遠ざかる結婚
グレ男さんが、会社を辞めました。
理由は「変な仕事にまわされたから。」
ようは、部署変更、勤務内容変更されたのです。
仕事をやめると、貯金も貯まらないから結婚もまた遠ざかります。
そのことまで、グレ男さんは考えていないのでしょう。
ただ、グレ男さんは「今のこの仕事だと俺の将来もないけど、ちぃとの将来もないから。」と、私に説明していました。
グレ男さんが勤めていた職場は給料が安かった。
グレ男さんの仕事内容はくわしく知りませんでしたが、グレ男さんが言うには「この給料で、あんな場所に飛ばされたらリストラや左遷と同じだよ。」とのことです。
「安い給料でこき使われるのは、たまらない。」とも、言っていました。
聞きながら私は、もっときつくて辛い仕事だってあるのに。もし、そこよりもひどい場所しか就職先が無かったらこの人はどうするのかな?と、思いました。
私から見ると、どうしても子供の我侭にしか見えなかった。
やる気のないグレ男さん。
本当に私と結婚するつもりがあるのかしら?
口には出しませんでしたが、グレ男さんと付き合っていくうちに何度か疑問に思いました。
「お金がないから今はまだ結婚できない。」
グレ男さんは、そういってましたから。
グレ男さんのお母さんは一所懸命に、グレ男さんの職場を非難してグレ男さんの擁護をしていました。
「この子(グレ男)の実力が分かっていないのよ。この子がするような内容の仕事じゃないわ。」
「辞めたくなって当然よ。むしろ、こっちから辞めてやっていいぐらいよ。」
前から私は、グレ男さんのお母さんからも「結婚はまだ待ってね。」と、頼まれていた。
理由は、グレ男さんと同じく「今はまだ就職したばかりで、お金が無いから。」と。
グレ男さんを庇う様に話すグレ男さんのお母さんの話を聞いていて私は、「母親なら、甘やかさないで仕事を続けさせたりしないのだろうか?」と疑問に感じた。
グレ男さんのお母さんは、グレ男さんに大人の先輩として
社会は、そんなに甘くない。
と、教えないのだろうか?
かく言う私も、人に言えるほど就職出来ていない。男の先輩のセクハラといじめが原因で初めての就職先を辞めてからは、どんなに面接を受けても就職出来ていなかった。
余談ですが、後になって私が勤めていた会社の人から聞いた話だが、その男の先輩が原因で何人も辞めているらしい。
職場の女に手を出すような男だから、女の人は続かないそうだ。
私も同じように被害にあって辞めていたので、その話を聞いて納得した。
その先輩に迫られて、拒むと態度が急変するのだ。
早朝に店を開ける時、その先輩と2人きりだと蹴られたり殴られたりしたし。勤務時間内でも、顔を殴られて仕事にならなかった時もあった。
今でも、私は思う。その人が居なければその職場に私はずっと勤めていただろう。
当時の私も甘い考えの持ち主だった。その職場を辞めてもまた他に次の就職先が見つかると思っていたから。
初めての就職先を辞めてから数年後、就職先が決まらずフリーターを続けなければいけなかった私は、その考えが甘いことを思い知ったけれど。
私自身の経験上、グレ男さんがすぐに就職先が決まるとは思えなかった。
特に、辞めた職場よりも好条件の職場がそうそう見つかるとは思えない。
グレ男さんからのちに、グレ男さんのお母さんは社会に出たことが無く、働きに出てもパートしかしたことが無いことを聞いて納得した。
私は、静観することにした。
グレ男さんと、特にグレ男さんのお母さんには何を言っても無駄だから。
そして、一生(?)働き続けるのはグレ男さんなのだから、グレ男さんが納得して働ける職場のほうが良いと思ったから。
中流家庭?
グレ男さんのお母さんは、自分の家のことを「裕福な家。」と思っているようでした。
事実裕福だったらパートに出ることも無いと思いましたが、グレ男さんのお父さん(のちの舅)が貯蓄するのが好きな人で「無駄遣いは禁止。」「外食なんてもってのほか」という考え方の持ち主で、グレ男さんのお母さんは仕方がなくパートに出ているようでした。
いつものように、グレ男さんのお母さんがグレ男さんの部屋にやってきて聞いてもいないことを一人話し出しました。
「グレ男からは、家にお金を入れさせてるのよ。学校出してあげたのだし、就職しているのだから当たり前でしょう。」
はい、当たり前ですね。
「家は、お金に困っていないから本当は要らないんだけど甘やかすとこの子(グレ男)のためにならないでしょう。」
そうですね。
「おじいちゃんの年金も全部家でもらってるのよ。おじいちゃんはもう年なんだからお金いらないでしょう。助けてもらってるのよ。」
裕福な家庭ではなかったのですか?
相変わらず、つっこみポイント満載のグレ男さんのお母さん。
実際には、突っ込んだ意見を言ったことはありません。口にしたが最後、どこまでも恨まれ親戚中に言いふらされるのが分かっているからです。
そして、結婚も破談になるのが目に見えていましたから。
そんなある日、またグレ男さんの部屋にきたグレ男さんのお母さんは開口一番こういいました。
「グレ男、ペットの犬が寿命で入院することになったのよ。あんたも家族の一員なんだから入院費半分出しなさい。」
グレ男さんのお母さんは、ペットの外犬が寿命でボケていて遠吠えがひどく面倒を見切れないので、かかりつけの獣医さんに
死ぬまで入院させる事にしたのです。
いつ、犬が亡くなるかわからない=入院費もいくらかかるかわからない
獣医さんの見立てでは「1週間か10日の入院で25万はかかりそうだ。」と、いうこと。
グレ男さんのお母さんは「まだかかってもいない費用の25万の半分の10万でもいいから今すぐにグレ男さんに払え。」と言ってきたのでした。
他人の家庭のことだから口を出すつもりはありませんでしたが、さすがに私はグレ男さんのお母さんが居なくなってからグレ男さんに言いました。
「入院費って、まだかかっていないのに10万払うの?言い方が悪いかもしれないけど、明日犬が死んだら25万もかからないじゃない。」
「そんなかかってもいない費用を先払いで、グレ男さんが払う必要あるの?」
グレ男さんが大して貯金がないことを知っていた私は、グレ男さんに聞きました。
「お金がないから、今はまだ結婚できない。」と、グレ男さんから言われていましたから、少しでもグレ男さんに貯金してほしかったのです。
私に指摘されておかしいと気がついたグレ男さんは「かかった費用の半分払うから、かかった後で請求して欲しい。」とお母さんに話したようでした。
そうして2日後、グレ男さんの家の犬が亡くなりました。実際にいくらかかったのは聞いていません。
その後も、グレ男さんの貯金を管理しているグレ男さんのお母さんは、グレ男さんの貯金が増えるたびにグレ男さんにせびるのです。
「ちぃちゃん、おばさんがごちそうしてあげるから外へ食べに行きましょう。」
そういって、外食をしに出かけるのですが支払いのときに「グレ男、たまにはあんたが出しなさい。」とせびる姿を幾度となく見てきました。
私は、実家でご飯を食べてからグレ男さんと会うようにして、外食を断るようになりました。
付き合い始めたときから、私とグレ男さんはワリカンでデートしていました。(たまにおごったりおごられたりもしていましたけど。)
外食してグレ男さんがお金を払うならグレ男さんと2人きりのほうがいいですから。
グレ男さんの妹
ある時、グレ男さんとデートをしているとグレ男さんから「今、実家に妹が帰ってきているんだ。」と、聞きました。
グレ男さんとグレ男さんのお母さんから聞いた話では、グレ男さんの妹さんはグレ男さんの同級生と同棲し出来ちゃった結婚をして、今2歳になる子供がいるとのことです。
私も、一度だけ妹さんが結婚する前に妹さんとその同級生に会ったことがあります。
その妹さんが実家に帰ってきている。
理由は、グレ男さんから聞かなくてもグレ男さんのお母さんから聞かされました。(グレ男さんのお母さんは噂話と悪口を話すことが大好きな人ですから。)
どうやら、旦那さんの浮気が原因のようです。が、よく聞くと妹さん自身も他に好きな男性が居て付き合っていること。
今の旦那さんと別れてその男性とまじめに付き合いたいから、実家に帰ってきたらしいと。
もちろんこのことに関して口止めされました。
しかし、グレ男さんの実家には、妹さんは居るもののグレ男さんの妹さんの子供がいません。
グレ男さんのお母さんが話すには「娘にちっとも似てやしない子供をひきとってもしょうがないでしょう。本当に(妹さんの)旦那そっくりなんだから。」
「これからのあの子(妹さん)の将来を考えたら、子供なんて置いてきたほうがいいのよ。」「連れ子なんてみっともない。」と、言い切ってました。
妹さんが自ら子供を置いてきたのか、グレ男さんのお母さんに言われて置いてきたのか、私にはわかりません。
ですが、少し前までは「孫、初孫。」と喜び騒いでいたグレ男さんのお母さんとお父さん。
そして義母自身もお腹を痛めて産んだ事があるのに、平気で「そんな子供なんていらない。」と言い切れる神経が私にはわかりません。
グレ男さんのお母さんの意見が変わりやすいのも、少し変わっているのも知っていましたが、ここまでひどい人だとは思ってもいませんでした。
グレ男さんのお母さんの話を聞いていて、私は「自分の子供がよければ孫なんてどうでもいいって意味なのかしら?」と感じました。
義母は人として、最低な発言をしている自覚すらないようですけど。
数日後、妹さんはやっぱり子供が心配だったのかわかりませんが、旦那さんと子供の元へ帰っていきました。
旦那さんとよりを戻したようでした。
妹さんは、実家に「携帯電話」を捨てて帰って行きました。
どういう経緯で捨てていったのかはわかりませんが、その「妹さんの携帯」を持ってグレ男さんのお母さんが、デート中の私達の部屋へきたのです。
「ちぃちゃん、携帯電話のメールの見方わかる?」
グレ男さんのお母さんは、妹さんが捨てていった携帯の中身をチェックしたいのだと言っていました。
「この携帯であの子(妹さん)やり取りしていたのよ。母親として子供の事はなんでも分かっていないとまずいでしょう?心配だし。」
私は、唐突に言われたことにただただ驚いていました。
他人の、いくら自分の子供とはいえ成人していたり結婚して家を出ている子供の携帯のメールチェックをしたいと、堂々と言うグレ男さんのお母さん。
背筋が寒くなりました。
今までの私とグレ男さんのメールのやりとりもチェックしていた可能性があります。
「操作方法がわからなくて、どうすれば見れるの?」
私は、「自分の使っている携帯とメーカーが違うからわかりません。」と返事をしましたが、グレ男さんのお母さんは妹さんの携帯を操作するのをやめませんでした。
数分後、グレ男さんのお母さんは自力でメール欄を見ることが出来たようで満足して部屋を出て行きました。
しっかりと、このことを私とグレ男さんに口止めをして。
これ以来、私はグレ男さんに「おやすみ・おはよう」メール等、差しさわりのない内容以外は、あまり送らないようにしました。
何か、言いたいことがあれば電話をかけるようにしました。
メールチェックされていてはたまりませんから。
冬のある日
グレ男さんが就職し、少し遠い2つ隣の町まで通勤していた冬のことです。
その晩、私は実家で母と2人で晩御飯の支度をしてました。元から、料理は教えてもらっていましたが、母はグレ男さんといずれ結婚するかもしれない私に少しでも多くのお袋の味や料理を教えてくれるようになったのです。
その時、玄関の呼び鈴が鳴りました。2度、3度と。
料理中なので、母が玄関へ向かいました。
すると、「ちぃ、グレ男さんのお母さんがきたわよ。」と。
こんな時間になんで?!いったい何があったの??
私は、驚きつつ玄関でグレ男さんのお母さんと話しました。(後から考えれば家の中に通せば良かったのですが驚きのあまり気がつきませんでした。)
「うちのグレ男こちらにお邪魔してませんか?」
今日は、グレ男さんが仕事で会う約束はしていないこと、来ていないことを義母に話すと、グレ男さんのお母さんはさらにこう続けました。
「とっくに、仕事は終わっている時間なのにあの子(グレ男)帰ってこないのよ!」
グレ男さんのお母さんが話すには、いつもならもう家に帰宅している時間になっても帰ってこない。携帯に電話かけても連絡が取れない。と、いうことでした。
「事故にあったのかもしれないわ、ちぃちゃん私と一緒にグレ男を探しにいって頂戴!!」
私は、目の前が真っ暗になりそうでした。
二十歳を超え、就職している男が「いつも通りに帰宅しない=事故にあった」と、考えるグレ男さんのお母さん。
確かに、グレ男さんの車の運転は無謀ですし、通勤路は電波が届きにくい地域でもあります。
だからといって、いい年齢の息子が急な残業が入ったとか考えないのでしょうか?
「残業とか入ったのかもしれませんし。連絡をまってみてはどうですか?」
と、私はグレ男さんのお母さんに話しましたが納得できないようで「とにかく母親の私のカンがそういってるんだから探しに行くの着いてきて頂戴。」の一点張りです。
仕方がないので、一緒に探しに行くことにしました。出かける準備をしているとき、グレ男さんから私の携帯に電話が入りました。
グレ男さんのお母さんが今、私の実家に来ていることを話すと、グレ男さんはとても驚いていました。
が、私もグレ男さんの話に驚きました。
本当に事故を起こしていたのです。グレ男さんのお母さんのカンは当たっていたのです。
帰宅途中、吹雪に合いスリップして路肩に車が落ちてしまったとのこと。携帯も繋がらず途方に暮れていた時に、近くを通ったトラックに車を引き上げてもらったこと。
怪我はないこと、車も少し歪んだだけで平気なことなど。
とりあえず、大事には至っていないことを聞いた私は安心し、グレ男さんから連絡が着たことを話、グレ男さんのお母さんに帰っていただきました。
(グレ男さんには、お母さんに電話をするように言って電話を切りました。)
後日、グレ男さんにグレ男さんのお母さんのことを聞きました。
すると、仕事のシフトは必ず管理していて(ご飯支度もあるのでしょうから当たり前といえば当たり前なのですが。)仕事が終わったらまっすぐに帰宅しないといけない家庭であること。
(グレ男さんが小さいの時から、そうだそうで、高校のときは送り迎えもしていたそうです。)
飲み会などある時は、事前に連絡すること。帰宅が遅くなるときは、連絡することなど。
考えすぎかもしれませんが、つねにグレ男さんのことを監視・管理していないと気がすまないお母さんのようです。
私は、頭が痛くなりました。
考え方や家庭環境(育て方)の違いなのでしょう。私は、「自己責任の範囲で自由。」を認められていて子供とはいえ、プライベートは尊重されていましたから。
聞くと、郵便物も開封されるのが当たり前だとグレ男さんは話していました。
信じられない!!
この時からグレ男さんのお母さんと将来同居するかもしれないのが怖くなりました。監視され、管理されるのはいやだからです。
変わる意見
相変わらず、グレ男さんと会うとグレ男さんのお母さんに捕まる私。
捕まっては、色々な話を聞かされていました。
健康番組が大好きなグレ男さんのお母さんから、お酢を飲むように指示されたり大根や、カスピ海ヨーグルトを食べるように指示されたりもしました。
グレ男さんいわく「健康番組で食べ物を扱うと、飽きるまでそれが出てくる。健康番組なんか嫌いだ。」らしいです。
今まで、大根ONRY,たまねぎONRYとか、極端だったりしたそうです。
そうして、私達にも「ファーストフードは体に悪いから食べてはいけない。」とか「外食ばかりで体に悪い。」とか色々指示してくるようになりました。
ニュースで狂牛病が取り上げられ、牛肉が危険だということで、牛肉も一切出なくなったそうです。
グレ男さんは、料理下手に付け加え、健康志向が強すぎる義母さんの嗜好についていけないと言っていました。
私も、外食が多いお義母さんが「外食はダメ」という意見など、ころころ変わる意見に惑わされて混乱してしまいました。
グレ男さんが言うには「うちの母さん、すぐ言うこと変わるから本気にしないほうがいい。」
「結婚」をほのめかすグレ男さんのお母さん。話す内容も確かに聞くたびに違うことに私も気がついていました。
「グレ男のために事業を始める予定だ。」とか「グレ男のためにマンションを立てる予定だ。」とか「グレ男と同居するためにリフォームする予定だ。」とか、それはもう様々でした。
グレ男さんのお母さんからそんな話を聞くたびに、グレ男さんは「本気にしないように」というようになっていました。
義母になる人と話すたびに、私はいつもどこまでが本気なのか測ることができず、なんといって答えればいいのかわからなくなっていました。
私は、口約束の結婚・婚約でもその気にすっかりなっていたこともありグレ男さんに「本当に私と結婚する気なら、指輪を買って。」と、おねだりしました。
そうして、グレ男さんの気持ちを確かめると共に、すぐ気の変わるグレ男さんのお母さんに目に見える証をみせたかったのです。
グレ男さんのお母さんに「私達は本気だ。」と認めさせたかった。
そうして、そのまますぐに指輪を買いにいきました。私が選んだのは小さいダイヤ付きの安い指輪でしたが、グレ男さんも喜んで指輪を買ってくれました。
指輪を買ってもらったこと、贈ったことをグレ男さんからそれとなく義母に話してもらったのはいうまでもありません。
(事実、後で遊びに行くと、「指輪を見せて。」と言われ見せました。)
しかし、避妊について事あるごとに注意されるのはたまりませんでしたけど。
グレ男さんの家の台所。
グレ男さんが無事学校を卒業して、就職をしました。グレ男さんの休みにはもちろん、デートをしていました。
卒業と同時に婚約しようと、約束していましたがグレ男さんは「婚約してるも同然だから。」と指輪のプレゼントもありませんでした。
就職したてでお金が無いのも、わかっていたので催促するきは始めありませんでした。(のちにおねだりしてしまうのですけど。)
しばらくすると、グレ男さんのお母さんに頼まれ私が台所に立つことになりました。
舅が仕事で家にいない日に、遊びに行くと晩御飯の買出しと晩御飯の支度を頼まれるようになったのです。
この頃、グレ男さんのお母さんは私とグレ男さんの部屋にやってきてはおしゃべりしていくようになっていました。
そうして、私に「いずれ結婚するのだから。」とか「結婚したらこうしましょう。」とか何かにかこつけ「結婚」をほのめかしていました。
一見、グレ男さんのお母さんは私とグレ男さんのことを認め、歓迎しているようにみえました。
(裏では、反対していたことが後から判明しますけどね。)
「自分の家では、どんなご飯を作っているの?」とか「自分の家ではどんな手伝いをしているの?」とか色々質問もされていました。
グレ男さんのお母さんの話では、グレ男さんには妹が一人いたのですが高校生のときに中退し、かけおち同然でグレ男さんの同級生(友達)と同棲して実家にはもう何年も帰ってきていないこと。
グレ男さんのお母さんは、家事を手伝ってくれる娘が欲しいようでした。
そうして私を「結婚」とほのめかし、グレ男さんの家でご飯支度させるのが目的だったようです。それに気がつかないまま、私は「お嫁さんテストなのかしら?」と思って家事をしてました。
掃除と裁縫は苦手な私ですが、料理だけは人並みに出来たこともありグレ男さんのお母さんからは「なんとか合格点」をいただけました。
「この味付けなら、もう少しこうしたら我が家の味になるわ~。結婚したら我が家の味にして頂戴ね。」とか、言われましたけどね。(グレ男さんのお母さんの料理の味を知っている私はそうする気はありませんけど。)
グレ男さんの実家で、たまにですが料理することになった私。人様の家庭ですから、あまり言いたくはありませんが「今まで何を食べてここまで育ったんだろう?」と驚くことが多かった。
それくらい、グレ男さんのお母さんは料理のことしらなかったのです。
魚や、イカはさばくのが面倒くさいから買わない。買っても切り身や処理済の冷凍だそうです。私は、魚のさばきかたを母と父から仕込まれていたので、さばくのが当たり前と思っていましたから驚きました。
私の母からの手土産で、カレイを持っていった時に言われたのですが、「カレイはうちでは食べないのよ。さばけないから。」料理方法も知らないとのことでした。
煮物にしても、漬物にしても「どうすればこんな仕上がりになるのだろう?」というものが多く、お寿司をご相伴に預かったことがありますが、酢だけの味の手のひらサイズのお握りでびっくりしました。
炊き込みご飯にいたっては、どこからみてもご飯粒の原型がありません。
クリスマスに手作りのケーキをグレ男さんの家に「いつもお世話になってます。」と、持って行った時も、グレ男さんのお母さんいわく「私も子供たちが小さいころは、お菓子もよく作ったものよ。私はお菓子を作るの上手なのよ。」だそうで、料理上手をアピールしてましたが、私は「ちぃちゃんもまだまだね。」というグレ男さんのお母さんが持つ「負けず嫌い」さを感じました。
(グレ男さんのお母さんは、すごい甘党なので口にあうように甘めに作ったケーキだったのですが「甘すぎる」といわれました。)
余談ですが、外食が多い人って口が肥えて料理センスも磨かれると思うのですが、グレ男さんのお母さんは口だけ肥えた状態なんでしょうか?料理に生かされているとは思えません。
グレ男さんのお母さんから「結婚したら同居」と洗脳されていた私は、お義母さんとうまくやっておかなければと思っていました。
例え、少し変わったお義母さんでも。
グレ男さんの実家
私は、私の実家の事情と私が仕事を辞め、バイトを掛け持ちしすぎ体調を崩したこともあって実家に戻ることになった。
実家に戻ると、今までのように気軽にグレ男さんと会うことも出来なかったが、お互いの実家に遊びに行ったり、時には泊まったりしてデートをしていた。
グレ男さんのお母さんはとてもおしゃべりな人でグレ男さんの家に遊びに行くと、たまに私を捕まえて色々おしゃべりするようになっていった。
だけど、私のことを「仲のいいお友達」として扱い、「彼女」や「婚約者」と呼ぶことはなかった。私とグレ男さんが、世間一般で言う「彼氏・彼女」の関係だと知っていながら。
グレ男さんの実家に遊びに行ったある日、姑から「前のグレ男の彼女は、年上でしっかりした人でねぇ。私が何も言わなくても御米をといでくれたり、お茶碗を洗っておいてくれるような女の人だったのよ。」と、聞かされた。
私は絶句した。
話し方から、グレ男さんのお母さんは、遊びに来たなら台所に立てと遠まわしに催促していると感じた。
考え方の違い で済むことなのだが、私はいくらグレ男さんと2人だけの口約束で婚約しているとはいえ、グレ男さんの「彼女」なわけだし。人様の家の台所に立つことはあってはならないことだと考えていたからだ。
仮に、グレ男さんのお母さんが亡くなっていて男所帯でグレ男さんに頼まれたとしたら立ってもいいのだが、グレ男さんのお母さんが健在で家庭を取り仕切っているのに、台所に勝手に立つ気は毛頭無かった。
人様の家庭で、でしゃばった真似はしたくなかったし、そんなことをするほうが、私の常識から考えて非常識だと思う。
遊びに行ったり、時に泊まることをまったく気兼ねなくしていたわけではない。
グレ男さんの実家にお邪魔する時は、必ず色々なお菓子を手土産として持っていってたし、それで今の私とグレ男さんの関係では妥当だと思っていた。
他の人はどうなのか知らないけれど、私はそれで十分だと思っていた。
明らかにグレ男さんのお母さんは私とその人を比べている。
しかも、グレ男さんのお母さんは、私のことを「仲のいいお友達」としか扱っていないのに、どうして前の彼女のように振舞うよう私に話すのか。
グレ男さんのお母さんが、私のことを「彼女」だと思っているのなら、どうしてグレ男さんからも聞いてない昔の彼女のことを私に話すのか。
私には、姑の考え方がまったく理解できなかった。
グレ男さんと2人きりになった時、私は上記のような考えから「人様の台所に立つことは嫌だ。」と話、理解してもらった。
そして、グレ男さんから姑が家事が嫌いで、ほとんど家事をしないこと。ご飯支度もしなくていいなら、しないでスーパーのお惣菜で済ませたり、外食で済ませることなど聞いた。
舅が家に居る時は、料理をしているらしいことも聞いた。
姑がたまに料理をしても、まずいから舅以外の家族はほとんど食べないそうだ。
だから、家事をしてくれた前の彼女のように、私にも家事をして欲しいんじゃないか。とグレ男さんは言っていた。
信じられなかった。我が家の両親も共働きしているし、私の母も家事や料理は嫌いだけれどきちんと家のことをしている。
娘の私が、両親がいない時間に家事を手伝うことも当たり前だったけれど、よく聞くとグレ男さんのお母さんは、どう考えても私の母よりパートに出ている時間が短い。
私の母が週に6日、朝から晩まで働いて時には残業もしている。グレ男のお母さんは、週に2~3日で5時間も働いてこないみたいだ。
明らかに、私の母より若く、時間もあるというのにどうして家事をしないのか私にはわからなかった。
私は主婦ではないし家庭も持っていない。だから、いかにパートしながら主婦業もすることの大変さは私にはわからない。
人それぞれの家庭なんだから、と納得した。
のちに、グレ男さんの実家に遊びに行く頻度が高くなるにつれ、私も何度かグレ男さんのお母さんの手料理のご相伴に預かったことがあるが、分離するシチューには絶句しました。
味付けに関しては、それぞれ家庭の味というものがあるのでなんとも思っていませんけれど。
そうして、こののち私は、グレ男さんのお母さんの希望通りに台所に立つことになるのです。
お揃いの携帯にしようね。
そう約束して、私の友達が携帯ショップに勤めていた事もあってグレ男さんと私の分の携帯を友達に頼むことにした。
携帯の手続きには、印鑑と免許証のコピー(正しくは身分証明書)と、銀行引き落とし手続きのために、銀行口座の番号が必要だった。
グレ男さんに、必要な箇所を記入して申し込み用紙を持ってきてと、頼んだ。
そうして、数日がたったある日、いきなりグレ男さんのお母さん(のちに姑になる人です。)が私のアパートに乗り込んできたのだ。
私の家にきた姑は「どういう契約書か、なぜ印鑑や免許証のコピー、銀行口座番号が必要なのか」と、息巻いていた。
グレ男さんが、携帯を買うと話した事を信じてないらしい。(グレ男さんの印鑑と銀行の通帳は姑が管理していたらしかった。)
姑は、私が結婚詐欺とか、世の中にあるその類の詐欺をする女だと思い込んだらしい。
何度かグレ男さんとグレ男さんの実家にも遊びに行ったこともあったし、私のアパートの場所も実家の場所も姑に話した事があるのに。
ショックよりも、ただただ驚いていた。
世間の常識から考えれば、確かに学生のグレ男さんが私のアパートに半同棲状態で通い続けていた事は常識から外れた行為であるから姑の私に対する目線が厳しいのもわからなくはない。
グレ男さんはコンビニへ出かけていて、居なかったのだけれどグレ男さんのお母さんに申し込み用紙を見せ、きちんと説明しなおした。
「あら、私ったら早とちりしてしまって。」
判ってくれたらしいけど、姑はまだ信じきっていない様子だった。
そうして、謝りながら姑はグレ男さんが帰ってくる前に私のアパートから帰って行った。
グレ男さんがコンビニから帰ってきて、私はグレ男さんのお母さんがアパートに来たこと、携帯の説明をしたことを話した。
そうして、グレ男さんにもう一度帰ってから説明してもらうように頼んだ。
この携帯の申し込みの時に、気がつけばよかった。グレ男さんと姑の親子関係を。そして、姑の性格を。
私は、何も気がつかずグレ男さんと付き合い続けていく。
巧みな、姑にごまかされつつ・・・・・姑の本心に気がつかないまま。
恋愛期間中。
グレ男さんと結婚を前提に、真剣なというか真面目なお付き合いをするようになり、色々な話をすることも多くなっていった。
しばらくして話をしているうちに、グレ男さんは就きたい職業があったことを教えてくれた。そのために、専門学校へ通っていたこと、途中で退学してしまったこと、親からは2つ目の学校に行くなら通わせてもらえる状況だということ。
私自身、菓子職人か調理師になりたい夢があった。実家の経済状況から私はその夢を諦めたから、グレ男さんの夢を後押しした。
「なりたい夢を私は家庭の事情で諦めなくてはならなかったけど、グレ男さんは叶えられる可能性があるのなら、迷ってないでいったらいいよ。」
「今、諦めてしまったら、後からあの時こうしておけばよかった。なんて後悔するかもしれないよ。」
私は、何度かその場で流されたり、自ら安易な道に逃げていて色々後悔してきたから「何もしないで後から気がついて後悔する。」ことは嫌で、グレ男さんにも後悔してほしくなかったからだ。
グレ男さんは、もう一度専門学校へ通うことになった。私は、「卒業して就職するまで待つから。頑張って。」とエールを送った。
学校へ通い始めたグレ男さんは、毎日私とメールのやり取りをしてくれた。普通のどこにでもいるカップルがやり取りするようなメールだったけど、私はとても幸せだった。
週末や、長期間の休みに入ると私のアパートに泊まりに来てくれた。この時の私は、実家の事情で一人暮らしを始めていた。
グレ男さんは実家に住んでいたので、私のアパートで会うことが多かった。長期間の休みに入ると半同棲生活のような感じで過ごした。
学生でアルバイトを始めたけどお金が無いグレ男さんに、働いている私がグレ男さんのタバコやお菓子など買ったりしていた。それぐらい、グレ男さんはお金が無かった。
そんなある日、グレ男さんと2人で出かけようとアパートを出ると、私のアパートの前に止めていたグレ男さんの車の両端に車が止まっている状態になっていることに気がついた。
どうみても、車をよけてもらわない限り動かせない。車体と車体の間は人が一人入れるのがやっとという状況だったにもかかわらず、グレ男さんは「大丈夫、出れるって。ぶつけないって。」と、いって車を動かそうとした。
絶対、ぶつけてしまう!!
ぶつけることが判っていた私は、グレ男さんを止めたけどグレ男さんは平気だからと、車を動かし始めた。 私は、グレ男さんの車とグレ男さんの車に隣接している車の間に入りとめた。グレ男さんの車は予想通り隣接した車にぶつかった。
正確に説明すると、私はグレ男さんの車と隣接する車に挟まれたのだった。
お金の無いグレ男さん。ぶつけてしまったら、大変なことになってしまう。ぶつけてしまったら弁償が出来ない状態なのは判っていたから。
車は丁度、私の膝を挟み痛かったけれど、病院にもいくほどでもなかった。
この時、私は気がつけば良かったのかもしれない。グレ男さんが後先考えずに行動する人だということを。
「恋は盲目。」と、よく言うけれど、まさに私はその状態だったのだ。
グレ男さんと私。
グレ男(夫)と、ちぃ(私)は、バイト仲間だった。
バイト先に、後輩としてグレ男が入ってきたのだ。バイト先で、新しい店長と古いバイトとそりが合わず古いバイトが次々と辞めていき、新しくバイトを雇うことになって何人かバイト先に入ることになった。
グレ男も、その時に入ってきた1人だった。
私は、古いわけでもなく中間みたいな位置づけだったし、「仕事は仕事。プライベートで遊ぶ時は遊ぶ。」と割り切っていたので店長が変わって店のやり方が変わっても平気だった。
接客業が好きな私はバイトとはいえお客さんにとっては「ただの店員」でしかなく、社員もバイトも関係ない。店に入り、制服を着た瞬間から「店の顔」として振舞うべきだ、と意識して働いていたから「所詮バイトだから。」と振る舞いサボる古いメンバーが苦手だった。
サボったり手抜きする古いメンバーが居なくなって居心地が良くなったから、バイトを続けていた。
店はバイトのメンバーが入れ替わり、徐々に残った古いメンバーと新しいバイトと皆で、また仕事帰りに遊べるようにもなっていった。
むしろ、古いバイトが居た時と違い店長も含めて一緒に遊ぶようになっていた。
私自身のプライベートも、地元の友達と遊んだり、バイト仲間と同級生の合コンや飲み会をセッティングしたり、男の人と2人で食事に行ったりドライブしたりと充実していた。
グレ男さんと2人で会うことも多くなっていった。
B男と何もかもが違うグレ男さんと遊ぶうちに、私もグレ男さんにひかれて行くのがわかった。趣味・嗜好が、とても似通っていてグレ男さんと同じ趣味の私。映画の好みも、食べ物の好みも共通点が多かった。
叶うならいつか行ってみたい海外旅行先まで、同じで驚いた。
グレ男さんと一緒にいることに幸せを感じていた。グレ男さんのような人はもう現れないかもしれない、とも思った。
だけど、一歩踏み出せないでいた。
そんな私がグレ男さんと付き合う気持ちを後押ししたのは、情けない話だけれど、ゲームセンターでなんとなく取った相性占いの結果が100%だったから。
付き合ってまもなく「結婚を前提にしてくれないと、グレ男さんとは付き合い続けることは出来ない。」と、私ははっきり言っていた。
もう2度と、同じ過ちは繰り返したくなかったから今度付き合う男性は、結婚を前提に真面目な付き合いをしようと思っていた。
グレ男は、「俺は誰とも結婚するつもりはないんだ。俺には、身体的なコンプレックスがあってそれがトラウマになっていて、子供にまで遺伝するのが嫌だ。だから結婚する気は無い。」
と、はっきり言った。
既に、グレ男の事が好きだった私は、B男との過去・そしておろしたこと・子供がもしかしたらもう出来ない体かもしれない不安を抱えていることをグレ男さんに話した。
B男と生活していた時に、対応してくれた医者から「もうおろさないように。」と、言われていたからだった。
グレ男さんに、話すべきことではなかったかもしれない。
でも、私は私と真剣に付き合うなら知って欲しかった。自己満足なのはわかっていたけれど受け入れて許して欲しかったのかも知れない。
グレ男さんがコンプレックスのことを私に話してくれたのことが嬉しかったのもあった。
目に涙をためながら、自分のコンプレックスのことを話すグレ男さんを見ていて、私は「私からプロポーズするよ、私だったらもし子供にそれが遺伝したって負けないから!」と、言っていた。
そんなこと、堂々と宣言できる人間じゃないのに。
今冷静に考えると 傷のなめあい とか 母性 とか、そういうモノに近かったのかもしれない。
グレ男さんは「ちぃ(私)となら・・・。」と、結婚を前提に付き合っていくことになった。グレ男さんは、子供が好きだと自分でいっていた。だから、本当は結婚願望があったのだろう。私の推測だけれど。
グレ男さんが私を選んでくれたことが嬉しかった。