酷暑の東京で、再び少しだけピアノを弾き始めた今日この頃です。
一方、バイオリン男子は、新しい環境でも変わらずバイオリンを弾いております。どこにでも自分の楽器を持っていかれるバイオリンの強みであります。
去年の来日以来、アメリカの先生とオンラインでレッスンを続けてきたバイオリン男子ですが、ついに家からほど近いところでレッスンをしていただける先生に巡り合いました。6月にアメリカへ一時帰国する直前に習い始めたので、きちんとしたレッスンはまだ数回しか受けていませんが、なかなか個性的な先生で、バイオリン男子との相性も悪くないような気がする私。
さて、アメリカへ戻る前の最後のレッスンの時に、
「バッハのパルティータからどれでも好きな曲でいいから、選んで譜読みしてきて。」
と言われたバイオリン男子。
色々なレコーディングを聴いて、2番のアルマンドを選び、譜読みを始めました。
(私はジーグを勧めましたが、聞き入れてもらえず)
そして迎えた日本帰国第1回目のレッスン。
「弾いてみて!」と言われて、バイオリン男子が弾いたパルティータは、無味乾燥なただ音符を並べただけの物でした。。。
ところが、
「もう1回弾いてくれる?」
と言われ、もう1回弾き始めたら、先生がつかつかと歩いてきて隣で一緒に弾き始め、そして、それからたった4小節ぐらいの間に、
バイオリン男子、別人になりました。
まるで魔法でした。
そして、そのまま繰り返して弾いた2回目は、先生が抜けても、別人のままだったバイオリン男子。
えええ!っと心の中で叫んでしまった私。本当にびっくりした瞬間でした。
つまらないバッハを奏でていた15歳を一瞬にして別人にしてしまう先生も、ころっと別人になってしまうバイオリン男子も、どちらも、なんだかすごいものを見せられてしまった気がした私でした。
まあ、この手の魔法は永遠に続かないので、この瞬間を忘れずに、お家でも励まないといけません。。。
良い時はいつもほんの一瞬。苦しむ時間の方が何百倍も多いです。
「良くなったね!」
とにっこりの魔法使い。
フレージングやアティキュレーションはもちろんなのですが、それ以上に目の前で魔法をかけてくれた先生が奏でた人の声のような音色を忘れないでいてほしいなあと思った私です。特に出だしに使った、ちょっとかすれたようなハスキーボイスに私は胸がきゅん!としてしまいました。
さて、バイオリン男子、魔法使いの弟子になれるか?