本日(11/21)社台スタリオンステーションの2024年度種付料が発表されました。


内容としては予想通りの部分と驚きの部分とがありました。


(生産者に送られてきた速報FAX)

キタサンブラックが500→1000→2000万円と3年で4倍になったり、スワーヴリチャードが一気に1300万円アップの1500万円になったり、ダイワメジャーの名前がなくなったりと色々なポイントがあるのですが下記で触れていきたいと思います。

【2024年度種付料でのポイント(私見)】

①キタサンブラック2000万円
同世代のドゥラメンテが亡くなり、代表産駒の現役最強馬イクイノックスを出したことで「社台グループの主力種牡馬」を名実ともに証明する価格となりました。
そしてその代表産駒イクイノックスが早くも種牡馬入り(スタート1500万円とも噂されています)を控えている中での2000万円は仕方ないとも言える金額かと思います。
ディープインパクトの最大種付料である4000万円にどれだけ近付いていけるかという種牡馬になってくるのでしょう。
また今は極端な円安相場で、外貨ベースで見ればこれでも安く見えるという時期でもあり、実際に不動産業界では外国人目線に合わせて強気な価格設定が浸透しています。そんな視点があるような気がします。

②スワーヴリチャード1500万円
200万円→1500万円という驚愕の値付けを見てまず思ったのは「日高の生産者を振り切りに来たな」というものでした。
スワーヴリチャードの2歳戦の成績を見ればブランディングのスピードは急いだ方が良いでしょうし、極端な話をすればグループ以外誰もつけなかったとしてもその産駒の売り方を考えればやっていけるという自信の表れだと思います。
またこれだけ芝の2歳戦で勝ち上がるということは、育成者や厩舎の信頼を勝ち取ったということでもあります。
毎年間違いない産駒が100頭輩出されれば、各厩舎に振り分けてチャンピオンホースに育てることができるという手応えが生まれているということなのかも知れません。

③コントレイル、キズナ、エピファネイア、ロードカナロア
コントレイルはまだ産駒がデビューしていませんが、ブラックタイド系であるキタサンブラック、イクイノックス親子にスワーヴリチャードを加えた主力をバックアップするという意味で、これらのラインナップはセレクトセール、そしてクラブを支える安定の主力メンバーになってきます。
種付料も1200〜1500万円で、これならデキ次第で億の値付けも可能ですしバランス良く振り分けていけるかと思います。
ひと世代前のディープインパクト、キングカメハメハ、そしてシーザリオを継承したラインナップでもあります。

④ミッキーアイル、サトノダイヤモンド、リアルスティールのトレード
この3頭はそれぞれ優駿スタリオンステーション、ブリーダーズスタリオンステーションにトレードされます。
社台スタリオンステーション恒例の「都落ち」でもあるのですが、3頭に共通するのはディープインパクト産駒でそれなりに実績も出しているということです。
まるでディープインパクトはキズナとコントレイルに絞る、と言わんばかりでもあり、シビアな判断だと思います。
これからもこの3頭の産駒から活躍馬は出ると思いますが、大きなビジネス判断としてそういうことなのでしょう。

⑤ダート種牡馬に対する評価
私が来年度種付料を見て思ったことの1つに「ダート種牡馬が評価(期待)されていない」というものがありました。
何度か書いていますが、日高は近年ダート種牡馬がどんどん増えています。
毎年輸入種牡馬も導入され、来年度もA.P Indy系のオナーコードやキャンディライド産駒のマスタリーなど、ダート適性を期待されている種牡馬が輸入されています。
セリではシニスターミニスター産駒が高値で取り引きされ続けています。

そんな状況でも、社台スタリオンステーションの種牡馬ラインナップにおいてはダート適性だからといって値付けを強めている種牡馬は特に見当たりません。
実績最上位と思えるクリソベリルでも300万円据え置きです。
(思えば父ゴールドアリュールもずっと300万円だった)
勿論、日高で売る想定をしていないというのが一番だと思いますが、かつてキングカメハメハが芝でもダートでも走ったように絶対的なスピードがあればダートでも大きな所を勝てるという目算ではないでしょうか。
JBC2歳優駿をセレクトセール出身馬フォーエバーヤングが勝ったように、つまりは特にダート種牡馬を揃えなくても「今のラインナップでダートも勝てる」と考えている可能性が高いのかと思います。

※そうであれば日高産から勝馬が出ることの多いJBCスプリント種牡馬には宝が眠っているのかなと。


と、こんな色々なことを考えた社台スタリオンステーションの2024年種付料発表でした。

これから12月に掛けて続々とスタリオンの種付料が発表されていきます。
楽しみに来年の配合を決めていきたいと思います。