ジョン王 (ウィリアム・シェイクスピア著 白水Uブックス) その10
第五幕第一場はイギリスの王宮だ。ジョン王、パンダルフと従者たちが登場した。ジョン王は王冠をパンダルフに返還して、フランス軍の陣中に行って、法王の使節として進軍を阻止してくださいと要望した。パンダルフは「あなたの忠勤の誓いをお聞きしたからには、私は喜んでフランス軍に赴き、武器を収めさせることにします」と答えて出て行った。
フィリップが出て来て、国内の多くの州が降伏して、抵抗しているのはドーヴァー城だけであること、貴族たちはアーサーの遺体を発見したことを報告した。気落ちしているジョン王をフィリップは励まして「気に食わぬ敵に対しては、近づいて来る前に飛び出してつかみ殺すべきです」と言った。ジョン王が法王の大使であるパンダルフと和解してフランス皇太子の率いる軍勢の解散を約束したと告げると、フィリップは「なんて不名誉な和睦だろう」と述べた。そしてパンダルフの和睦交渉は失敗する可能性が高く、成功するにしても、我々には防戦する意志があったと奴らに認識させるべきですと進言した。それを受けてジョン王は現状に対する指揮権を彼に委ねた。
第五幕第二場はセント・エドマンズベリーにあるフランス皇太子の陣営だ。皇太子ルイ、ソールズベリー、メルーン、ペンブルック、ビゴットと兵士たちがいた。ソールズベリーはフランス軍との条約を順守することを誓いながらも自分の国土で違う軍旗の下で働くことに疑問を呈し、隣人同士で傷つけ合う愚行を回避したいものだと語った。皇太子ルイは彼のことを高潔な気性が溢れていると称えた。
パンダルフが陣営に到着して、ジョン王がローマと和解したことを告げ、皇太子に軍勢を引くことを求めた。皇太子はその要求を即座に拒否した。自分の正当な権利によってこの国を征服するのだと答えた。
フィリップが役人たちに伴われて出て来た。彼は枢機卿が何をされるかを知るためだと言った。パンダルフは皇太子が自分の懇請に応じないばかりか、武器を収めて引き上げる気持ちはないと断言したと答えた。フィリップはジョン王が戦闘準備を整えており、フランス軍を領土から追い出すつもりでいると主張した。皇太子はフィリップに空威張りはそれくらいにしてとっとと帰れと命じ、部下に軍鼓を響かせ我が軍が当地に来たことを知らしめよと指示した。フィリップは「武勇の誉れが高いジョン王がおられるのだ。フランス兵に目にもの見せてくれるさ」と叫んだ。