NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」 第3回「熱狂はこうして作られた」 その23 | 岩崎公宏のブログ

NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」 第3回「熱狂はこうして作られた」 その23

あらゆるメディアの中でも近衛文麿はラジオを巧妙に利用して国民を熱狂へと駆り立てようとした。

「近衛内閣総理大臣演説」という当時のラジオの音声が流れたあと、日中戦争が始まって2ケ月後に日比谷公会堂で国民の戦意高揚を狙っておこなわれた近衛の演説会の映像が放送された。近衛の勇ましい言葉に観客の喝采が起こり、その興奮がラジオ中継によって全国に届けられた。

「いかなる国難が起こって来ても、必ずこれに打ち勝ち有終の美を成し遂げずんば断じて止まぬという不退転の決意であります」という近衛の当時の演説の音声が流れた。

演説会場から拍手と歓声を電波に乗せて、聞き手に国家との一体感を感じさせるのはナチスの手法だった。アドルフ・ヒトラーの演説の映像が流れて、それに重ねて当時のスローガンは「ラジオは国家の意思を運ぶ」だったことが伝えられた。

政府の統制下にあった日本放送協会は、ナチスの手法を長年に渡って研究していた。日本放送協会が作成した調査時報という雑誌に掲載された論文「ナチス独逸と放送事業」というタイトルの論文が画面に表示された。組織体制や番組編成までナチスの手法を参考にしていた。

竹山昭子元昭和女子大教授は「ナチスドイツの宣伝のありかたというものを日本放送協会はお手本にしています。会場に詰め掛けている人々の歓声と拍手ってものがね、こちらの耳から心に響くわけですね。ですから非常に強いインパクトをもたらした。戦意高揚という意味では、非常に大きな役割を担ったメディアだと言っていいと思いますね」とコメントしていた。

「昭和12年12月13日 敵の首都 南京を攻略せり」という当時の音声が流れた。この放送を聞いた国民は熱狂した。デパートでは南京陥落セールがおこなわれ、東京では戦勝祝賀の提灯行列に60万人が参加した。



岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ


岩崎公宏のブログ