FDレンズ試写会 広角編 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

今回はFDレンズ試写会最終回、広角編です。
FD17mmF4SSC
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FD20mmF2.8SSCやNFD14mmF2.8Lといった千両役者に挟まれて少し存在感の薄いこのレンズ。でも当時の発売価格はFD20mmF2.8やFD55mmF1.2などを上回る¥51,500-。1970年代の貨幣価値はおよそ今の1/4~1/5といったところなので、現在で言うと20万を超える立派な高級レンズです。確かに外観といい専用のアルミ製レンズキャップといい非常にいい作りです。で肝心の写りはと言うと、結構優秀です。確かにFD24mmF1.4SSCアスフェリカルレンズのようなシャープさはないものの、適度に写ります。そして歪曲収差ですが17mmというワイドレンズにしては抑えられています。今回の試写以外にいくつか試写してみました。特に赤シャッターの試写はかなり意地悪な試写ですがなかなかな結果だと思います。何枚も非球面レンズを使い徹底的に収差を排除したEF14mmF2.8のような、現代の超広角単焦点レンズと比べると見劣りしますが、その当時はそうとう優秀なレンズだったと思います。花の試写でも分かるとおりF4と言う開放値の暗さはネックで被写界深度も深めなためポートレートなどには不向きなのですが、そもそも17mmでポートレイトを撮るということはあまりないため気にならないと僕は思います。総評としてはこの時代、広角レンズは発展途上のため設計がまだ完成しておらず、マイクロフォーサーズで使用することを考えると純正のED12mmF2.0など現在のレンズの方が圧倒的に優秀だと思います。標準域のFDレンズが現代のレンズといい勝負をしているのに対し広角域での差はハッキリしています。ただ今回の趣旨から話はそれますが、普段使うレンズのセットは同じ世界観を持っているべきだと僕は思います。各時代の優秀なレンズを揃えてオールスターチームのようなレンズセットを作っても、写真集の様に写真を並べていくとレンズごとの個性の違いによって非常に違和感を感じるのもです。おそらく僕に限らず多くのプロは同じ意識を持っていると思います。クラシックレンズのゆったりとした世界の中で広角レンズだけカリッとビビットな写りだと非常に抵抗があるのです。それゆえ画質がベストではないとしても同じ時代の雰囲気のレンズで揃えたいと僕は思っています。同時代のレンズとしてはこのレンズは非常に優秀です。そういう意味でお勧めなレンズです。この時代一眼レフ用の広角レンズは選択肢が少ないのですが、キャノンのFDレンズでは豊富なラインナップを揃えていました。今回試写できなかったNFD14mmF2.8とFD20mmF2.8そしてFD28mmF2の3本も追加して改めて広角レンズの試写をやってみたいです。
FD17mmF4 OLYMPUS E-P2

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FD24mmF1.4SSC ASPHERICAL
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現代のEFレンズまで脈々と引き継がれる名レンズ。1970年代のキャノンが持てる技術を惜しみなく注いで作ったその当時の最新鋭レンズです。当時世界最大口径の24mmレンズで研磨加工によるアスフェリカルレンズを持ち、この時代の大口径レンズの泣き所であった開放付近の絞りでのハレーション、広角レンズの泣き所、周辺収差、歪曲収差を改善しています。写りは開放からシャープな描写で同時代のFD55mmF1.2などに見られる開放でのハレーションによるコントラスト低下も見られない。ボケもいい意味で現代的で、溶けるようにぼけていく。F5.6まで絞り込むといっきに解像度が上がる。描写は高画質標準レンズのようで広角レンズであることを忘れてしまう。今回のようにマイクロフォーサーズで撮影する際には標準のポートレンズとして力を発揮するだろう。外観は非常にしっかり作られていてその当時¥180,000-という超高級レンズらしいずっしりとした質感である。ちなみにこのレンズ現在の貨幣価値だと70万を越える。キャノンがいかに商売無視で生産していたレンズか分かる。FD55mmF1.2の衝撃と言うブログタイトルの際にも書いたのですが、この時代のキャノンは世界初や世界最高を連発していた。世界一の一眼レフメーカを目指していたキャノンの気合が詰まった一本であるといえる。この時代だからこそ製品化できたレンズだし、今だからこそ買えるレンズだと思う。
FD24mmF1.4SSC
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一枚目の写真ではあえて画面の右端にピントを合わせてみました。さすがアスフェリカルって感じのシャープネスです。