ヤマメが両親 子供はニジマス サバからマグロも?(産経新聞)
『両親はヤマメなのに生まれてくる子供はみんなニジマス―。東京海洋大学の吉崎悟朗准教授らの研究グループは、ヤマメを代理の両親としてニジマスだけを産ませることに成功した』
鳶が鷹を生むってか!瓜のツルにナスビがなるってか!!
と私は最初、見出しを見て呆れて笑ってしまったのだが、
『同じ方法で「クロマグロを産むサバ」などの実現も期待でき、絶滅種の復活や絶滅危惧(きぐ)種の保存にも道が開けるという』
ということなので、とりあえず、
最先端で変な研究をして遊んでいるわけではないとわかった。
で、ヤマメからニジマス、で思い出したのだが、
前に紹介した、森雅裕『モーツァルトは子守唄を歌わない』には、
ベートーヴェンが、魚に関するこだわりを発揮する場面がある。
ベートーヴェンの留守中に、彼のファンを名乗る謎の男が、
ぜひ先生に食べて頂きたいと、大きな魚を持ってきて、
留守宅の台所で焼いて帰った、という珍事があった。
このエピソードは、後半で殺人事件の謎解きのひとつとして
生きてくるのだが、ここでそれよりも明らかになるのは、
ベートーヴェン先生がなかなかの食通であった、ということだ。
帰宅したベートーヴェンに、大家が、
『ファンが、大きな鱒(ます)を持って来ましたよ』
と告げるのだが、皿の上の魚を一目見て、ベートーヴェンは、
『これが鱒だと?ウィーンの人間は魚の区別もつかないのか』
と呆れて言う。弟子のツェルニーまでもが横合いから、
『鱒ですよ』
と言うので、ベートーヴェンは、
『ヤマメだよ。似てるが味は大違いだ。
鱒はうまく作ったソースとワインで舌をごまかしながら食うものさ。
ヤマメは素焼きのまま味わえる魚だ』
などとウンチクを傾け、口の悪いツェルニーから
『魚類学者先生!』
と呼ばれてしまう。
ヤマメに、わざわざ鱒を生ませるように工夫するなんて、
ベートーヴェン先生がお聴きになったら
『日本の人間は魚の食べ方も心得とらんのか』
とお嘆きになることだろうよ。
鷹にトンビを生ませる研究をしているようなもんだから。