第4章 Combination
SPAWNはハマーンとともに巨躯たる人型と対峙していた。
(さて、どう攻めるか・・・・)
相手がどう出るかを見極めようにも顔には眼がなく、動作を見極めるに重要な筋肉も隆起はしているが動きがまったく見えない状態にSPAWNは正直困惑していた。
同様にハマーンも攻め手を考えてはいたものの、答えを見出せずにいた。
(刀で切りかかるにしてもな・・・・)
そう考えてハマーンが少し動いた瞬間、鞘が地面に触れて軽く音を立てた。
その瞬間、人型はビクンと反応し、体をハマーンのほうに向けた。
(ん?)
SPAWNはその動きを見逃さなかった。
(ハマーン、弾はあるか?)
コミュータ越しにハマーンに話しかける
(ある、がどうした?)
(あいつの四方に投げてみてくれ)
ハマーンはゆっくりとポケットに手を入れ、数発の弾丸を握り締めるとばっと人型の周りに投げ込んだ。
弾丸はかつかつと音を立てて床に転がり、人型はその音のする方向に都度体の向きを変えた。
(見たか?)
SPAWNがハマーンのほうを見ながら話しかける。
(ああ、やつは音に反応しているな)
バトウはその様子を人型に埋め込まれたカメラ越しに観察していたが、思わず感嘆の声を上げる。
「やつらこの短い時間で特性を見つけおったか・・・・・。二人で乗り込むだけのことはある、伊達ではないのう」
ただし、とバトウはにやりとしながら続ける。
「特性を見つけたところで攻め手がないのに変わりはない。どうするかね、モルモット諸君」
(どこかに攻め手はないものか)
SPAWNは人型を観察する。
(常套手段としては鍛えようのないところを狙うんだが・・・)
そう思案し始めたところ、ハマーンがじれて動き出す。
(まずは飛び込んでみないことにはな!)
SPAWNが静止するまもなくハマーンは人型の前に踊り出る。
(音を立てれば気付かれる!)
SPAWNがハマーンを見るとハマーンはブーツを脱ぎ、素足で飛び込んでいるのが見えた。
(考え無しに飛び込んだわけではないのか)
ハマーンは素早く人型の懐に潜り込む。右手に携えた刀の鍔を指ではじいた瞬間、漸く人型は反応してハマーンのほうに体を向ける。
(遅い!)
ハマーンは素早く左手で刀を抜くとそのままなぎ払う。
(手応えあり!)
しかし、刃は人型の腹を滑る。
(ならば!)
ハマーンは体をひねり人型の顔面を切りつける。
SPAWNはそれを見て人型の大きく開けた口目掛けて発砲する。
人型はハマーン目掛けて腕を振り下ろす。SPAWNの放った弾丸は口に命中し、貫通、後頭部からおびただしい血が吹き出る。
ハマーンの刀は人型の顔面をやはり滑る。
と同時に人型の振り下ろした右腕をハマーンは器用に絡め取ると肩に人型を背負うようにして前方に投げ飛ばした。
どぉぉん!
人型はなすすべなく仰向けに倒される。
すかさずハマーンが人型の肩に足を掛け、刀を口に突き刺す。
「ぐぉぉぉぉ!」
人型が咆哮する。その咆哮をあげる口に今度は飛び込んだSPAWNが手榴弾をねじ込み、ハマーンをちらりと見る。
お互いは阿吽の呼吸で飛び退くと障害物に身を潜めた。
「どぉぉん!!!」
手榴弾が爆発する。人型は頭を吹き飛ばされてその動きを止めた。
「ふう・・・・」
ハマーンが大きく息をつく。
SPAWNが戦闘服についた破片を払いながら人型に近づく。
「まったく・・・・。無茶をする」
ハマーンが刀を鞘に収めながら笑う。
「じいさん、あのまま膠着してても埒が明くまい」
「まぁな」
「即席とはいえいいコンビネーションだった」
ハマーンは頭のない人型を観察する。
「何だ、これは・・・・」
人型の残骸にあるカメラはまだ、いきているのか、ハマーンが覗き込むとまるでピントを合わせるかのように中のレンズが動いていた。
ハマーンがそのカメラに向かって中指を立てる。
「俺たちを倒したいなら役者をそろえてきなよ!」
バトウはその様子をモニタ越し見ていた。コーヒーカップを持つ手ががくがくと震えると床にそのカップを叩き付けた。
その顔は怒りで紅潮している。
「眼に物見せてくれるわ! ウラルの奴等め!!」
第5章 StrikeBack に続く