各地で2歳戦が始まっています。


地方は門別から始まって、南関東、園田、岩手に名古屋に金沢にと新馬戦が組まれて来ています。

JRAも今週末から。


毎年この時期に馬主仲間と話題になることですが、どうしたら早期デビューすることができるか?という話になります。


勿論その馬によってケースバイケースではあるのですが、自分なりに考えて行動に移していることを書いてみたいと思います。




今の日本競馬は2歳の早い時期にデビューする方が相対的に有利になるようになっています。

(競馬として、馬のためになるかというとこれはまた別の議論になるのですが結果として繋がってくる話題でもあります。)


JRAではある程度早い時期にデビューして適性を掴んでおかないと3歳以降出走自体がしづらくなる。


地方競馬では2歳戦の賞典費が高く、後々出たいレースに出るためには賞金を積んでおかなくてはならない。


しかしながら若い馬であればあるほど、体質が強くなくトレーニングに耐えることが難しいものです。

JRAの基準でも化骨が完成するのは生後25ヶ月と言われています。

骨だけをとってみても2歳馬でビシビシ鍛えられるというのはそれだけで立派な能力と言えるでしょう。



それでは丈夫な骨や脚元はどうやってつくることが出来るのか。

これは簡単な問題ではありません。

馬づくりに挑む数多くの関係者が抱える課題だと思います。


私自身も毎年試行錯誤ですが、近年試みている方法があります。


それは「馴致を早く済ませること」です。

新馬を持った経験のある方は当たり前じゃないかと思うでしょう。


セリで購入した馬を育成牧場に引き取ってすぐに馴致を済ませ、充分な時間を与えた後に乗り始めていく。

これをきちんとやるだけで、元々極端に体質が弱かったり成長不良を起こしている馬以外は仕上がりが早くなってきます。


昨年以前に新馬を購入した馬主さんはそれぞれの馬が引き取り後どれくらいの時期に馴致を完了(乗れる所まで進めたか)を聞いてみることをお勧めします。



競馬で勝つのはどこの競馬場でも大変なことですが、馬の世界は世代毎の競走から始まるのでどの馬にも平等な時間が与えられています。


例えば8月のサマーセールで購入した馬で、2歳7月にデビューしようと思えば購入して引き取ってから「約10ヶ月」というタイマーが始動することになります。

この10ヶ月にどんな準備をするかでデビューの時期が変わります。


セリなどで購入する1歳馬は基本的に人が乗るための馴致は行われていないので、この馴致を早く完了させる意義は大きいのです。

人が乗っての調教は当然のこと、馴致も馬には少なからずストレスを掛けます。

ストレスが掛かれば馬は疲れ、飼い葉を食べなくなったりメンタルに不調をきたすことに繋がります。


早い時期に馴致を行えば、本格的に騎乗を開始する前にひと休みすることができますのでここで馬体を回復させられます。

対して馴致が遅くなると、乗り運動開始までに余裕がなくなり頓挫の原因となります。

往々にして良くあることには構造的な問題が潜んでいます。




ここまで書いて、どうしてみんなが馴致を早くやらないのか?という疑問を持たれる方がいると思います。

原因は様々あるのですが、多くのケースは育成牧場の中で乗り役はいても馴致が出来る技術者が限られているというものだと思います。
今は育成牧場も混んでいますので、馴致で渋滞を起こしてしまうケースは散見します。

各育成牧場とはセリの前にもある程度は引き取り後のスケジュールを話しておくと良いでしょう。

あくまで私の方法ですが、馴致を早くやった馬ほど翌年春を迎えた時の完成度は高くなることが多く、競馬場にもスムーズに移動できます。

馬の場合は生まれ持った才能に加え、想定したスケジュール通りに調教を消化して行けるかどうかも重要なファクターです。



先週5/30の浦和競馬場で生産馬のジャンゴ号が新馬戦を快勝しました。
こちらは昨年のサマーセールでご購買頂いた馬です。

騎乗した和田騎手は800mの馬ではなく距離はもっとあって良いとコメントしていましたが、それでも新馬戦の賞金を持っておくことで上を目指すためには使いたいレースに使えるアドバンテージが出てきます。
勿論、馬主さんにも早く資金回収して頂けたことで御礼ができたと思っています。

手前味噌にはなってしまいますが、この馬はセリに送り出す際に充分放牧地で運動していましたし、24時間放牧で冬の間も鍛えていました。
その効果が出たのだとすれば牧場にとっては嬉しいことです。

今年は私の馬もJRA、地方競馬ともに全9頭が5月下旬までに育成牧場から移動になりました。

答え合わせはもう少し先ですが試しながらやって行きます。