JRAの東西トレセン、全国の地方競馬場には2歳馬の入厩が増えてきています。


早い馬はもうゲート試験や能力試験に受かってデビューの態勢を整えているわけですが、毎年2歳馬の北海道からの移動と入厩時期については試行錯誤を繰り返しています。


新馬を持つ馬主さん達も一番難しいと考えている箇所が、このデビュー戦までのプロセスだと思います。


私も毎年少しずつ考えが変わりますが、だいたいこの方針で進めているというところを書きます。




まず前提としまして、2歳馬のデビューはいつが良いのでしょうか。
この答えは「早い方が良い」です。
これはそうに決まっています。

しかしながら、馬の成長曲線はそれぞれに違っていて化骨ひとつ取っても基本は生後25ヶ月としながらもバラつきがあります。

馬体の成長を無視して強い調教をやっても、骨や筋肉を傷めるばかりで馬は強くなりません。
まだ成長の余地がある馬の伸び代を阻害してしまうことにも繋がり、最終的に生涯獲得賞金を減らしてしまうということにもなりかねません。

仮にセリで手に入れた馬だとすると、1歳秋から2歳の年明けまでに上手く準備ができた馬だけが北海道での後期育成を卒業して移動していくわけですね。


一方で興行側、つまり競馬の主催者は早い時期に新馬が多く入厩し2歳戦が組まれることを期待しています。

地方競馬は2歳戦の賞金は年々上がっていますし、新馬導入補助金などの制度もあり早ければ早いほど関係者のメリットが大きくなるように設計されています。

JRAも2歳戦は出走手当を高くしていて、頭数が揃わないうちにデビューできれば早くから出走機会に恵まれます。ゲート試験も早いうちの方が緩い傾向があります。

馬主としても、早くにデビューできれば賞典費が早く入るため回収のリードタイムが短くなります。
馬代金によっては2歳戦で育成費まで含めて回収してしまうこともあります。

ここまでを踏まえて、移動と入厩時期を考えていくわけです。

私の場合は毎年、2歳の2月で育成を頼んでいる牧場には奇譚のない意見を聞いて馬体の成長と調教進度とのバランスを測っていきます。

その後3〜5月に何回かに分けて本州へ輸送をしていきます。
イメージとしてはその年の育成馬のうち3/4くらいはゴールデンウィークの前に北海道を出発、入厩に進んでいきます。

次に考えるのは気候です。
ご存知の通り本州は6月中旬から35℃前後の猛暑に突入しますので、基本的に移動自体は5月までに運んでしまいます。湿度に順応する必要があるからです。
毎年の夏の暑さは過酷ですが、門別競馬場の馬以外は本州で競馬をしなくてはなりませんからある程度仕方ありません。なるべくダメージの少ない方法を考えるほかありません。

入厩した馬については馬の進度に合わせて、ゲート試験や能力試験まで進めてひと休みさせたり、何戦か競馬を使うところまで進めたりと現場にお任せします。

漫然とやっていると入厩難になってしまいますから、競走馬になるところまでは計画通りに進めて、その後の成長をどう促すかは厩舎の考えを尊重するというやり方です。

デビュー戦については結構迷います。
地方競馬は早く使い出した方が良いと思いますが、JRAの場合は少々複雑です。

年々馬が増えるにつれて新馬、未勝利を勝つのが大変になってきていますので、「競馬を使うだけなら」デビューは早い方が良いのですが勝つとなるとそれこそ成長と調教強度が噛み合った時に適正番組に使うことが重要になります。

今年の3歳世代(2024年)の生産馬はおかげ様でJRAでは4頭勝ち上がってくれたのですが、その全ての勝利が年明けです。
大手牧場やクラブ馬が勝ち上がり率を競っている時代ですので、これは何となくわかる気がします。

まだまだ考え続けるテーマなのでしょう。



こちらは今年の2歳馬インドラダヌス。
地方競馬の兵庫でデビュー予定です。

バンブーエール×マハーラーニーという私の趣味の塊のような配合のため、好きなようにやらせて貰っています。

そもそも無理に早生まれを作ろうとせず4月生まれ、セリ馬とも別メニューで育成してきました。
他の馬が坂路でペースアップする年明けにも無理をせず、育成には必ず待っていれば馬体が良くなるからと言って基礎的な反復調教メインにやって貰っていました。

初仔で当初は線の細い馬でした。
1歳の夏で370kgくらいだったのが年末に420kgになり、ここまでも無理に餌を増やさないで自然と食べられるようになるまで待って…という感じで3月末には乗りながら450kgを超えてきました。

ここまで待ってから調教を強くするとやったことが身になってくるステージに入ることができます。

入厩しても競馬までは急がず、出走も月1回で良いと思っています。

2歳戦でバリバリ稼げそうな馬なのか、古馬になるまでじっくり力を付けながら行く馬なのか、できるだけ早く見極めたいところです。

この辺りのことは、決して冗長に進めているというわけではないのですが、とことんまで馬のタイミングを待ってやることで旬を迎えた時にはたっぷり稼ごうという気持ちです。
(そこまでやっても旬が来ない馬もいます。笑)

デビュー予定の全部の馬について書いていくと大変なので割愛しますが、それぞれ特徴を考えながら進めて貰っています。

今年の2歳馬は、

JRA 2(+ユニオンOC 2 )
門別 2(うち1半持ち)
浦和 1(半持ち)
船橋 1
兵庫 2
という形になりました。

JRAはユニオン提供馬もいてこちらも持ち分を持っていますので、共有のようなものですね。

それぞれ進めて行ってまた書きたいと思います。