午前3時50分、誰かがトイレに行く音がして、私は目覚めた。
誰か、って今となっては二人暮らしなのだから、主人しか居ない。
なんでこんな早い時間に起きているのだ??
と思って、私も部屋(=娘の居室だったところ)から出てみた。ら。
「背中の、右の腰の上あたりが、痛い。吐きそう」
と主人が廊下で青い顔をしていた。
「背中。どのへん?」
主人が手をあてている箇所を見ると、背中の右下の、腰に近い場所だった。
もっと上なら、肝臓や胆嚢・膵臓などの上腹部関連も考えなくてはならないが、
そこまで下となると……。
「痛いのは体の中から来てる?それとも筋肉痛という感じ?」
と訊いたら、
「内臓、かな、きっと……。かなり、痛い。まじ痛い。横にもなれん」
あのですね(汗)。
それって、尿管結石そのものでは、ありませんか(爆)。
吐き気も嘔吐も、尿管結石とは大抵セットだし、
早朝という時間帯だって、結石の疝痛発作の出現時刻として定番だ。
私がそのように自分の診断を告げると、
「アンタのがウツった」
と主人はくやしそうに言った。
仕方ないだろう。誰でもなる可能性はあるんだよ(^_^;。
朝まで待てない様子だったので、とりあえず着替えて、
24時間救急対応の総合病院に行くことにした。
ここはいつぞや私が、子宮筋腫のせいで大出血をしたとき、
救急車で運ばれた病院でもあった。
今朝の主人は、救急車までは呼ばなくていい、
と言ったので、正気を保てている間に診て貰うのが得策と思い、
私は即座にタクシーを呼んだ。
そして、待つ間に今朝の経過と症状をメモにまとめ、
まさかのときのためのエチケット袋と、最近の健康診断の記録を
トートバッグに入れて、支度をした。
タクシーはすぐ来てくれて、早朝で道も空いており、順調に病院に着いた。
救急受付で症状を言うと、窓口の女性がほとんど反射的に、
「石、じゃないですかねえ。検尿があると思うので、
おトイレに行かれるようでしたら、先に仰って下さいね」
と言った。
主人は悶絶までは行っていなかったが、苦痛で座っていられないというので、
彼が歩き回っている間に、問診票は私が勝手に書いて提出した。
この記入の時間短縮のために、予め作って来たメモが大いに役立った。
それからあまり待たずに名前を呼ばれた。
まずは、受付横の小さい部屋で、看護師さんの問診と体温血圧測定があった。
熱は35度5分で、低体温の主人にはいつも通りだったが、
血圧は150/100と、普段低血圧の彼にはあり得ない高さだった。
苦痛と緊張で上がっているのだろうと思われた。
普段の血圧はこうではないというのは、私の持って来た健康診断票から明らかだった。
「尿管結石じゃないかと思いますね~。朝早くに来られる方、結構ありますよ」
と、ここでも言われた。やっぱりそうでございましょ(^_^;?
そこで検尿のコップを渡された。
それからほどなく診察と検査が始まり、私は待合室のベンチで待った。
途中で出てこられたお医者様のお話よると、
「血尿が出ていたら尿管結石ということで、もういいと思ったんですが、
潜血マイナスなんですよ。ですので、これからCTを撮ります。
それで石が映っていればいいんですが、なかったら動脈乖離などが怖いので
造影剤入れてみます」
とのことだった。
結局、尿検査・エコー検査・血液検査・単純CT・造影CTまでやったが、
肝心の石は画像には出てこなかった。
血液検査では肝機能関連の結果が良くなかったが、
それは以前から指摘されている脂肪肝が理由で(大汗)、
きょうの数値がいつもの値であることは、
またもや、私の持参した健康診断票の御蔭で説明がついた。
「普段から肝機能のはそうなんですね。じゃあ、いいです。
ほかの項目には、何も異常ありません」
と先生は仰った。
その他、腹部CTで観察可能な臓器には病変がなく、石も見当たらず、
胆石も虫垂炎もなく、腫れや腫瘍も見えず、血管の状態にも問題がなく、
つまり、大きな病気は無いらしいことが、判明したのみだった。
いや勿論、それは何より有り難いことだったのだが(^_^;。
ただ、右尿管の拡張と尿の鬱滞がエコーで確認できたことと、
CTで、腎臓に少し、けば立ったような像が見えたこととで、
痛みの原因はやはり、尿の流れが滞ったことだろう、という結論になった。
誰がどう見ても典型的な尿管結石の疝痛発作で、状況証拠は十分だったが、
犯人の石だけが、見つからなかった。逃走したのかもしれなかった。
付き添ってきた私のほうが実は石を飼っている、なんてシャレにならんぞ。
主人本人は、エコー検査のあと座薬を入れて貰ったことで、
後半のCT検査の頃にはすっかり痛みがおさまったのだそうで、
検査と点滴が全部終わって出てきたときには、
「痛くなくなった(^^)」と、完全に平常心を取り戻していた。
なんとなく釈然としなかったが、不明なものに治療のしようもないし、
さしあたり尿管結石への対処をして、様子を見る、ということになった。
薬は、コスパノン錠80ミリと、噸用にボルタレンサポ50ミリが出た。
さて、朝の座薬使用から既に14時間が経過した今、主人はなんともない。
「いや~、朝はシヌか思うたね」
と主人はもう全部終わったことにして安心している様子だ。
痛みの最中でもまともな受け答えをしていたくらいだから、
石はあったとしても、とても小さかったのではないかと私は思っているのだが、
果たして、あの騒動の最中に、その石は出たのか、出なかったのか。
何より、次の疝痛発作は、起こるのか、起こらないのか。
神のみぞ知る(^_^;。