今回再研磨ということで、あくまでもこのレンズ個体の記事になります。世の中の同型レンズとは違う特性を持っていると思います。あくまでも参考までにご覧ください。
オークションで手に入れたジャンクに近いというかジャンクのズミクロンを手に入れた。
ジャンクというのは、まず絞り羽が2枚欠損している点だ。絞りは普通に機能するのであるが、絞りの形が涙滴型になってしまう。
実用に支障はないので気にしなかった。あと前玉が傷ついていた。これもズミクロンには多く、前玉に使われているガラスが柔らかいために起こる。確かランタンクラウンという当時最新のガラスで1枚目、3枚目、6枚目、7枚目に使われていた。ということは後玉もデリケートということだ。横道にそれてしまったが、そういった事情もありズミクロンとしては格安だったこのレンズを購入し早速山崎さんに相談した。『このレンズはとてもいいですね。綺麗になりますよ。』との言葉に少し安心。早速お願いした。
後日修理が完了したという知らせを受け、取りに行った。
外観は完璧な仕上がり。完全にクリアーなガラスからはジャンクだった頃の姿は思い出せません。
アダプターとE-p2を持参していたので早速絞り開放にて試写。
『ん?』違和感を覚えてもう一枚。やはり。光軸がずれている気がする。おそらく前の持ち主がバラしたのであろう。その時に誤って絞りを破損してしまったということが考えられる。像がゆるいというかは、焦点が来ていない感じ。気を取り直してF2.8でもう一枚。
(宛名個人名等消してあります。)
『これは凄い・・。』今までひねくれ心だけで頑なにライカを避けてきたことを後悔した。非の打ち所がないとはこういうことを言うのでしょう。アサヒカメラのニューフェース診断室で280+を打ち出したのもうなずけます。もっともニューフェース診断室で測定したのは固定鏡胴タイプで最大解像度は開放時の数値なので僕のレンズでは体感することができませんが。ちなみに『カメラ修理屋の気まぐれ雑記帳』(http://blogs.yahoo.co.jp/gatapasya/65762883.html
)によれば沈胴タイプのズミクロンは中心部解像度が固定鏡胴のものより高いそうである。その代わり平面性が犠牲になっているそうだ。
また横道にそれてしまった。横道ついでによく『M3ショック』という言葉を耳にする。’54年のフォトキナで突如登場したライカM3の完成度が高すぎて国内カメラメーカーがライカに追随することを諦めたという有名な事件?である。この際によく言われるのがなんといってもファインダーだ。レンズを交換すると画角がブライトフレームで切り替わり表示され、パララックスさえも自動補正するというファインダーであった。それを可能にしたのが新設計のバヨネットMマウントである。世界中の技術者がイメージは持っていたが技術的に実現は出来ずにいた夢のファインダーと連動レンズシステムである。その当時の資料を紐解くと、マウント変更には賛否両論あったらしいが、互換性を持たせることで批判を和らげていたようだ。意外なのはボディーというかM3自体にもかなりの批判があったということである。バルナックライカ愛好者を中心に一回り大きくなったボディーがホールドしづらく使いづらいとか、シンプルなデザインが重厚感に欠けると言った批判もあったようだ。裏を返せば愛好者が戸惑ってしまうほど革新的なカメラだったということであろう。だが、このカメラの真髄はこのレンズにあったのではないかと思う。一般ユーザーはフィルムでしか写りを知ることができない。しかもカメラの性能とレンズの性能が一緒になっている方も多かったと思う。ただ国内外のカメラ技術者は心底驚いたのではないかと思う。近代カメラ史においてドイツが名実ともに王者だった時代の王道とも言えるカメラとレンズであったのだなと今更思ってしまう。話を戻したい。
山崎さんにお礼を言って、手元にあったArriflex Cine Xenon 75mm F2の再研磨も依頼して帰ってきた。
(Cine Xenonは前玉がすりガラスのようになってしまっている重症レンズであったが、快く引き受けてもらえた。)次の日から常用のCine-Xenon25mmに変わってPENについている。
逆光でもこの解像感。
上の写真を拡大しました。どこだかわかります?写真の中央下部のホームの中の標識です。
非常識なくらい解像してます。
Summitarを使っていた時にあった発色への不満や逆光時の不安定感もなく、安定して素晴らしい写りをしてくれる。
Summicron5cmF2 F4 発色もよくハレーションもない。
Summitar5cmF2 F4 フードがないとハレーションを起こしてしまう。発色もくすみがちである。
ひとつ残念なのは開放での超絶解像度を体験できないところである。
光軸調整に出してみようかなぁ、どこかにオリジナルコンディションのSummicronがないかなぁなんて悪い虫が疼きだしてます。散々沼の底をさらって、王道のレンズに撃ち抜かれるなんて、世話ないですね。

