2日後の月曜日
「もーダルいなー。まさか担任の奴、向かいの一軒家に住んでいるとは…。わざわざ起こしに来なくていいのにな…。」
零は学校に着き、ブツブツ文句を言いながら教室に入った。教室にいる全員が零をみた。「転校生やっと来た〜」という声が。咲良の後ろの席に着くといきなり話しかけてきた。
「私は咲良!よろしくね。転校生…零だよね?零って呼んでいい?」
「…うん。いいよ咲良ニッコリ」
「でさっ!何で学校来なかったの?」
「えっ?学校来るのダルい…」
「もしかしてセンセーにお仕置されて仕方なく来たの??」
「はぁ?何だよお仕置って!担任の奴オレんちの目の前に住んでる。毎日毎日インターホン鳴らして近所迷惑だよ」
雲雀が教室に入ってきて、連絡事項をいくつか。最後に明日から期末テストがんばれよーと言い放ち教室から出てった。
「期末テストって何?」
零は咲良に尋ねると、定期テストの事を聞いた。30点以下だと赤点課題が出される事。中間テスト後の赤点課題は期末テスト1週間前までに提出、期末テストの場合は長期休み後に提出。夏休みだとかなり多く出されるのであった。
零はめんどくさ~って思っていたのは束の間ですぐに目がキラキラした。
「でもね、テスト期間中は1日2.3時間で終わるから午後は遊び放題だよー」
テスト期間中は零と咲良と男4人で遊びまくる予定になった。
……次の日……
1日目のテストが終わりみんなでカラオケに行った。カラオケ代やご飯代は零が"おごってやる"と言って、20時頃に帰宅した。
……次の日……
2日目のテストが終わり、今日はボーリングに行った。零は今日も全員分おごった。帰り際真琴が「零って何でそんなに金持ってんの?」って聞いてきた。零は笑顔で答えた。
「スリだよスリ!オレ超得意だから、財布を持ち歩いてる奴の金はぜ~んぶオレのものになっちゃうんだよな」
「えっ…マジで?バレたことねーの?」
「ないない!捕まったこともないな」
((((やっぱこいつヤバいやつ))))
「試しにやってやるよ」
零は少し先を歩きながら人にぶつかった。大丈夫ですか?と声をかけ、"大丈夫だけど次は気をつけて"って言われ相手の方はスタスタ歩き出した。みんなの所に戻り
「あいつの財布3000円しか入ってなかった」
「うわ……マジでとったのかよ…」
「もうちょい欲しい」
何度か同じ手口でスリを楽しむ零に着いていけない5人組。"もうやめとけって"そろそろヤバいだろと止めに入ったのは樹だった。
「じゃぁーあと1回だけニッコリ」
6度目も同じ手口で人にぶつかった。相手は手帳を落とし、それを拾った。"大丈夫ですか?っておまえ…"と声を掛けた瞬間…。右腕を掴まれた。ヤバっ!と声を押し殺したが顔には出てる。
「……おい……」
睨んできたその顔は零が最近知り合った人物だった。
「し…しろばら…こてつ…先生…?」
手を掴んだまま自分の財布を確認した虎徹。財布をしまい零の腕を引っ張りみんなの元へ歩き出した。
「零の友達か?こいつは俺の患者だから連れていくぞ?」
「か…患者?…れ…零?……大丈夫か?」
「それと君たち、雲雀朱雨の生徒か?」
質問に答えたのは碧生だった。
「そうですけど…先生のこと知ってるんですか?」
「朱雨に知られたくなかったら早く帰れ」
それだけ言って、虎徹と零は去っていった。
「ねー大丈夫かな?」
「雲雀せんせの知り合いっぽかったよね?」
「なら大丈夫じゃねーの?」
5人は明日もテストがあるし、という事で今日は解散することにした。