『世を棄てよ、街へ出よう』から4年,『永遠のユメ』を公開した.

 

 この作品は,『Drugstore Cowboy』へのanswerでもある.「大抵のヒトは一瞬の過ごし方に苦しんでいる.その点,ジャンキーはラクだ.薬瓶のラベルに答えが記載されているのだから」という主人公が提示した命題について,十代の頃からずっと考えていた.じぶんが「一瞬の過ごし方に苦しんでいる」タイプだったので,長年,「大抵のヒト」の「大抵の」を疑わなかった.だが,40年くらい生きてみると「大抵のヒト」は主語がデカい気がしてきた.だが,じぶんが「一瞬の過ごし方に苦しんでいる」ことには変わりない.「一瞬の過ごし方」の攻略法について考えながら執筆したのが本作となる.

 

 後半に登場する人物のモデルについては隠し立てしていない.2021年のGWに執筆を開始したのだが,計画が大幅に遅延しているうちに,周知の通り,愉快ではない幕切れを迎えられた.葉月が現役引退後の彼の生活習慣について懐いた疑問は我が疑問だった.その疑問については長年考えていた.彼のhow to surviveが「一瞬の過ごし方」を攻略する手段のone of themだという気がして,今回,現役引退後の彼の生活習慣について解釈を試みた.ご冥福をお祈り申しあげます.

 

 17歳のあぶれもん  が 清掃バイトの休憩中に軽ワゴンで所在なく過ごしていた.カー・ラジオから流れてきたのが『永遠の夢に向かって』だった.映像化・舞台化するときは,主題歌は『永遠の夢に向かって』.これは譲らない.