何度か書いています馬主が繁殖をやった方が良いのか問題。
最近SNSのX上でまた話題になっています。
一番下に貼っているリブログ元は2021年のオータムセールの頃に書いたものです。
その当時、言ってみればもっと前から軽種馬の生産頭数は増加傾向にあり、その一因が馬主による預託生産によるものです。
(1番の要因は大手牧場がより生産頭数を増やしていることですので、あくまで要因の1つであるとご理解ください。)
有識者の方々が触れている通り、繁殖を始めると以下の点を必ず受け入れなければならなくなります。
①生産した以上はどんな馬でも所有することになる
②基本的に繁殖事業はコストファクター
③仔馬の売値は予測できない
生まれた仔馬は確かに存在していて可愛いのですが、それ以外は何も分からないのと一緒という世界です。
馬主は競馬には詳しいですが、馬そのもののことはほぼ何も知らないですから、どこにボトルネックがあってどこを改善すれば良いのかが「本業のように」できないということがあります。
こう書くと、それは競馬に向かう競走馬を育成することも同じことなんじゃないのか?
と思われる方もいると思います。
生産(繁殖)と現役競走馬(育成)との大きな違いは、すでに一定のレベルをクリアした馬を扱うのと、これから色んな諸問題をクリアしなければいけない馬を扱うのとの違いになります。
これについても、各々の経験値により受け取り方が変わってきます。
例えばセリには大部分において問題をクリアした馬が上場されます。
そのため、セリで買って競馬に使うというスタイルの馬主さんはセリに間に合わない馬はあまり見る機会がありません。
世の中にはセリに間に合わない馬はごまんといるのです。
そんな馬主さんが自身の持つ牝馬が活躍して繁殖に上がると、そこで初めての世界を覗くことになるわけです。
これは馬主だけでなく、競馬評論家や騎手、場合によっては調教師といった「競馬側」にいる方たちでさえ、生産の現実は知らないというのが実状です。
勿論、業務上知る必要がなければ知らなくて全然OKなのです。
一定のレベルをクリアして競走馬になるための育成を受けられる素地のある馬を作る、という水準まで達せられるかどうか。
このリスクは生産者が負うリスクなのです。
馬主は本来、そこから先の馬を駆使して勝負するのが領域ですのでそれがこの問題のコアだと考えています。
先にリスクのことばかり書いてしまいましたが、もし馬主が預託生産をやった方が良い理由があるとすれば主に2つなのではないかと思います。
1つは馬仕入代金の分割化です。
セリで買えば一括払いのところ、生産の場合は種付料以外は概ね毎月の預託料支払になるためこの点は経済合理性があると言えばあると思います。
その代わり、仔馬のデキは保証されません。
元々馬を毎年買うつもりでいて、その一部を預託生産馬が担うという考え方ならありです。
もう1つは自分の牝系構築です。
これと言う思い入れのある牝馬の血統を心ゆくまで伸ばしていくことは、人生の楽しみとも言えることで長く楽しむことができます。
ただこれをやる人はコストのことは細かく考えてはいけないでしょう。
かく言う私も、元々はただの馬主でした。
今は逆に馬主という立場を捨ててでも生産者として勉強していきたいと思って頑張っていますが、本当に年々知らないことは次から次へと出てきます。
先ほど「一定のレベルをクリアした馬」と書きましたが、この水準の馬を作れるようになりたいというのがまずあります。
最終的には好きな牝系を長い年月をかけて繋いでいきたいのですが、そのためにはまず成績を残している生産者ができているのと同じ水準まで登れなければ、折角の血統に「馬がついてこない」ということになってしまいます。
馬主の方々には生産や繁殖に興味を持って頂きたいとは思うのですが、結構なレベルで馬が好きでかつお金にも余裕がないと難しいことのように思います。
