「ほぼ全身」 | 転妻よしこの道楽日記

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午後から実家に行った。
今週の初めに母が熱を出し、その後下がったというのだが、
きょうは父が親戚の結婚式に招ばれて神戸に行くというので、
病み上がりでひとりになる母が心配になり、顔を見に行った。

出てきた母は、案外、元気そうだった。
月曜の晩に39度ばかり熱が出て、へとへとになった、
と言っていたが、きょうは回復して来たのか、
それとも私の前でカラ元気を出していたのかもしれないが、
とにかく、いつも通りだった。

高熱が出ると、さすがに「おしまいかもしれん」と思ったそうで、
ここ数日、寝ながら、自分の葬儀のことや遺影をどれにするかなど
具体的なことを考えていた、と母は言った。

母「いっそのこと、死んだら病院の霊安室で密葬やって、家には寄らんと、
 そのまま火葬場行って欲しいわ。遺骨になってから、必要ならお別れ会でも…」
私「今からそういう希望やていうことなら、そいでええよ」
母「病院の霊安室で、そういうの、受けてくれはるやろか」
私「それには、前提として病院で亡くならないことには……(^_^;」
母「それもそやね!家で死んどぅのに、霊安室だけ貸して下さい、は出来んわね!」

などとワケのわからない話をしつつ、実のところ母の本題は、
家土地や税金関係の書類、通帳などのありかを、今のうちに私に伝えておかなくては、
ということなのだった。
確かにそういうことが心にかかっているなら、元気なときに済ませておくのが良いだろう。
完全に虫の息になってしまってからでは、説明しようにも難しいに違いない。

「納屋の鍵やら、金庫の鍵やらは、それぞれ、ここにあるねん」
と言って母があけた引き出しには、しかし、それらが見当たらなかった。

母「おかしいな。入ってぇへん。お父さんが動かしたんやろか」
私「『わしゃ知らんで』て言うんやろ」
母「そやねん!きっとそう言うねん!」
私「でもそういうとき、やっぱり犯人はお父さんやねん。忘れとぅだけで」
母「そや、そや(^^)!」

等々と喋りながら探したが、やはり、母の言う鍵束は見当たらなかった。
ドロボウに入られたのでなければ、母の記憶が間違っているか、父が移動させたかで、
どこか別のところにしまってあるということなのだろう。

私「まあ、また今度でええよ。きょうは無理せんでも」
母「そうやね。お父さん帰りはったら、また訊いとくわ」

それでもと思って、まだ諦め悪く私が箪笥の引き出しをあけてみると、
なんだか見慣れぬ小さな箱があった。
これがその鍵束の箱だったら良いオチがつくのにな、と思いながら
手に取って見ると、箱のふたには

へびのかわ。ほぼ全身

と母の字で大書してあった。
ふたを取ると、色柄からしてアオダイショウだろうと思われる蛇の皮が、
すっかり乾燥した状態で、立派なとぐろを巻いて入っていた。

私「こらまた、えらいもんが取ってあるね。庭で拾うたん?」
母「そやろと思うわ。頭からしっぽまで、皆、あるねん。
 財布に入れとくと、ええて言うけど……」

しかしその皮は、もとはそれなりに大きな蛇だったらしくて、
ヘビ用ポーチでも買わないことには、
とてもじゃないが、普通の財布にはおさまりそうにない分量だった(^^ゞ。