妄想タイム
付き合ってみようか
と正門くんに言ったものの、急な展開にリアルを感じられていない
嬉しい気持ちにウソはないんだけど、どこか感情が定まらない
一方、正門くんはいつも以上に穏やかな表情で、家まで送ってくれた
道中、お互いにあまり喋らずだったけど
『ごめんね、今日は色々あったから…今度きちんとデートしよう』と手を振って、彼を見送った
このままの勢いで、正門くんを部屋に誘えないこともなかったが
私には1つミッションが残っている
『お疲れ様です、夜分にスミマセン、仕事で煮詰まりました、都合良いときに相談に乗ってください』
と、アイツにメールを打った
正門くんに告白されたときに、浮かんでしまったアイツの顔
≪了解です、明日のどこかで時間作ります≫
思ったより早い返信だった
言っておくが、これっぽっちも私は仕事で煮詰まっていない
打った文面は、単に【連絡待つ】の暗号でしかない
送信相手の奥さんに万が一、覗かれても構わないように
送られてきた文面に対して、彼の言い訳の幅が広がるようにしているだけ
…
翌朝、正門くんから届いていた【おはようございます、眠れましたか?】のメッセージに、ニヤついた
昨晩の告白は夢じゃなかったんだな、とフワフワした
『ちょっと寝すぎたかも』と、返信をしようとしたら、アイツからメールが着た
≪電話しても平気?≫
さすがに週末は電話だよねー、と思い、オッケーですと返した
≪もしもーし、久しぶり、メールに書いてあったけど、何を煮詰めてるの?(笑)≫
どこまで勘づいてるんだろうか?わざとか?
あのね、と私は直球勝負にでた
『彼氏が出来たの』
≪やっぱり男の件か、で、もう寝たの?≫
アイツも直球で返してきた
『いや、寝てない』
≪ふーん、他の男と寝ちゃったっていう報告かと思ったよ≫
『うん、まだ寝てないから』
≪俺はこのまま、今までの関係を続けたいけどね、仕事の話もしたり、ときには寝たり。でも○○はもう俺と寝るつもりは無いってことでしょ?≫
『よく分かってらっしゃる』
≪じゃなかったら、あんな深い時間帯に連絡寄越さないよな、今回が初めてじゃない?≫
『うん、そうだね』
≪分かった、またいつでも連絡してこいよ、本当に仕事で煮詰まるときが今後あるかも知れないんだから(笑)≫
同い年のアイツは、いつだって大人だった
今日のような日がいつか来ることを見据えた上で、お互いにとってプラスな関係で居よう、と最初に決めた
だから喧嘩にはならないだろう
と、踏んでいても感情の動物だから、いざとなって、どう転ぶかの予想は難しかったが…
とりあえず、ミッション完了
あ、まだ正門くんに返事できてなかった
続く
