最近ずっと生産に関することばかり書いているような気がしますので、たまには馬主的な内容を書きたいと思います。
世間もようやく春になり、今月末にはブリーズアップセールがあったり、2歳のトレーニングセールが始まります。
1歳のセリも7月のセレクトセレクションから8月のサマーとどんどん始まっていきます。
時節の挨拶のように今年のセリはどうかな?高くなるのかな?みたいな話を馬主仲間と会うとするわけですが、最近は馬の値段もさることながら維持費つまり、ランニングコストの増加が非常に目につきます。
いつも言いますように、一口に馬主と言ってもその経済的体力は十人十色であり、何をもって高いとするかというのも、その人ごとに文脈が変わってきます。
ここでは超大金持ちはさておいて、一般的な、普通に馬主を続けていきたい目線で書いていきたいと思います。

2〜3年前までは良く調教師とそんな話をしていました。
例えばJRAでは、2000万円の馬なら新馬未勝利を勝って1勝クラスで2〜3回勝ち負けする位の馬が回収ゾーンになります。
地方なら2歳の夏までにはデビューして2戦目までには勝ち、地元で十指に入るくらいの勢力になった上で丈夫な脚元を持つ必要があります。
これが2500万円ならどうか、逆に500万円以下ならどうか。
ここで問題なのは何年かに1頭当たりを引くのではなく毎年平均的に回収、とまでは行かなくても損を許容範囲内に収めながら当たりを待つという打撃フォームが築けているかです。
この2年ほどは育成牧場も厩舎の預託料もすべてが値上がりしていますので、いくら賞典費も上がっていっていると言ってもバランスシートは両肩とも膨れ上がる傾向にあります。
競馬、とりわけ馬主というものはその性質上、とかく勝っている人だけが目立ちます。
いわば飛んだ打球とスコアだけが目に入り、いかにして打球を飛ばしたかという「打法」には中々目が行かないものです。
いかに自分なりの打法を見つけていくか。
これが自然とその人にとっての持続可能な馬の価格に繋がっていくと思っています。

地方競馬8:JRA2
くらいの比率だと思っていますので、新馬が10頭いればその比率で振り分けます。
育成費は中央でも地方でもそこまで変わりはないので、全部JRAでも良いのですが、JRAの場合はデビュー時期がどうしてもバラついてきます。
出走までに時間が掛かると当然キャッシュインがないですので、運転資金が多く必要になります。
新馬デビューする全馬がコンスタントに出走態勢が整うまで収入がないというやり方は、やはりバランスシートの両肩が大きくなってしまうのです。
これでも良いので全部JRAにする、というやり方は全く否定しません。
あくまで自分の場合はリソースも知識も上記の割合ですのでそのように振り分けるということなんです。
◯馬購入単価×頭数+育成費用 = 出走回数×出走手当+賞金-預託料等の維持費
この数式を=にしてかつキャッシュフローを合わせるのは至難の業です。
またこれを単年ではなく複数年度で見ていく必要があります。
一方でこの「数字合わせ」だけをしていてもいけないと自分は思います。一目惚れした馬がいれば買った方が良いと思いますし、それくらい直感に全振りして行動することがたまにはないと面白くありません。
回収目線は必要ですがそれだけではつまらないのが馬主だとも思っていて、要はバランスです。
自分のリソースの中身をわかっていれば、毎年の総予算の中から買ってくる馬のポートフォリオを作るのは結構楽しくなります。
と同時に、競馬のリソースをどう伸ばして足りないところを補うかと考えることも大切だと思います。
パイロ産駒としては割安な500万円でしたが、当歳時の術歴と1歳秋でのサイズ感(オータムセールで430kgくらい)であり予算の大きい人の目に止まらなかったことで買えた馬でした。
1勝しかしていないのですがコンスタントに出走して重賞でも2回入着しています。
賞金、手当合わせて獲得したのは約1250万円ほどで、充分「単体で見れば」プラスになっています。
しかしこの世代は他にも新馬がいますので総合的に見ればトントンで楽しめているかな、という位です。
これを毎年続けていければ充分幸せではありますが。
今年も昨年とほぼ同じ頭数の新馬をJRA、門別、兵庫を中心に下ろしていきますので楽しみは続きます。

馬主歴はようやく10年を少し超えました。
初めの頃は誰でもそうですが、馬を買うのもドキドキ、出走するのもドキドキ、競馬場に見に行くのもドキドキという感じです。
年数を重ねていくとこれまた他の趣味もそうであるように、どう続けていくか、どう道を歩んでいくかということを考えるようになっていきます。
決して1つ1つの感動が薄れているわけではなく、新たな感動を得るためにまた考えることが出てくるということです。
時には微に入り細を穿つ、ということをしながら時には大胆に夢を描くような馬主生活を続けていきたいものです。
