(昨夜、帰宅してツイッターに走り書きしたものをもとに、覚え書きとして。
『魚屋宗五郎』については、後ほど改めて詳しく書いておきたいと思っている。)
・今回の博多座は私にとっては菊五郎の「魚屋宗五郎」が素晴らしかった。
これまで音羽屋で何度も見た演目だが、今回は芸や型を超えて、
宗五郎が全身から発散する怒りとか悲哀とか、庶民の善良さなどに、
ことごとく打たれた。イタいファンの感想だという自覚はあるけど(^^ゞ。
・松緑は五月の團菊祭の「蘭平物狂」とシリーズ化しているかのような味わいの
「矢の根」がとても良かった。
私はこの人が辰之助を襲名したときの「曽我の対面」も忘れられないのだが、
やはり松緑の良さは荒事にあって、
それは尾上松緑として正しいことなんだよなあと思った。
・「英執着獅子」の山城屋(藤十郎)の前シテの衣装は赤姫だった。
傾城版もいつか見てみたいと思いつつ、機会がないままだ。
しかし清涼山を背景に使ったり、次々と新しい演出を試みる山城屋の挑戦は凄いな~と。
後シテの獅子で踊って髪を振り回している山城屋が79歳、というのを改めて考えて、
くちパクパクしてしまいそうな気分になった。
・「一力茶屋」の梅玉の寺岡兵右衛門、立派で見事で品格が高くて貫禄があって、
しかも男らしい美しさがあって、つくづく見とれてしまったのだが、
……落ち着いて考えてみるとそれって「奴さん」じゃないのでは(^_^;。
どこかで「実ハ」があるんじゃないかと潜在意識の中で期待していた気がする>自分。
・幸四郎は昼が竹垣道玄で夜が大星由良之助で、
私がもっと高麗屋ファンだったら萌え萌えで大変だっただろう。
幸四郎に対しては私は昔から「ぞっこん」までは行ったことがないので、
今回も割と冷静に見ることができたけれど。
なぜ幸四郎には萌えないのだろうか。
位の高さを出す芝居はとても巧くて、武士やお殿様役などは大抵似合うと思うのだが、
道玄は、……うぅむ……。私が音羽屋に毒されて(爆)いるから?
・道玄の女房おせつ(萬次郎)は、道玄がDV夫なので心底不幸そうに見えた。
音羽屋が道玄をしたときのおせつ(東蔵)は、もう少し夫を許しているように見えたのだが。
道玄のキャラの違いのせいなのか、おせつの解釈の違いのためなのか。
・音羽屋の松緑が踊っていても、「矢の根」は市川團十郎の演目だから、
浄瑠璃も大薩摩も市川家の肩衣を着ていた。
一方、「身替座禅」は菊五郎のものだから、長唄も常磐津も揃って菊五郎格子だった。
最近の私は、一応、衣装や紋所もチェックしているのだ(^_^;。
・左團次の「玉の井」はなかなか愛らしかった。
この役は、奥方のお嬢様育ちと可愛らしさとが適度に出るのがいいと思う。
上演記録を見ていたら、先代の辰之助が「玉の井」を演じたことがあったと知った。
昭和53年新橋演舞場。右京は菊五郎、太郎冠者は左團次。観たかったなぁ(涙)。