昨日、長らく空室だった、我が家の向かい側の部屋に入居者があり、
この棟も、ついに、満室になった。
お役所はケチだから、官舎をいつまでも空室のまま放っておかないだろう、
とは思っていたが、やはり、こういう展開になったか。
だが、実を言うと、この方は、不思議なほどひっそりと入居された。
まさか忍者でもないだろうと思うのだが、
本当にいつ来られたのか、真向かいにいる私たちにさえ、わからなかった。
トラックが出入りしたような物音も聞こえなかったと思うのだが、
もしかして、電車で引っ越して来られたとか?(んなバカな)
なので、昨夜は、我々は、完全にノーマークだった。
異動の多い4月だったら、夜までそのつもりで待っているものなのだが、
昨夜、このお向かいさんが、
ぴんぽーん♪本日、○号室に入りました○○と申しますが~、
と挨拶に来られたときは、
まさに、奇襲攻撃をしかけられたに等しかったのだ!
ちょうど夕食が終わった時間で、
これ以上ないというくらいジダラクな格好でテレビを見ていた主人は、
そこいらにあったものを手当たり次第に着付けしてどうにか体裁を整えたが、
あとは片づけて寝るだけと油断していた私は、
ガードルをはくところから始めるワケにいかなかったので、
寝間着か部屋着か定かでないナリのまま、玄関に出ることになってしまった。
仕方がないから、体の大きい主人を前に出して、私は後ろに半分隠れた。
『こんな時期に、入居!いつの間に来たのか!?タダモノではないっっ』
との我々の狼狽ぶりをよそに、お向かいさんはごくごく普通の男性で、
穏やかな態度で丁寧に挨拶して下さり、ブランドもののタオルまで下さった。
文字通り三歩下がって後ろに控えていらした奥様が、慎ましく頭を下げられ
(私だって三歩以上下がっていたが、その理由は前述の通り)、
ご主人が後ろを見やって、
「きょうはコレも参りましたが、明日からは私の単身赴任ですので」
と、にこやかに言葉を添えられた。
さて、私は、ここで、全然別のことに気づいてしまった。
この棟で、単身者じゃないのは、うちだけだ!
こんな狭苦しい官舎に、家族で住もうなどというムボーなことを考えるのは、
うちだけ、ってことかい!???