医療関係者が採血や点滴時に患者に使用した針を破棄するとき、誤って指先に刺してしまう事故がある。いわゆる『 針事故 』である。対象の患者さんになんら問題となる感染症(B型、C型の肝炎ウィルス保菌者、梅毒保菌者、HIV陽性者など)がなければ大丈夫であるが、そうでなければ直ぐに水道水で傷口を5~10分程度しっかり洗い流す必要がある。私はこれまで針を刺してしまったという事故は数回なのであるが、勤務医時代に長時間のカテーテル治療を行っているときに動脈から噴き出す血液を顔面に浴びたり、カテーテル操作を行っている間に、いつの間にか手袋が破れてしまい、血液が直接肌にしみ込んでしまっていることなどがはよくありました。待機的(予定)治療の場合は、必ず問題となる感染症に罹患していないか治療前に患者さんの血液検査を行っており、感染症陽性者の治療を行う時は非常にナーバスになり治療を進めていました。心筋梗塞などの緊急治療では感染症の検査をしている余裕もなく、患者の状態も悪いため、最悪の場合は治療室の床は血の海になっていることもよくありました。幸いにも、これまで感染することなく現在に至っています。 数日前、お歳暮に頂いた海苔の詰め合わせを親戚にお裾分けしました。極上詰め合わせなどと書いてあったので喜んでもらえました。しかしそれがとんでもない事件を起こしたのです。昨日の朝のTVでも放送されたのですが、何とその海苔の中に4~5cmほどの長さの縫い針が1本混入されており、親戚の方が気づかず口に入れて刺さってしまったという針事故が起こりました。販売元の百貨店に連絡し、早急の対応をして頂きました。7622セットを自主回収したとのことです。何本見つかるのでしょう? こんな『 針事故 』は初めてで、怪我が軽傷であったことと、これが毒でなかったことが唯一の救いかと思っています。最早、缶に密封された食品も安全でない時代に来たのかと世の終わりを更に感じる事例でした。