
来月、愛好家中心の、二台ピアノの音楽会に出させて貰うことになっていて、
そこで弾く予定のモーツァルトの協奏曲27番の2楽章を、
きょうは、広島市文化交流会館(旧・厚生年金会館)のステージで練習して来た。
これは、同会館自主事業として以前から幾度か行われているものなのだが、
プロ・アマ問わずピアノを弾く人なら誰でも予約可能で、
コンサートホールのピアノ二台を使って、練習会や弾き比べなど、
予約時間内なら自由に有料でさせて貰える、というものだ。
もちろん空調や照明など、基本的な部分は演奏会とほぼ同様の条件だ。
今回は特に、東日本大震災チャリティーイベントとして、
集まった参加費は全額、赤十字を通じて被災地に送金されるということだった。
コンサートホールでピアノを弾こう(PDFファイル)(広島市文化交流会館)
(今回の催しに関しては、受付終了)
聴き手としての私の印象では、以前からこのホールは「最高」とは言い難かったが、
きょう弾いてみて、本当に音がわんわんと反響するのを体感した。
客席に誰もいない状態だったから余計に、音を吸収するものがなく、
しかも横幅の広い会場なので、響き方が尋常でなかった。
自分の弾いた音を直接に聴いているのか、反響した音を聴いているのか、
音数の多い箇所になるほどにわからなくなり、混乱を来した。
それに伴奏部分が重なると、もうオテアゲだった。
楽器店のスタジオ等で弾くのとは全く違った感触で、とても勉強になった。
楽器は、スタインウェイのDと、ヤマハのCFがあって、
はじめはスタインウェイがステージ中央に、ヤマハは下手寄りに置かれていたが、
セカンドを担当してくれる友人と二台で協奏曲の練習をすると、
私は反響する音にどうしてもつられてしまって、合わせることが難しかったので、
途中から会館の人に頼んで、隣同士に並べて貰った。
客席寄りにスタン、奥がヤマハというふうに弾き手が隣合って座ると
さすがに響きの問題もほぼ解消し、視覚的にも合わせやすくなり、助かった。
ちなみに、よくプロのデュオ演奏会であるような、
二台を向かい合わせに互い違いに置いて、相手の顔を正面に見ながら弾く、
というのは、私程度の腕前の人間には、無理だ(苦笑)。
座る位置が互いに離れていると、相方の手元の気配が全然わからないし、
しかも譜面が邪魔で(暗譜してないから・殴)、相手の表情や指示がよく見えない。
今回は本番も勿論、きょうの通り真横にふたりが並ぶかたちで弾くことになっており、
その配置での練習を、実際に舞台でやってみることができたのは本当に良かった。
ときに、きょう、このホールで弾くことの感激は、私にとって、
単に「プロさながらに、舞台でスタインウェイDを弾く」ことに留まらなかった。
ここは実は、イーヴォ・ポゴレリチが以前、リサイタルを行った場所なのだ。
1988年5月31日、彼の三度目の来日公演の折りだった。
あのとき彼はまだ29歳、私だって23歳だった(苦笑)。
年月が経っているので、同じDでも楽器はあのときと同じではないだろうが、
それでも、この舞台で、このライトを浴びて、彼もまたこうやって弾いたのだな、
と考えることは、私にとって、恍惚となるほどの喜びだった(殴)。
楽屋口も、舞台袖も、「楽屋トイレ入り口」も、全部、愛おしかった(笑)。