小説:アサルト選抜チーム | RCSPAWNのブログ

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第1章
**********First Contact

「チヌークは相変わらずうるさいのだな」
男は丸窓の外に広がる渓谷の岩肌の変化を目で追いながら独り言のようにつぶやいた。
ここは中東の国、ウラル。
今の季節はちょうど夏の終わりだが、それでも気温は30度を優に超えている。
男は軍服ではなくジーンズにポロシャツという出で立ちで、このヘリの乗員としてはいかにも不似合いだった。
乗員は男を含めて2名。もう一人は若い兵士だ。

「若者と年寄りがかき集められるとは戦況は思わしくないのだな・・・」
ウラルは数年前からレアメタル鉱山の利権獲得と開発に先進国が競って資金を大量に投入していた。
時の政府はその潤沢な資金を使って開発と利権の紳士的な取引を行っていたが、政権中枢からその利権を独占しようとするものが現れ、軍も巻き込んでクーデターが勃発した。
世界各国はそのクーデターを支持せず、蜂起した軍も各国のリソーセス支援を受けた政府軍の猛攻に首都侵攻はおろか、戦線の維持すらできず、撤退を繰り返し、結果としてクーデターは未遂に終わり、首謀者であるエラヌス財務相と陸軍大将マイバッハは国外に逃亡した。
同調した陸軍将校、兵士らも相次いで国外逃亡し、事態は表面上、沈静化した。

しかし、2年前、その逃亡したはずのエラヌス財務相と陸軍大将マイバッハは共産圏某国を後ろ盾に軍事行動をウラルに仕掛けた。
国内は一気に戦争状態に突入、さらに世界に散らばるテロリスト組織もその混乱に乗じて一攫千金をもくろむ死の商人らの要請により参戦し、事態は混迷の度を深めて行った。

「俺がいた頃はこのあたりにも遊牧民がいたのだが・・・。」
男を乗せたヘリは渓谷を縫うように低空飛行を続ける。
「もうすぐ到着です。」
同乗していた兵士が男に声をかける。
「君は・・・・」
男が視線を兵士に向けて応答すると、兵士は緊張した面持ちで敬礼をした。
「Okakei上等兵であります!!」
「ああ・・」
男はちょっと困ったように少し口元を緩めた。
「今は民間人だよ。敬礼はいい」
Okakei上等兵は今度は興味ありげに男をじっと見つめていう。
「特殊部隊におられたのですよね。」
(退役したとはいえこうも素性が割れているのはどうかと思うぞ・・・)
「ご一緒できて光栄です!!RCSPAWN!!」
(名前もか・・・)
男は半ばあきらめたようにOkakeiに握手を求めた。
「よろしく Okakei上等兵。SPAWNでいい。」

Okakei上等兵が再度敬礼をした時、ヘリは更に高度を下げて、岩陰にある洞窟に吸い込まれていった。
ヘリが着陸すると同時にOkakei上等兵はまるで勝手知ったる場所かのように通路奥のへやに入っていった。
SPAWNが降りるとあらたな軍人が出迎えた。
「よく来てくれた!」
そういいながら敬礼をし
「奥の通路の突き当たりの部屋で皆待っている。お前が最後だ。これからの居室はあとでアシスタントが案内する」
そういうとヘリに近寄り操縦士となにやら話し込み始めた。
(よくいうぜ。退役した俺に何をいまさら期待している)
その様子を見ながら、SPAWNは言われた部屋に入っていった。
大型モニタ、レーダなどが壁に配置されたその部屋の真ん中には円卓があり、それぞれ違う軍服を着た兵士が座っていた。

「ようこそアサルト選抜チームへ」
真正面の男がSPAWNに声をかける。
アサルト選抜チーム・・・・。こいつらが俺のチームメイト、いや戦友となるやつらか。
「コードネームRCSPAWNだ。SPAWNでいい」
SPAWNは空いた席に座ると周りを見渡した。
先ほどSPAWNに声をかけた男が続ける。
「マスターのいづいだ。よろしく」
アサルト選抜は特殊部隊。そうSPAWNは認識した。階級も氏名も明かさない、コードネームで呼び合うのは特殊部隊の常だ。
しかし、これだけの人数で仕掛けるのか?そうSPAWNが軽く疑問に感じていると
「ここにはいくつかの同様の任務を帯びたチームが集結している。我々単独での作戦行動以外に共同作戦も行う可能性がある」
更にいづいが続ける。
(なるほど、さっきの兵士ともいずれは組む可能性があるわけだ。)

「コードネームで結構だ、自己紹介を」
そういってメンバーを見渡す。

「JOKAR199」
「ハマーン卍カーン」
「Risarisa」
「馬鹿と呼べる天才」
「リグ」
「ロンズ中将」
「hamakamera」
メンバーは国籍、人種、性別もさまざまだが、こと年齢に関していえばSPAWNが年長のようだ。
(現役の中に復帰するのはちとしんどいな)
「つかいもんになるのかね、みるからにじいさんなんだが」
リグが半ばあきれたように吐き捨てる。
(わかいな)
SPAWNは特に反論するでもなく視線をいづいに向ける。
「大丈夫だ」
いづいがリグを諭すように話し始める。
「ここに集まった連中はこれからの作戦に必要かつ強力なスキルを持っている」
いづいから作戦の要旨が展開される。
地図などの情報が1枚の紙に書かれて配られる。
「いいのか、俺が現役の頃は情報は残さないのが鉄則だったが」
SPAWNが思わず声を上げる。
いづいはそれを無視して続ける。

今回の作戦はテロリストの活動拠点である砦の攻略だ。
この基地から南西に200km、レアメタル鉱山近くの倉庫にテロリストが集結している。
ここを殲滅、拠点機能を奪うことが主目的だ。
今から1時間後にヘリに搭乗。拠点北1kmの地点に降下する。
そこで友軍と合流して作戦にあたる。

「いいか?」
いづいがメンバーを見渡す。
「OK、では1時間後、遅れるなよ」
そういっていづいが指を「パチン」とはじくと机の上の作戦資料が音も無く発火してあっという間に灰となった。
あっけにとられているSPAWNに
「今時の資料はこんなもんさ」
そういっていづいはにやりと笑い部屋を出た。
「なるほど。アナログなおれには手品にしか見えないがね」
SPAWNもにやりとしながら部屋を出た。

部屋には爆睡しているRisarisaだけが残った・・・・・。


First Contact 完

Team に続く