さて、週末はいよいよ日本ダービーです。
コロナ禍にあってどうにかこうにか開催だけは死守してきてついにダービーに辿り着きました。

自分はどれ位ダービーを観てきたのか、と考えるとオンタイムで観たのは94年のナリタブライアンなので26年です。

26年もというか、まだまだというか。
でも長い年月だと思います。

当時はダービーに限らず、毎週毎週競馬にワクワクしっぱなしでした。

GⅠの枠順はJRAのテレフォンサービスで聞けるサービスがあり、高校時代は金曜日の昼休みに公衆電話で聞いてノートに書き取り、午後の授業は自分なりの出馬表を作りバイトが終わって帰る頃には馬番をすべて暗記していました。

それだけ競馬に夢中でした。
競馬に関わるすべてのものに興味津々でした。


懐古厨ではないです。

不便だったからこそ昔は良かった、とかは流石に言いません。

今でも競馬に夢中だと自分では思っています。

でも時々思います。

なんであの頃の競馬はあんなに楽しかったんだろうと。


これは今から21年前、1999年の日本ダービーの結果です。

大好きなナリタトップロードと渡辺薫彦騎手のコンビを無情にも差したアドマイヤベガと武豊騎手。
そんな武騎手も前年スペシャルウィークで勝つまではダービーを勝てなくて、世紀末覇王テイエムオペラオーが本格化するのは翌年の話。

この世代は他にもペインテドブラック(池谷オーナーがノームコアでGⅠを勝つのはさらに20年後の2019年)とか、九州産のマークオブディスティンクション産駒マルシゲファイターとか、好きな馬が沢山いた年でした。

そしてこの1999年の日本ダービーは生産界にとっても大きな節目の年でした。

ノーザンファーム日本ダービー初制覇。

たった21年前の出来事です。

この年は社台ファームとノーザンファームが2頭ずつ、他はすべて生産者が異なりました。



大きな要因としてはサンデーサイレンスなのですが、これ以降21世紀に入ると牧場は大型化、寡占化の流れが進んでいきます。

2010年代になるとさらにこの傾向は拍車がかかり、クラブ馬全盛期が訪れます。

クラブ法人発展の経緯については他に詳しい方もいると思いますのでここでは深堀りしませんが、生産者が寡占化する過程において馬の販売手段の多角化と血統の囲い込みを図るのは経営戦略として妥当な判断ですから、ある程度予測がついたことではあるかも知れません。

ただ何となく、競馬がつまらなく感じてしまう。

何か味気なくなった。

こう思うファンは増えている様に思います。

あくまで相対的な話。
この5年ほどで競馬を始めてくれたファンには何だか分からない話でしょう。


昔の競馬はガチンコだった。

使い分けなどなく、馬主や陣営のプライドががっぷり四つに組みぶつかった。

それはそうかも知れません。

でも競馬は今を走るもの。

時間は流れていきます。

そんな時代もあったんです。これからの時代はどうなるのか。

それを考えるのが競馬ファンの楽しみです。

未来、もしかするとファンの間ではこんな話があるかも知れません。

「10年前って、毎年ノーザンファームがダービー勝ってたんだよな」

「20年前って、1/400とか1/500の一口でもGⅠ馬取れたんだよな」

もしかすると、です。


2020年の日本ダービー、1番人気はコントレイルです。

生産はノースヒルズマネジメント。

日高町清畠にあらたな放牧地を設けた第1期生がコントレイルの世代だと聞きます。

すでにダービーはキズナ、ワンアンドオンリーで2勝しています。

独自路線でノーザンファームに太刀打ちできる数少ない牧場です。

ディープインパクトもハーツクライも社台スタリオンステーションから付けています。
良い血を求めるところにはプライドは見せません。

でも育成は自前。
厩舎も妥協しません。


対するはサリオス。

ノーザンファーム産、シルクのクラブ馬です。

ノーザンファーム産は9頭。

18頭中9頭でも少なく感じるのが今2020年の感覚です。

しかし、時代が変わりそうな感覚があります。


確かに昔は楽しかったですが、今の情報が高度化し、血統レベルや育成技術が飛躍的に上がった競馬もやはり楽しいんです。

今年は馬連5-12ではなく、馬単5➔12を握っていたいダービーです。