昨夜にお産があり、アフリートファームとしてはこれにて2026年の分娩業務が完了しました。
あともう少しだけ種付けと妊娠鑑定を残しますが、今年の生産期は終わりが近づいてきました。
牧場にとってお産と種付けは全てのはじまりであり、基幹的な仕事になりますのでこの位の時期になるとようやく落ち着いてきます。

思い起こせば今年のお産は1月下旬から始まりました。
いきなりひと晩で2頭、その後1月中に6頭誕生したのですが当時は夜のお産になると外はマイナス16°Cとか、吐く息も凍るような気温でした。
ジェットヒーター全開で臨んだのがもうかなり昔のような感覚です。笑

早い生まれの仔馬はもう4月齢になります。
すでに200kgを超えていて、5ヶ月を過ぎると離乳も見えてくる位の時期になります。
夜間放牧も始まっていて日ごとに逞しさを増しています。
最近産まれた仔馬と較べると同い年とは思えない位です。とは言っても競走年齢に達するとちゃんと追いつくんですけどね。

こちらはムーチョマッチョモマ2026(父サートゥルナーリア)
おかげ様でセレクトセールの上場が決定しました。

2月生まれ、3月齢の仔馬です。
カオリナイト2026(父バンブーエール)
これでも170kgを超えています。
親仔での夜間放牧が始まっていて、悪天候でない日は毎日夕方に放牧して朝集牧という生活です。
お母さんのお乳も飲みますが、草と飼料の生活に移行していて仔馬同士で遊ぶことが増えてきます。

3月生まれ、2月齢です。
シンシアズフューリー2026(父ミッキーアイル)
3月というと中旬で最低気温で0°Cくらい。少し気温が上がって来てから生まれているため当初の放牧は比較的楽になってきます。
一方で気温が上がると土壌菌などの動きも活発化してくるため、呼吸器系のトラブルに気を付けて世話をする時期になります。
今年の産駒はその辺りも割と抑えることができています。スタッフの観察のおかげです。

4月生まれ、1月齢。
マハーラーニー2026(父アダイヤー)
馬は季節性の繁殖動物ですので、本来ならこの位の生まれが多くなります。
現代の馬産は飼養管理によって生産時期を少し早めています。
順調な馬は毎日1.5kg前後大きくなります。生後1ヶ月でも100kgに達する馬もいます。
そしてお産には様々な予期せぬ出来事が起こります。


この当歳はタマモキラメキ2026(父バンブーエール)と言うのですが、出産の際に胎内で前脚が固まっていて娩出が上手くいきませんでした。
いわゆる難産です。
破水してから1時間以上も脚が見えないので心配しました。
何とか出てきたのですが、膝の関節が伸びず120°くらいで固まっていました。膝と同様に繋ぎも固まっています。
こうなると自立できないため、従ってお乳も飲むことができません。
翌朝まで哺乳瓶でお乳を搾って授乳→翌朝ギプスで固定して立つ練習→寝ると自分では立てないので哺乳瓶授乳→翌朝ギプス調整→起立態勢を長く保つ練習→哺乳瓶授乳→翌朝ギプス調整〜
という具合で徐々に立てる時間を長く保てるようにしながら授乳を続けていました。
ようやく自分で立てたのは5日目の夜でした。
拍手ものです。
このように、生後すぐは色々な問題に直面します。
人間が助けたように書いていますが、実際には仔馬の生命力に依る所が大きくなります。
タマモキラメキの仔馬の様に脚は固まっていても元気があって栄養を摂取することに積極的な仔馬は良化する方に向かう可能性が高くなります。
お産は日々格闘ではありますが、受胎中の繁殖牝馬がどう一年近くを過ごして分娩に至るかという経緯が圧倒的に大切で、これらの要素を積み重ねて良い産駒を取れるように計画していくのが生産だと考えています。
馬には運の要素が不可欠ですが、必ずしも運だけではないと思っているのがこれらの部分です。

それでも馬の生産は好きでやっているもの。
人間の想いと科学的根拠を持った馬づくりを両立したいと思っています。
元気になった仔馬を見ると本当に良かったなと思いますけどね😊

そして昨夜産まれたのがこちらのユリーシャ2026(父パレスマリス)です。
今年の32産目です。
ラストを飾れるように無事を祈っていました。
結果は超安産でした。
分娩間近でも放牧地で走ってちゃんと運動していたのも良かったと思いますし、何より初産としてはとても落ち着いて産むことができました。
ユリーシャはオーナーからお預かりしている預託牝馬になりますが、母のアンジェリカス(産駒にラーシャロームなど)も長く当社にいるゆかりの血統です。
2023年のエルフィンステークスを勝ち、NHKマイルカップにも出走した活躍馬でもあります。
今年のお産は私自身もほとんど立ち会いました。
それぞれの繁殖の産み方も様々で、大変だけど楽しいものです。
色んなことがある度にスタッフの経験値もアップしますし、来年はさらに上手くいくようにやっていきます。
ここに書いていない何のトラブルもなく産んだ繁殖牝馬達の優秀さを強調しておわりにしたいと思います。