術後1日目の目標:離床、歩行、尿カテ抜去、自己尿確認

 

 

 

6時半。起床時間より前に看護師さんが来ました。

私が起きてるのを見て「どうですか〜。寝られました?」と小声で尋ね、

「ぜんぜん...」と苦笑いで返しました。

 

ちょっと早いですけどポンプ外しますね、とフットポンプが外され、

心電図と指のパルスオキシメーターも外されると

モーターの振動や音がなくなって部屋に静寂が訪れました。

ストッキングは引き続き着用です。

 

そして血圧と体温を測定。

オペ直後からずっと熱が高く、点滴で2種類の鎮痛剤をガンガン入れても下がらなくて汗だくでした。

「あとで清拭しますね」とにっこり笑う看護師さん。天使。

 

 

朝食の時間になってベッドが起こされ、吸い飲みとうがい受けを使ってうがいだけしました。

あの日の朝食はたぶん一生忘れない。

 

 

黒糖を練り込んだ食パン

野菜と豆のコンソメ煮

カットパイナップル

牛乳

 

 

食欲はなかったけど「口から食べなきゃ弱る」と思ってパンを手に取りました。

ほっかほかでやわらかい。

口に入れるとほんのり甘い。

1日半ぶりの食事でした。

 

やさしい味のコンソメ煮と食パンを半分、パイナップルを全部。

泣きながらご飯を食べたのは久しぶりでした。

本当においしかった。

「生きてる」と思いました。

 

 

食後はベッドの上で歯磨き。

まだ全然動けないので再びうがい受けを使用。

 

朝から先生が来て傷口チェックと軽い問診をされました。

先生はすでにオペ着だったので多分その日もオペだったんだと思います。

仕事とはいえタフだなぁ...。尊敬しかない。

 

 

その後ベッドを起こしたままぼーっとしてるとナチュラルな眠気がやってきて、ウトウトしたのちに少し寝られました。

短い時間だったけど疲れが取れる睡眠ってありますよね。あれです。

目が覚めたときは頭が少しすっきりしていました。

 

 

んで、当然今日から離床ということでまずはベッド角度を最大に。

体を臥位にして、手すりと踵を使いながら体を起こし、

声を上げながらも何とかベッドに座れました。

当然ですが足(特に膝から下)は全然痛むこともなく普通に動きます。

かかとでマットレスを蹴ってじりじりと動く感じで移動しました。

 

清拭は背中だけ拭いてもらい、顔や前面は自分で拭きました。

髪はボッサボサだし顔は保湿してないからカッサカサだけど、それをどうにかしたいと思う余裕はなかった。

病衣も着替えてちょっとさっぱりしました。

 

 

看護師さんに少し介助されつつ、手すりを使って立ち上がると視界がスーッと暗くなりました。

貧血の時のブラックアウトですね。

 

オペで横になったのが前日朝9時。

まるっと24時間ずっと仰向けで寝ていたわけで、そりゃまあそうなりますよね。

つい下を向きそうになり、看護師さんに「下向かないで、こっち見て」と促されないと正面を向けないほど朦朧としました。

めまいが辛すぎて一旦休憩することにし、看護師さんが退室。

 

座ってるとめまいがおさまってきて、その後もひとりで何度か座ったり立ち上がったりを繰り返しました。

こんな簡単な動作さえ1日で出来なくなるのかと思ったら、入院患者さんの辛さや孤独がどれほどのものなのか少し分かった気がしました。

 

 

腹部オペ後の離床のときのコツは「姿勢良く立つこと」

お腹が痛いときってお腹を押さえてつい前屈みになりますよね。お腹が痛い人のイラストとかでもそうだし。

でもまっすぐ姿勢よく立ったほうが痛くないことに気づきました。

腹帯がコルセットのように腰の支えになってたのも大きかった。

それが分かってからは立ち上がるときに「まっすぐ、まっすぐ」と意識して背筋を伸ばすようにしていました。

 

 

看護師さんが再度来て、点滴棒につかまってベッドから個室のトイレまで歩けるのを確認し尿カテを抜去。

「尿カテが不快で早く外したくて離床を頑張った」というのをあちこちのブログで読んだのですが、私はそこまで違和感は感じなかったかな。

「入ってる」と意識すれば気になるのかもしれませんが、それを上回る痛さが常にあるのでそれどころじゃなかったというか。

 

まあでも体からひとつずつ管が減っていくのは気分がいいです。

残るは手背の点滴、背中に入った硬膜外麻酔、お腹から出てる腹腔ドレーンのみになりました。

 


昼食も頑張って食べたけどあまり食べられず半分くらい残しました。

おいしいけど入らなかった...。

 

昼食後は痛みを堪えながら洗面台まで行って歯磨き。

面会時間になって近くのホテルに宿泊していた両親が来ました。

 

 

相変わらずでっかい点滴でどんどん水分を入れてるので尿意があるはずなんですが、トイレに座っても全く出る気配がなく...。

最後のノルマである自己尿が大きな壁でした。

 

看護師さんのアドバイスでカフェイン戦法を取ることに。

リハビリがてら両親に付き添ってもらって院内のコンビニまで歩いて行きました。

これで結構歩数が稼げたのか、その日の歩数は700歩くらい。

手術翌日にしては歩けたほうだと思う。

 

 

ペットボトルのカフェオレと緑茶と水を買って病棟へ戻り、早速がぶ飲み。

普段甘い飲み物を飲まないので「あっま...」とボヤきながらカフェオレを一本、

緑茶はなんか不味く感じたので父にパス。

続いて水を飲んで飲んで飲みまくっていたのですが...

 

 

 

出ない。

 

 

 

出る気配もない。

 

 

 

両親が来ている間ずっと飲み物を飲んで、立ち上がって部屋の中を歩いて、座って、トイレに行って、を繰り返していたんですがぜんっぜん出ない。

 

あんなにデカ点滴(500ml)を入れた上に、昼食とカフェオレと水を飲んでたら普通に尿意があるはずなんですよ。

なのに出ない。

トイレで「なんで出ないのぉ...」と半泣きになりました。

出るべきものが出ないって怖いです。

出ないことがどれだけ怖いことなのかを医学的に知っているから尚更。

尿閉だったらどうしようって真剣に思いました。

 

 

お腹たぷたぷで「もう飲めない...無理...きもちわるい...」ってほど水分を摂りまくりましたがそれでも出ず。

日勤の担当看護師さんのタイムアップもあって結局導尿することに...。

普段何気なく行っている生理的現象が失われた怖さ、プレッシャー、導尿の痛みへの怖さで年甲斐もなく泣いてしまったのですが、看護師さんが明るく励ましてくださって救われました。

術後のメンタルって本当ヨワヨワのボロボロで情けなくて最悪でした。

こんなに人を弱らせるのかと自分でも驚くほど。

 

 

そういえば今まで看護師さんってずっと書いてたんですけどほぼ全員が助産師さんでもあります。

さすが産科病棟。

来る人来る人が助産師さん。

どんな処置もなんのその、という速さで導尿を終えました。

入れる時の痛みは痛みじゃなく違和感レベルだったし一瞬でした。

秒です。秒。

 

というか導尿しても出た量が少なくて、低血圧だし尿量低下してたんじゃないか?という結論に。

腹腔ドレーンの廃液も割とすぐいっぱいになって頻繁に捨ててたし...。

 

 

夕方、先生が来てくださったときに自己尿のことを伝えると

「術後は感覚変わっちゃうからね。そのうち出るだろうし心配しなくて大丈夫」と言われて安心しました。

 

 

 

夕食後にラジオを聴きながらぼーっとしていると

 

 

「...来たかも!」

 

 

のろのろ歩きながら(気持ちはマッハで)トイレに向かうと排尿あり。

 

 

 

福音、吉報、朗報、グッドニュース。

排泄があっただけで嬉しかったのは多分後にも先にもこの時くらいだと思う。

 

 

おそらく夜勤の看護師さんに「自己尿なし、導尿実施」と申し送りされているだろうと思ったので、

ナースコールで「尿出ましたー!」と報告すると

「よかったですねー!もう導尿なしでオッケーですね!」と明るい返事が返ってきました。

看護師さんの負担をひとつ減らせて本当によかった...。

心からほっとしました。

 

 

痛みは相変わらずですが、硬膜外麻酔と処方された痛み止めを飲んでひたすら耐える夜。

相変わらず熱も下がらなくて保冷剤を貸してもらって寝ました。