広島交響楽団定期演奏会 | 転妻よしこの道楽日記

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昨夜は、広響の定期に久々に行った。
申し訳ないことに日頃は全然、熱心な広響支持者ではないのだが、
今回は、中区の住人になっていることだし、ソリストが伊藤恵だし、
曲目がシューマンのピアノ協奏曲だし、ということで、
広島厚生年金会館まで、張り切って出かけた。

最初は、サリエリのオペラ『ファルスタッフ』序曲から。
指揮はユベール・スダーン
この方は、ソリスト伊藤恵の憧れの指揮者なのだそうで、
今回は演奏者にとっても夢の顔合わせ、とのことだった。

その次が、私のお目当て、シューマンピアノ協奏曲イ短調』。
私は昔これを、ラドゥ・ルプーのCDで聴き続けた時期があった。
ルプーは、必ずしもパワフルなピアニストではないと思うが、
シューマンの繊細な詩情を表現するのに、
とても適した感性を持っている演奏家だと私には思われ、
一時期は、ルプー以外の演奏では聞きたくないというくらい、
この曲にハマっていたものだった。

(余談だが、Concerto Winderstain Munchenの記載が本当なら、
ポゴレリチもこの曲をレパートリーに持っているらしい。
彼が弾くとどんなことになってしまうんだろうか!???)

そういう思い入れのある曲だったから、
自分にとってハズレになりそうなソリストだったら
私はこの演奏会を選ばなかったと思うのだが、
他ならぬ伊藤恵だったから、昨日は万難を排して出かけたのだ
(Studio Life公演と重なっていようとも・爆)。
伊藤恵は、レコーディングでシューマンに集中的に取り組み、
既にひとつの評価を確立している人だし、
これまでの私の印象から言っても、
「絶対にハズレない」という信頼が最初からあった。

果たして、その演奏は期待に違わぬものだった。
最初、ピアノがややヒステリックに響くように思われ、
調律の関係だろうかと首を傾げたくなる部分もあったのだが、
よくコントロールされた伊藤氏のタッチで、
すぐにその響きへの違和感はなくなり、
シューマンの音の世界に引き入れられた。
微細な和音の響き合いや、独特のポエティックな旋律、
それらに、伊藤恵ならではの闊達な音楽の運びがあって、
見事な技巧にも押しつけがましさが全くないし、
なんとも繊細かつ生き生きと、爽快感のある演奏だった。

終わった途端、二階から「ブラボー!」の声が上がり、
拍手が鳴りやまず、オケのメンバーも足を踏みならしての称賛で、
伊藤氏は幾度もこれに応え、結局、数回のカーテンコールののち、
モーツァルトのハ長調のピアノ・ソナタ
(K545?ソナチネ・アルバムにも掲載されているソナタ)が
一楽章だけ、繰り返し無しで演奏された。
冒頭、サリエリの序曲を聴いたばかりだったので、
ここでモーツァルトに繋げる、というのは心憎い選曲だと思った。

シューマンの演奏とは打ってかわって、
極端なダイナミクスはなく、粒の揃った極めて端正な演奏だった。
モーツァルトの作曲した時代や当時の背景を考えたら、
なるほど、このように弾くのが相応しいのだと改めて思った。
彼女のドイツ音楽を今後更に聴いてみたいものだ。

・・・・・・・・ということで、広響定期演奏会の前半終わり。
名残惜しかったが、後半の交響曲を聴くのは諦めて、
私は席を立ち、隣のアステールプラザ大ホールへと走り出した。
Studio Life公演『OZ』の第1幕が
既に半分くらい終わっている時間だったからだ(激爆)。