Rolleiflex QBMマウントという迷宮 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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Rolleiflex QBMマウントレンズラインナップを書こうと思っていました。そして本格的に調べていくうちにそれが途方もないことだとわかりました。なぜならバリエーション、ラインナップ、レンズメーカーが入り乱れているからです。そして全く一貫性がない。ドイツのカメラメーカーとは思えないレンズ群なのです。おそらくこのレンズ群を1本1本調べていくにはかなりの年月を要すると思います。なのでこれはじっくりと時間をかけて取り組んでいこうと思います。整理がついたら発表させていただきます。

ではなぜこんなことが起こったのでしょうか?Rollei(Rollei-Werke Franke & Heidecke GmbH)という会社は1920年代に設立された老舗で二眼レフを中心に生産販売してきた会社です

この頃のドイツのカメラメーカーは大きく2つのスタイルに分かれます。ボディー、レンズ、シャッターを一貫生産するメーカー(ライカ、コンタックス)とパーツを他社より買って組み立てる会社である。RolleiのRolleiflexは典型的な後者である。ボディーは自社、レンズはカールツァイス社やシュナイダー社、シャッターはディッケル社のコンパーを使っている。基本的に自社一貫生産が当たり前の日本からすると不思議であるが、当時はちゃんとしたメリットがあった。カメラ技術の進歩が日進月歩だったこの時代において、常に最新のレンズ、シャッターを使ったカメラを作ることができた。一貫生産だと一度作ったカメラは数年から数十年売り続けないと採算が取れない。Rolleiが採用していた生産方式はこの時代にあった考え方だったのである。しかし時代の流れはRolleiの予想をはるかに超えていた。ライカをはじめとするレンジファインダーブームが起きると、二眼レフは前時代的なカメラになってしまった。それでも、シンプルで信頼性が高く中判という写りの良さや、価格の安さなど(ローライコード)でその波をなんとか越えたRolleiであったが、一眼レフブームと日本のカメラの勢いにはなすすべがなかった。もともと一貫生産が得意ではないローライはレンジファインダーや一眼レフという一貫生産前提のカメラでは結果を出せずにいた。日本カメラ界の攻勢はRolleiに限らずドイツカメラ産業全体の危機であった。カメラの生産を優秀な職人の腕で支えていたドイツ写真工業に対し、日本はすべて工業製品としてオートメーションで生産していくのだ。戦後すぐは天地ほどあった性能差も一眼レフに関してはしだいに日本が優勢になっていくのである。オートメーションで作られていた日本カメラは、高性能、低価格を武器に次第にシェアを拡大していった。

ドイツ写真工業は様々な対策を講じる。ツァイスイコンはフォクトレンダーを合併してIcarexを発表する。これにより価格の安い日本製一眼レフを迎え撃とうとするが、日本勢の勢いを止めるには至らなかった。そしてSL706を最後にカメラ事業から撤退する。その後日本のヤシカと統合して新生コンタックスになるのは皮肉な話である。CONTAXの生みの親でもあるハインツ・キュッペンベンダが撤退を決定したと言われていが、チープになっていくCONTAXに耐えられなかったのかもしれない。

ライカは現状維持という方法を取った。廉価版のM2LeitzMinoltaなどを発表するも、基本姿勢は変えずM3を主力商品として作り続けた。その後時代の流れで一眼レフであるLeicaflexを発表したが、レンジファインダーシリーズは主軸として現在も健在である。そしてなによりライツ社には交換式のオートフォーカスレンズが存在しない(マイクロフォーサーズ用のズミルックスがあるが、厳密にはライカレンズとは言い難い。)。時代が変わってもライカはライカであるという姿勢は今も続いている。

Rolleiは、というとこの時代のローライはブレにブレる。RolleiflexSL66というハッセルブラッドのようなカメラを発売した、その後全自動化したSLXを発売するが10年でRolleiflex6006にモデルチェンジする。110フィルムカメラ、126フィルムカメラ、127フィルムカメラや4X4カメラといった特殊なフォーマットのカメラも生産する。フォクトレンダーと合併後はSL35などの中級一眼レフシリーズ、コンパクトカメラであるRollei35も発売する。これは世界的なヒットとなる。その後もSL2000FSL3003といった珍品カメラやXF35といったコンパクトカメラを発売する。そのバリエーションやアクセサリーは多岐にわたり、生産国のばらつきも相まって、全貌を把握することは非常に困難である。そしてこの混乱具合を物語っているのが、Rolleiflex 2000FシリーズやSL35などの共通マウントであるQBMマウントである。フォクトレンダー、ツアイスイコン、ローライと旅を続けてきてレンズラインナップはカオスである。ツァイスのディスタゴンやテッサー、プラナー。フォクトレンダーのウルトロン、スコパレックス。シュナイダーのクセノン、クルタゴン、アンギュロン、ローライのローライナーなど。これらのレンズの中にさらに純正とOEM、ライセンス生産が入り混じるのである。

よく言われるのが、カラーウルトロン50mmF1.8とローライプラナー50mmF1.8の兄弟説である。中身は同じレンズではないかと言うことである。両方共ローライのシンガポール工場で作られているが、レンズコーティング以外は同一のレンズのようだ。フォクトレンダーのVSL1がローライのSL35Mと同型と言われている。VSL1M42マウントとQBMマウントがあることから、フォクトレンダー買収後もフォクトレンダー銘のQBMマウント版VSL1とローライ銘のSL35Mの2種類のカメラを生産していたのではないだろうか?そのためVSL1用としてのカラーウルトロンとSL35M用としてのローライプラナーが存在するのであろう。つまりフォクトレンダーのカラーウルトロンをローライフレックスがライセンス生産し、OEMとしてカールツァイス名になっているのがローライプラナーの正体ではないかと思う。同じプラナーでもPlanar50mm F1.4はツァイス設計のプラナーでシンガポール製とローライドイツ工場製とカールツァイス、ドイツ工場の3種類あるそうである。いやー複雑。

ローライナーは日本のレンズのOEMであると言われている。低価格路線のSL35シリーズに合わせべくラインナップされたものと思われる。ここで不思議なのはメイドインジャパンのフォクトレンダーのスコパレックスがあることだ。なぜローライナーではなくスコパレックスとして出したのかは謎である。中はおそらく日本のレンズのOEMであろう。そして、このマウントのいびつさが分かるのが、CarlZeissのレンズラインナップである。西ドイツ製のPlanar85mmF1.4Distagon35mmF1.4といったスペシャルレンズが存在する点だ。これは明らかにSL2000FSL3003といったハイスペック機に向けたレンズラインナップである。高級フラッグシップ機と中級機が同じマウントを持つためにこういった現象が起こるのであるが、日本のOEMレンズとドイツの技術の粋を集めたスペシャルレンズが同じラインナップというのが、不思議である。

話はそれるが興味深いのが、Planar85mmF1.4 HTF である。絞りが3枚で三角形の絞りなのだ。そのため背景に光源が来ると、おにぎり状のボケになる。高級レンズにあるまじき事態なのであるが、理由がある。京セラとコンタックスがヤシカコンタックスマウントレンズを共通開発していた時にある事実が発覚する。カールツァイス側にはボケ味という概念がないことがわかったのである。海外には基本的にボケ味という概念が存在しなかったそうである。その証拠に現在ボケ味の英語表記はBhokeである。ボケ味の概念がなければおにぎり絞りを作ったのもうなずける。絞りの構造を小さくしたかったのであろう。ちなみにこのレンズはContarex用にContaxが開発していたレンズと言われていて、フラッグシップレンズとして開発されたレンズだ。そのため妥協の産物として3枚絞りになったのではないことが想像できる。

話を戻すと、そんなこんなでRollei QBMマウントレンズのバリエーションはドイツカメラ界の混乱やRollei社の方針の紆余曲折とともに増え続け、今では把握がかなり困難になっている。SL2000Fシリーズが名カメラとして名を馳せることがあったら、現在でも多くの文献が残っていたであろうが、残念ながら数える程しか存在しない。QBMマウントレンズを把握するのが大変な背景にはこういった事情がある。これからも限られた情報をもとにコツコツと調べていくしかなさそうである。

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