造の私にもいろいろ喋ってくれました。
詳らかには覚えていませんが、印象に残っているのは、
「スカイラインGTは直列6気筒でなくてはならない」という話です。
そして私に、
「chips、君はBMWのシルキー6を知ってるか?」と尋ねられました。
知らなかった私は大いに恥入りましたが、彼はBMWの直列6気筒エンジンについていろいろ語ってくれました。
滑らかで重厚な吹け上がり、バランスの良さ、長時間乗ってもびくともしない耐久性…などなど。
そのしなやかさや静かさから、「シルキー6」と呼ばれたのだそうです。
ああ、櫻井さんはBMWをひとつの目標にしているんだなあ、と感じました。彼の立場上、本番の開発ストーリーには出せないけど。
そんなことを懐かしく思い出しながら、BMWを描いてみました。
ちなみに、
日産が1986年に設立した「オーテックジャパン」という会社があります。
レース車両など日産の特装車を手がける会社で、櫻井さんがこの会社の初代の社長を務められました。
茅ヶ崎にあるオーテックの本社。