いいんだ、慣れとる | 転妻よしこの道楽日記

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今年の暑さはマトモではないらしく、7月後半くらいから、
我が家の南向きLDKは、冷房をしても追いつかなくなった。
夏の初めは27度設定などにしていたのだが、毎日あまりにも暑くて、
あるとき部屋の温度計を見たら、冷房中なのに30度あった。

それで、試しにエアコンの設定を25度、23度、と下げてみたが、
せいぜい室温が29度になった程度だった。
しまいにキレて、思い切って20度設定・強風にしてみたが、
それでも、やっと28度に下がっただけだった。
南向き・ほぼ全面ガラスのサッシから、存分に太陽が降り注ぐ居間は、
この猛暑においては、過酷な温室でしかないのだった。

その点、北側の主人の書斎と娘の部屋なら、冷房27度設定でも涼しいし、
さらに、こうなってみると、採光の状態が部屋としての基準に届かず、
販売時には「サービスルーム」と定義されていた、私の納戸部屋が、
家の中では最も気温の上がらない場所であることがわかった。
この部屋には最初からエアコンを取り付けていないのだが、
ほかの部屋で冷房していれば、冷気が届くからそれだけで十分涼しい。
『日当たりが悪い』というのが、これほど大きなメリットになる日が来ようとは、
納戸の住人である当の私ですら、今まで一度も考えたことがなかった。

そういえば、何年か前にインテリアの本で読んだ話なのだが、
暑い国の人たちの多くは、昼間、部屋を暗くすることを好むのだそうだ。
日本人は、窓でもカーテンでも灯りでも、とかく「明るさ」を重視するが、
南の国では、太陽が降り注ぐというのは気温が上がることを意味するので、
それを避けることのできる、暗くてひんやりした部屋のほうが好まれ、
カーテンも照明も、ダークな色合いや雰囲気のものが基準なのだそうだ。
これだけ暑い思いをさせられると、私もその気持ちがわかるような気がした。

昨夜は、娘の部屋のエアコンを一晩中25度設定・微風で付けっぱなしにして、
ドアを互いに全開にし、娘は自室で、私は向かい側の納戸で寝た。
あまりにも涼しくて気持ちよく、爆睡してしまった。
夜中一度も目覚めることなく、朝が来て、なんてよく寝たんだろうと
手元の温度計(つまりほとんど床面の温度だ)を見たら27度だった。
27度になっただけで別天地のように幸福に眠れるなんて、
今まで一体、何度の室温に耐えていたことだろうか。

私は、もう、秋が来るまで灼熱のLDKは見捨てることにした。
玄関脇の、娘の部屋、その隣の主人の書斎、そして私の納戸、
我が家はこの三部屋で暮らすことになった。娘も主人も異存はなかった。
互いの部屋のドアは開けっ放し、娘の部屋のエアコンさえあれば間に合う。
御飯は、調理するときだけは台所に行かねばならないが、
出来上がったらこちら側に持ってきて、主人の部屋に卓袱台を置いて食べる。

実質的に、3Kしか使っていない。しかもそのうち一部屋は納戸。
なんのことはない、懐かしの官舎暮らしを思い出す生活になった。