僕はニヤニヤしながら久に「お前クラス替えの事気になってんちゃ~ん?」と言った。

「・・・別になってへんしっ。」

僕は久が一年の時に僕らと一緒のクラスだった弘前留美子(ひろさきるみこ)という女子のこと気になって

いることをなんとなく感付いていた。

弘前留美子は一年の夏に両親の都合で神奈川県から引っ越してきた転校生だった。

彼女はいかにも都会からきたといった風貌で男子生徒はもちろん女子生徒にも一目置かれ少し近寄りがたい

オーラを身にまとっていた。だが常に自然体で関西弁にもすぐに慣れ決して多くはないが友達もすぐできたようだった。

僕も同じクラスだったので何度かははなしたことがあるが僕は彼女が時折見せる不自然な関西弁が好きになれなかった。


9時15分。

校長のダジャレまじりの話もネタが尽き、二年になる僕らは一斉に2Fに駆け上がりクラス発表が張り出される廊下に走った。僕と久が着く頃には廊下にはすごい人だかりができていた。

僕らが自分のクラスを探していると横から「お~とっと!」とわざとらしくぶつかってくる男がいた。



つづく・・・

僕らが出会ったのは確か10年前の四月、中学二年の始業式の日だ。

今思うと何気無い一日だったが、その時から僕を取り巻く何かが少しずつ変わってきていた。


まだ少し肌寒い校庭で校長のいつもの退屈な話に生徒の8割があくびでごまかして教師の2割が笑顔で聞き流していた。ぼくはあくびでごまかすのに飽きてクラス替えのことを考えていた。

すると後ろから山下久が小さな声で体育教師の佐田のモノマネで「おはよーす!」といって僕にひざかっくんしてきた・・・久は小学校三年からずっと一緒のクラスで中学に入っても同じクラスになった。久の親父は有名なギャンブル好きで久の家族はお金に苦労していて、小学校のとき遠足にパチンコの景品のお菓子をもってきたりするほどだった。久の家が貧乏なのはみんな知っていたが持ち前の明るさでネタにされてもイジメられるようなことは一回もなかった。



つづく・・・

はじめまして!


やすです。


皆さんお元気ですか?


僕は元気です。