『たかがカンニングで警察?』 | 転妻よしこの道楽日記

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携帯の「個体番号」決め手 偽計業務妨害で「懲役3年以下」(産経新聞)

『要するに、たかがカンニングでしょ?なのに、警察?』
という主旨の意見を、ブログや掲示板等でいくつか見かけたのだが、
私はこれについては、京大の対処は妥当だったという印象を持っている。
今回は、試験時間中に入試問題を一般に流出させられることと、
広く不特定多数の人たちから解答の手助けを得られることを示した、
社会的に影響の大きい手口だったので、警察が入るのもやむを得なかったと思う。
カンペを隠し持っていた・答案に不審な点があった、などの旧来のカンニングなら、
大学が調査し、結果次第で合格取り消し等の処分をするだけだっただろうが、
このたびの件は、およそ過去に例を見ない方法のカンニングだったし、
追跡のためには、関係各所の持っている個人情報の開示が必要だったのだから、
大学だけで処理できる内容ではなかったと思う。

また、警察云々の件とは別に、私自身は、
『たかがカンニング』と言いきる感覚にも不快なものを感じている。
どういうやり方であれ、カンニングは、
「バレちゃった」的な微笑ましい話などではなく、不正行為そのものだ。
大学に入ってからの試験ではカンニングなど当たり前だった、
と書いている人もいて、私は正直なところ呆れた。
ズルして大学を卒業したことなど、全然自慢するようなことではない。
『たかが』ペーパーテストさえきちんとやって来なかったという、大変恥ずかしいことだ。
真面目に頑張っているほかの人たちに悪い、という以前に、自分自身の問題だろう。
学生時代から、チョロまかしてなんとかすればいいという考えでいるようでは、
将来、平気でその程度の感覚を土台にして、仕事をするということだ(--#)。
カンニングを「よくあること」「むしろ要領の良いこと」と感じる大人が普通なのなら、
もしかしてこれは、小学校で道徳の時間をなくした弊害じゃないのか(爆)。

しかし一方で、この件で、日本の大学の入試業務や管理態勢がいかに甘いか、
ということもはっきりした。
たまたま京大のときだけネット投稿に成功したというのではなく、
これまでの報道が正しいなら、早稲田・同志社・立教でもやれたわけだから、
どの大学でも、試験中に携帯がかなり自由に使える状況だったということになる。
揃いも揃って試験監督者たちが一体何をしていたのか、単純に疑問なのだが、
周囲の受験生たちも皆、本当に全く何も気づかなかったのだとしたら、
この予備校生の携帯操作が、よほど巧みだったのかもしれない。
いずれにせよ本来なら大学側は、入試への携帯電話持ち込みについて、
きちんと規定・規制をしなくてはならなかった、ということだ。

近年、私自身が受けたことのある英検やTOEIC、仏検、通訳案内士試験などでは、
携帯の電源を切っているかどうか、ひとりずつ点検される方式のものが多く、
不正行為どころか、試験中に携帯操作をしたり、着信音が鳴ったりするだけでも、
発覚すれば直ちに、今回の試験の無効・今後の受験資格剥奪など、
具体的なペナルティのあることが示されてもいた。
検定試験でさえそうなのだから、ましてや大学入試ともなれば、
点検も罰則も更に徹底していると私は思い込んでいたのだが、
どうやらこれまでは、携帯に関する規定はせいぜい口頭注意くらいで、
事実上、野放しに近かった大学が大半だったようだ。
便利な道具が世の中に浸透すれば、それを悪用した新しい事件が起こるのも当然で、
海外の大学では過去に既に、携帯使用による入試の不正行為事件があったのに、
未だにこれほど学生を信頼していたの(か?)だとすれば、
そこに日本の大学の落ち度があったと思う。

もうひとつ、私は報道のあり方にも大いに疑問を感じている。
一般の注目を集めるのに、格好の題材であったことはわからないではないが、
調査途中の早い段階から詳細を記事にして、大仰に連日トップニュースとして流し、
容疑の予備校生の自宅・出身校・予備校などに取材が殺到したことは、
ジャーナリズムとして、バランス感覚を欠いた行動だったと思うし、
中でも予備校生の家族構成まで繰り返し報道したのは「やり過ぎ」だった。
18歳未満ではないにせよ未成年であることを考慮し、最初の報道からあとは、
逮捕に至るまで意図的に続報を控えるくらいでも良かったのではないか。
警察が無事に予備校生の身柄を保護したから良かったようなものの、
マスコミのせいで、彼は自殺しかねない状況だったと私は思っている。